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奥が深いB2B『貿易業界』のプロダクトデザイン組織ではどうやってUXリサーチをやっているの?Shippio独自のUXリサーチ手法を大公開!

こんにちは!ShippioのプロダクトデザイナーのMyraです。

今回のストーリーでは、Shippioで実施したUXリサーチ手法についてご紹介します。

ShippioではUXリサーチをどうやっているのか

インパクトのあるデザインソリューションを提供するために、どのステークホルダーがどのようなペインを抱えているのか、いつどんな行動をするのかを把握し、顧客解像度を上げることが非常に大切です。ユーザー理解を深めるために、Shippioのデザイナーやプロダクトマネジャーはセールスチームとお客様のミーティングに同席させてもらい、直接お話しすることが多いです。

お客様とのミーティング以外では、クラウドソーシングサイト等で被験者を募集し、UXリサーチを行うこともあります。UXリサーチはプロダクトデザインプロセスのさまざまの段階で活用できるため、1つのプロジェクトにおいて3〜4回ほど実施しています。

Shippioでの1つのプロジェクトにおけるUXリサーチの例

① 最初の課題発見
実際のデモ環境を被験者に触っていただきながら、クラウドサービスの使いづらい点、ニーズが満たされていない点をヒアリングをする。

② 中間の仮説検証
コンセプト段階のモックアップを見せながら行動観察・ヒアリングをする。

③ 実装前のユーザビリティテスト
プロトタイプを触っていただきながら、ユーザーにとって本当に使いやすいのか、本当に理解しやすいかを検証する。

次に、ニッチなBtoBの貿易業界のクラウドサービスのプロダクトデザインにおいて具体的にどのようにUXリサーチを行うのかについて、昨年実施した「見積機能」のユーザビリティテストをケーススタディーとしてご紹介します。

Shippioクラウドサービス「見積機能」のユーザビリティテスト

① ターゲットを選定する
Shippioのクラウドサービスは機能によってターゲットユーザーが異なるので、まずは検証したい機能のUX Matrixを定義しました。

はじめにUX上の論点をリストアップし、現在のUXではどうなっているのかをチーム内で評価しました。また、ユーザビリティテストのフィードバックを記録し、望ましいUXは何かを可視化しました。

その結果、見積機能のUX刷新を通して、顧客企業の貿易実務者だけでなく営業の方もターゲットにしたいとのニーズがあることがわかりました。従って、ユーザー体験としては「初めてShippioを使う人でも直感的でわかりやすい」設定画面が必要であると判断しました。

以上を踏まえて、ユーザビリティテストの被験者として募集する人物像を、「メーカー・商社で輸出や輸入の見積や業務に関わっている/いた貿易実務者と営業担当」と定めました。

② シナリオを用意する

次に、テストシナリオを用意しました。

メーカーや商社に勤めているユーザーの実際の業務を想像し、シナリオを考えました。


シナリオ今回はタイのバンコクから船でパイナップル缶を輸入しようとしている。 夏にパイナップル缶の需要が高まるので、40ft(フィート)のコンテナを2本注文したい。 パイナップル缶の輸出者と話し合った結果、Incoterms(注1)はFOB(注2)となる。 輸送時間と料金のバランスを取りたいので、直行便で発注しようか積み替えで発注しようか比べてみたい。予算は¥500,000以下で、納品日は3週間以内。 輸入してきたパイナップル缶は川越倉庫に納品する予定。 通関(注3)手続きと貨物保険もShippioに頼みたいと思っている。-------------------------------------------------------------------------------------注1:国際商業会議所(ICC)が貿易取引における費用負担・範囲などの取引条件を定めた国際規則のこと。注2:Free on Board=本船渡し とは、Incotermsのうち、コンテナによる船積み貨物の引き渡しにおける取引条件のこと。輸出港で買い手(輸入者)の指定する船舶に貨物を積み込むことで契約が完了し、運賃や保険料は買い手が負担する。実務的には船会社指定のコンテナヤードなどに持ち込んだところで契約は終了する。注3:貿易において貨物を輸出入しようとする者が、税関に対して、貨物の品名、種類、数量、価格などを申告し、必要な検査を受けた後に、輸入の場合は関税など必要な税金を納付させ、税関から輸出入の許可を受ける手続きのこと。

ユーザビリティテストを行ってきた経験から学んだことの1つは「ユーザビリティテストから正しく課題を発見するためには、なるべくリアルに近い環境を用意すること」です。被験者はプロトタイプの細部まで見てくださるので、デモデータが整っていないと、ユーザーがつまずいたところはUX課題なのか、ただのデータ不足なのか、判断しづらくなります。

また、実装前のユーザビリティ調査の場合は、ある程度インタラクティブなデザインプロトタイプを用意することが大切だということもわかりました。ただし、時間とのトレードオフやプロトタイプの限界もあるので、ユーザビリティテストを行っている際に被験者はどこをクリックしたか、どこをスクロールしようとしたかをこまめに観察し、適切なタイミングでその挙動の理由をヒアリングしていきました。

③ 調査結果を言語化する

次に、集まっていただいた被験者の担当業務ごとにフィードバックを分析しました。具体的には、貿易実務担当者と営業担当者がペインを感じているポイントやサービスを通して真っ先に確認したいポイントも異なっていました。

さらに、どんなUX課題があるのかをリストアップし、分類していきました。
具体的には、課題が発生する頻度やユーザーのニーズに応じて重要度を測り、「先に改善すべきUX課題」と「後から改善するUX課題」を分けました。

調査結果を言語化することにより、ユーザーの行動や課題の分類を明確にすることができ、デザインする際にとても参考になる指標ができました。


まとめ

ここまで書いてきたように、ShippioではプロダクトデザインにおいてUXリサーチをとても大切にしています。
ユーザーと密に連携し、プロダクトを作っていくことはShippioのプロダクトチームの大きな魅力の一つだと感じています。ユーザーファーストの姿勢で根本的な課題解決を追求する文化はプロダクトデザイナーにとって最高な環境です!

Shippioでは、デザインの力で貿易業界を変えていきたいと思ってくれる仲間を募集しています。この記事をご覧いただき、少しでもShippioに興味を持っていただけたら末尾のリンクよりお気軽にお声掛けください!

ここまで長文にお付き合いいただき誠にありがとうございました!

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