「問題」とは何か
「問題は解決ではなく、解消せよ」 ~混迷のIT業界を生き抜くためのマネジメントツール SSM 第1回 (本記事は、2008年11月11日に公開したものを再編集し再掲載するものです。) 「やるべき対策は全て実施しているのに、なかなか問題がなくならない」 「特にこれといった原因は思い当たらないものの、何故か上手くいっていない」 ...
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「やるべき対策は全て実施しているのに、なかなか問題がなくならない」
「特にこれといった原因は思い当たらないものの、何故か上手くいっていない」
ソフトウェア開発を初めとして、いわゆる「プロジェクト」と言われるような組織活動においては、毎日が常に「問題解決」の日々と言っても過言では無いでしょう。プロジェクトに限らず、そもそもビジネスの世界そのものがそうだ、とさえ言えます。些細な意思決定も含めるならば、日常生活も含めた全ての物事が「問題解決」なのかもしれません。
いわゆる「問題解決手法」が世間には溢れ返っていて、その手の書籍が売れ続けるのもそうした需要と供給があってのことなのでしょう。しかしこれだけ様々な問題解決手法がありながら、問題は無くなるどころか増えるばかりのようにも思えます。実際のデータを収集することは不可能ですが、もし世の中に存在する「問題」の統計を取ることができたとするならば、その数は毎年指数倍数的に増加しているのではないでしょうか。
では、そもそも問題とは何でしょうか?
これらはごく一般的な「問題」であり、解決すべき問題であり、唯一の解答が存在する問題です。
これらもビジネスの問題として一般的であり、解決すべき問題であり、唯一とは言えないまでも何らかの解答が存在します。
ではこれらの問題はどうでしょう。これらもビジネスや日常生活において一般的な問題です。しかし解答は存在するでしょうか?
ではここで、一般的に使われている「問題」の定義を見てみましょう。
その一つには、まず「あるべき姿」を考え、そうではない「現実の状況」と比較した結果、そこに至る「差分」を問題として捉えるという考え方があります。つまり「理想と現実とのギャップ」が「問題」である、という定義です。そうした場合には、通常では以下のような問題解決手順がとられます。
このような問題解決アプローチは、解決すべき問題が明確な場合には非常に有効なアプローチです。
しかし実際のところ、多様な価値観がひしめき合う現代社会において、問題はそんなに簡単に明らかになるものではありません。「なんだかよくわからないけど、でもうまくいっていない」というケースの方が多いのではないでしょうか。
つまり、「問題」と一言で言っても、試験や在庫管理や夫婦間の問題では、問題の性質が異なります。性質の異なる問題に対して、同じアプローチで解決しようとしても、うまく行くものではありません。
そういう時には、問題は常に「解決するもの」もしくは「解決しなければいけないこと」と考えるのではなく、問題が問題ではなくなるようにする、つまり解決ではなく「解消するもの」として考えてみてはいかがでしょうか。
ここで最初の問いに戻ってみましょう。
「問題とは何でしょうか」
何だかよくわからなくなってきました。
そうです。何が「問題」なのかわからない、そのこと自体が『問題』なのです。
もちろん問題がはっきりしているようなケースも、たくさんあると思います。たとえばコンピュータのプログラミングなどは、まさにそうした「明確な問題」を解決するための典型的な手段と言えるでしょう。
一方問題がはっきりしていないような場合、「プロジェクトメンバーからの不満が絶えない」「なんだか最近妻の機嫌がわるい」と言うようなケースでは、別のアプローチが必要になります。
ここでは「問題」がはっきりしていて、その問題を解決するには「どうすれば良いのか?」を考える前者を「ハードアプローチ」、「問題」がはっきりせず、そもそも「何が問題なのか?」を考える後者を「ソフトアプローチ」と呼ぶことにします。
おそらくなぜ「ハード」と「ソフト」なのか?と思った方もいらっしゃると思います。それでは次回は、「ハード」と「ソフト」について考えて見ることにしましょう。
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