有機培土ココピートによる施設栽培とテクノロジーを活用していけば、農業はもっとラクになるはずだ
元来日本は農業に適した気候風土を持っていました。しかし近年、集中豪雨をはじめとした天候条件の変化が見られ、これまでのように安定した農業経営の継承が困難となってきており、その上に人材不足も深刻化しています。
その解決策として、施設栽培への関心が高まっています。しかし、土の代わりとなる培土は、環境負荷やコスト負荷の高い無機培土ロックウールや、入替え作業負荷の高い有機のピートモスが主流で、品質の良いココピートがなかなか手に入らない状況でした。
世界的にも施設農業が盛んなオランダの農業をはじめ、少ない資源から高い生産性を得られる野菜栽培に秀でたヨーロッパ諸国では、生産者の80%以上が、環境にやさしく安定的な栽培のできるココピートを使用しています。
H R 業界から農業界へ。2016年11月日本で設立された「ココカラ」は、現在代表である大原秀基氏が、インド人物理学者であるムルガン氏と出会ったことが始まりです。
これまでにない安定品質のココピートを開発する
厳選したインド産のヤシ殼を原材料とするココカラのココピートは、快適な栽培環境と安定収量を確保を目指し、日本の若手生産者の方々との連携を深め、製品改良のためのフィードバックをもとに研究を重ね、開発を進めてきました。
その結果、品質の安定した「ココカラピート」が誕生しました。(最高品質のココピート=ココカラピートの開発に成功)。トマトやいちごを中心に大手企業が経営する農園でも採用され、今では日本全国の生産者の方々に、ココカラのココピート(=ココカラピート)を導入いただいています。現在ココカラでは、栽培データ活用のためのバックアップ体制づくりを始めています。
ココカラピートを使った栽培データによる専門家サポートを確立。安定的な収量確保を目指す
テクノロジーを活用した栽培サポートの実現は、「世界人口が増加する中、食料生産の現場にいる多くのスモールホルダーの生活向上」という社会課題と地続きにあると、大原さんとムルガンさんは考えます。
日本初のココピートメーカーとして、国内トップシェアを目指す
ココカラは、世界最大のココナッツ産地である南インドに生産拠点を有し、最高品質のココピートを日本、そして世界へ届けています。また。ココカラのブランドロゴにも表していますが、ココピート製品に使われる全ての材料は、地球環境保全への配慮しています。
化学物質や微生物資材なしの天然素材を使用し、厳選したココナッツ殻の内皮から取れる上質の繊維と粒のみを加工、均一に膨らむように品質管理を徹底しています。ココカラバッグバッグ、ココカラスラブなどの形状やサイズ、栽培作物などお客様のご希望に合わせたオーダーをいただき、インド工場から農園へお届けしています。
ココピート製造における課題は、天然素材であるが故に、土と同様に有機物の品質コントロールの難しさです。天然素材でありながら、無機培土のロックウールの持つ特性へ近づけていくというのが、ココカラの取組みのひとつと言えます。
そのためにも、定植後もお客様からフィードバックをいただき、栽培時の課題解決に取り組みながら品質改良を続けています。
「ココカラのココピートは均一に膨らむ」その理想を描き、独自の品質基準を見出す
「コストがかかる培地入れ替え。ココピートが均一に膨らまないと、結果的に年間の収量減に繋がる」という生産者の経営課題を知り、ココピートの品質を安定させることで、この課題を解決したいと思いました。
インドで25年以上の実績を持つココピートメーカーから学術的ノウハウを学び、開発から実証段階に様々な課題に直面しつつも、諦めずに向き合ってきました。開発初期に、1cm、2cm の膨らみの差でも収量に影響がでることがわかりました。お客様からのフィードバックを元に製造工程をひとつひとつ見直し、原因を追求して改良を繰り返していきました。
その結果、ココピートの膨らみを均一に保つためには、ヤシガラの内皮からとれる粒の質、工場での管理方法、気温や湿度などのあらゆる環境条件の管理が必要だということがわかりました。データを元に、現在はココカラ独自の品質基準を設けていますが、今後も更なる開発を続けています。
「困っていたら助け合う」ココカラの存在意義と企業精神
日本からの要望を受けて、実際の改良開発を行うのは、ココカラインドの最高責任者、物理学者ムルガンさんです。世界各国の施設園芸環境に合わせた栽培データの研究や、工場の製造工程で発生する排水処理改善まで、農業の持続可能性な開発に取り組んでいます。
もともと私は、日本の会社で磁性流体の研究開発をしていたこともありリサーチや分析が得意分野です。ココピートのシェアが高いヨーロッパ、特に農業先進国のオランダのトレンドやお客様の声を吸い上げながら、会社が進むべき方向性を決めています。
大原と出会った頃、毎日のようにアイデアを出し合い、話し合いを重ねていてきました。これまで数々の障壁を乗り越えて来られたのは、その時間による信頼関係だけではなく、「困っていたら助け合う」という共通の思いがベースにあったからです。そして、ココカラ起業後の目標としても、短期的なビジネス上の数字だけではなく、「社会を良くする」という真の豊かさを目指すという長期的な目標を二人でシェアしています。
私たちの喜びは、お客様の元に出向いた時に「パンパンに膨らんだココカラバッグ」がハウスにずらりと並んだ光景を眺め、「前よりも成育状況が良い!」という報告をいただけることです。
培地の変更は、その後1年間は生育を見なければならないため、無料サンプルでテストして頂くことは大切だと考えています。ココカラピートを使用した作物の状況についてのご意見をいただきたいですし、また多くの方にココカラの最高品質のココピート(ココカラピート)を試していただきたいと思っています。
世界の食料問題解決と貧困地域の文化的繁栄の創造に、ココカラがハブとなる
今年から、トマト栽培において、100トン/10アールにコミットしていくチャレンジをします。
テクノロジーの活用によって、社内外のオートメーション化も進め、大きい生産者さんから小さい生産者さんまで多くのデータを取り入れた効率の良い「確かな農業」を広め、生産者さんに安心を届けていきます。また、養液栽培についての産学連携も深めて行きます。
また、そもそもココピートは、再利用でき、長い時間をかけて土へ還るので、次の世代の資源を壊さない特性がありますが、栽培時の化学肥料を減らす方法や、さらなる微生物の研究など、独自のノウハウ構築を進めています。
世界に目を向けると、安全な食べ物が食べられない貧しい地域、子供たちが数多くいます。作物が育つためには綺麗な空気や水が不可欠です。今、私たちが地球で生きていることで、未来の地球資源を壊していること、解決が大変困難な危機に去られれた地域があることが国際的な社会課題となっています。
ココカラでは、一部の富裕層が豊かになる社会ではなく、「困っている人々を助ける」社会の実現をしていくことにこそ、ココカラの存在意義があると考えております。
食料は人の命。貧しい子供達が安全な食料を食べて大人になること。そしてその子供たちが農業を仕事とすることで生活が向上し、地域が活性化すること。その持続可能な開発の第一歩に、私たちが取り組む最高品質のココピート(ココカラピート)の栽培データ研究が、重要な役割を果たせるのではないかと思います。