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「人」が基準の組織運営!ティール組織をベースにしたCoumのチーム経営型組織とは?

Coumでは、「ティール組織」をベースとした、チーム経営型の組織づくりに取り組んでいます。今回は、この独自の組織について、代表・廣瀬のインタビューをもとにご紹介します。

──Coumが実践するチーム経営型組織とは、どのような組織形態なのでしょうか?

従来のコンサルティング会社では、業界・テーマ毎に所属部門や役割が決められ、縦割りで組織が運営されています。一方、チーム経営型組織は、ピラミッド型ではなく文鎮型に近い形で、チーム単位で、よりフラットに組織を運営するスタイルです。

現在、Coumには3つのチームがあり、リーダーを中心として、各チームに数名のメンバーが所属しています。基本的にはこのチームを中心に、クライアント別のプロジェクトが組成されます。階層化をなくした組織形態を取り入れることで、意思決定が早くなり、環境変化にも柔軟性とスピード感をもって取り組むことができるのが特徴です。


──チームには、具体的にどのような権限があるのですか?

大きく分けて営業・サービス企画、人材マネジメント、収支管理という3つの領域での権限が各チームに委譲されています。

チームに権限委譲するのと同等に大切なのは、組織全体としての取り組みです。DXを中心としたデジタル領域における法人向けプロフェッショナルサービスという当社のポジショニングを強化させる上で、それに伴う事業戦略、職種毎の人材モデル、企業ブランディングの在り方などを、組織全体で策定しています。その上で、チーム経営型組織により、権限委譲を行うことによるマーケットフィットと、働くプロフェッショナルのやり甲斐の醸成を試みています。

プロジェクト単位で権限委譲をしている組織は多数ありますが、部分的ではなくあらゆる業務の裁量権をチームに任せている組織は珍しいと思います。チーム経営を通じて、自分自身の貢献がチーム・組織の成果につながることが実感でき、経営視点を養うことができます。

──チーム経営型組織のベースとなる考え方について教えてください。

Coumの組織は、「ティール組織*」を参考にしています。ただ、ティール組織のモデルをそのまま日本の雇用状況や、自社に当てはめることは難しいと思いました。

ティール組織はある意味突き抜けていて、評価制度や役職の考え方も完全にフラット。これは、職種別のジョブ型採用が浸透している国や、ある程度キャリアを積んだ経験者が中心の組織であれば可能かもしれません。

しかし、日本においては、ジョブ型採用はまだ浸透しておらず、職能型人事制度のもと、新人を社内で育てていくという考え方が主流です。Coumも、経験者だけを採用しているわけではないため、能力給を基本としつつも、段階的に求める能力や成果を示し、能力向上の見通しを設計してあげることも必要だと思いました。ティール組織と日本の組織の良いところを採用し、折り合いをつけていったのが現在のCoumのチーム経営型組織と言えるかもしれません。

加えて、前職のコンサルティング企業で独立採算制**の新規事業を任された経験や、MBAで学んだ経営知識なども素地になっています。これらの経験や知識があったからこそ、この新たな組織モデルの実践に踏み出すことができました。


──チーム経営型組織のメリットを教えてください。

クライアント側へのメリットと、働く人へのメリットがあると思います。

まず、クライアント側へのメリットとしては、満足度向上があげられます。例えば、従来のピラミッド型のコンサルティング会社では、提案に向けた社内調整に時間がかかったり、現場と上層部のギャップにより顧客に無理な提案をするなど課題も多くありました。特に、コンサルティングのような無形商材のサービスにおいては、このような現場と上層部のギャップは顧客満足度の低下につながります。

一方、Coumが実践するチーム型経営は、営業から提供までを一体化する「製販一体型」のサービス提供が可能です。例えば、Coumでは、提案作成の際には、チームごとにディスカッションしながらまとめていきます。こうすることで、メンバーそれぞれの意見や意向、そして強みが提案内容に反映でき、提案とデリバリーのギャップが生じにくくなります。 結果的にクライアントの満足度向上やリピート率の高さにつながっていると思います。

──働く人へのメリットは何でしょうか?

働く人にとっては、「働きがい」と「働きやすさ」といったメリットがあります。

これまで自分のプロジェクトのことだけ考えていたリーダーが、チームの経営を任されることで、自分のリーダーシップがチームだけでなく組織の経営全体に影響を与えていることをダイレクトに実感し、モチベーションアップにもつながっているように思います。営業活動・収支・採用状況まですべてが「見える化」されているため、チームメンバーもリアルタイムでチームや組織の状況を把握でき、一体感が生まれやすいですね。

また、従来のコンサルティング会社では、組織トップが決めた売上目標に沿って、業界やテーマで区切られた各組織が、与えられた数字を達成することが義務付けられています。そのため、昨今大手ファームを中心に働き方改革が進んでいますが、あくまでそれはメンバークラスの話であって、売上責任を達成するために、残業管理のない中間管理職が、これまで以上にハードワークを強いられるというジレンマに陥っています。

しかし、Coumでは、メンバーのライフイベントなども考慮しながら、その人がその時点で「できる範囲で最大を目指す」ことを重視しているため、「人」を基準とした売り上げ目標を立てるよう心掛けています。例えば、メンバーの誰かが育休をとる場合は、その人の稼働率が下がることを前提とした売り上げ目標を立てることもあります。組織トップが決めた売り上げ目標に人を合わせるという従来の発想とは真逆の発想ですが、このようなスタイルが結果的にCoumの働きやすさにもつながっていると思います。

──チーム経営型組織の課題はありますか?

ピラミッド型組織のように、全体で収支計画を立て、売上比率に応じて人員を割り当てていくほうが、分業を進めることができ、経営効率はよいと思います。

Coumのようなチーム経営型組織は、大手と比較し、レバレッジが効かず、サービス提供量を増やすことができないというデメリットがあります。また、チームの人数は10名以下が適切であるため、例えば数十名のチームを稼働させるような大型案件には不向きでしょう。


──チーム型経営の成功の秘訣を教えてください

「人」を基準とした組織運営を成り立たせるためには、チームメンバー同士のコミュニケーションが必須です。

そのため、Coumでは、数々の社内コミュニケーションの施策を実施し、社員同士の有機的なつながりや交流を促すようにしています。例えば、チームメンバーそれぞれの働き方の意向や、キャリア目標などを定期的に分かち合う「Team Learning」、普段接点のない人同士で小さなグループをつくり、目標や今の課題感をシェアして共感しあう「Monthly Updates」、収支を含む経営状況やプロジェクト事例を共有する全社会議(もしくは全体会議)などです。

──チーム経営型組織を実践するCoumの今後の展望を教えてください

Coumでは、プロジェクト規模の最大化を目指していない一方で、クライアントあたりの貢献度を重視しています。初めはマーケティング領域のデジタル化だけの支援であっても、業務効率化のためのDX、さらに事業やサービスモデルそのもののDXなど企業が求められるDXは多岐に渡ります。また、業界においても、現在はメディアやIT業界が主ですが、DX化が進むにあたって、今後はメーカーや小売などの業界にも幅が広がっていくと思います。

Coumは、あくまでも「人」を基準とした経営スタイルで、「プロフェッショナルにとって最高の場所」を追求しながら、デジタル領域における日本一のプロフェッショナルファームを目指していきます。

(注釈)

*ティール組織とは:ベルギー出身のフレデリック・ラルー氏が提唱した、組織をひとつの生命体として捉え、指示命令といったヒエラルキー構造ではなく、組織の目的を実現すべく(主にチーム単位で)メンバー全員で行動する進化型の組織モデル。

**独立採算制とは:企業内の各部門をそれぞれ独立した経営主体とみなして、経営に関する権限を付与し、部門ごとに収支の採算をとることを目指す経営方式。

※本記事は、Forbes CAREERに掲載されたコンテンツの転載記事です。

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