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【創業ストーリー】CO2の排出量を1%でも下げられたら・・

都会の喧騒から少し離れ、ちょっぴり田舎の田園風景を眺めながら、さりげなく深呼吸をすると、透き通った空気が身に染みてスッと体が軽くなります。そういう時は豊かな大自然に恵まれて幸せだなと、心から思います。しかし、それと同時に今この瞬間、この地球のどこかで、森林が燃え、空気が汚れ、そして環境が破壊されているという現実が頭をよぎる。

どうも、近年私たちが直面している気候変動や地球温暖化などの問題が頭から離れられない、ユアスタンド株式会社のマーケティング担当のデニス・チアです。間もなく創業3年目を迎える弊社は、電気自動車という切り口から、気候変動の問題解決に取り組んでおり、そして新たな未来を切り拓こうとしています。

弊社の創業3年目という節目を迎え、今回は弊社の浦伸行社長にユアスタンドの創業ストーリーを聞かせていただくことになりました。どういう想いで起業し、どういう課題に直面し、そして今後どのような目標を掲げているのかをまとめさせていただきました。

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ユアスタンド株式会社の浦伸行社長の創業ストーリー

【EV充電器を設置しているユアスタンド株式会社の浦社長】

“子供の未来のために、自分が何かアクションをとらないと一生後悔する”

ユアスタンドを立ち上げる前、ソフトバンクで10年間ほど働いていました。法人向けIT、ネットワークサービスの営業や、新しいソフトウェアサービスの立ち上げなど、幅広く活躍していました。実は、入社当初から、いつかは会社を辞めて自分で何かをやろうと思っていましたが、具体的に「何をやるか」は長い間見つかりませんでした。

2011年3月11日に起きた東日本大震災の1週間後、私は会社の先遣隊として当時甚大な被害を受けた女川、石巻に2週間ほど派遣され、避難所を回りながら、通信用のアンテナを立てるという任務を果たしました。その直後に発生した福島第一原子力発電所の爆発事故が全国、そして全世界を驚かせたのですが、私は当時、同じく原子力発電所のある女川の被災状況を目撃していたので、エネルギー問題について考えずにはいられませんでした。原子力発電を完全に否定しているわけではありませんが、予測不可能な自然災害によって引き起こされる福島のような事故のことを考えると、原発以外の自然エネルギーでも社会を動かすことができるのではないかと思いました。

【東日本大震災1週間後、宮城県石巻市・女川町に派遣されたとき】

【東日本大震災後の女川町】

転機を迎えたのは、入社10年目の時でした。

ある日、気候変動に関するあるドキュメンタリーを見ました。地球温暖化のせいで北極圏の氷が溶け出し、そこに生息する動物たちが住む場所はとてつもなく速いスピードでなくなっていました。そして、行き場を失った動物は陸の崖に登り、そこから滑って飛び降りて死亡するというシーンを見て、思わず悲しくなりました。

ずっと環境問題に興味を持っていたのですが、このドキュメンタリーを見た後にさらに色々考えさせられました。動物が住む環境がこうやって無くなっていくと、私たちの子供たちの未来も壊れていくのではないかと思いました。自分の子供の未来のために自分が何かアクションをとらないと、一生後悔するなぁと、モヤモヤする気持ちが晴れないまましばらく続いていました。

“自分の登る山を決める”

【ソフトバンクを辞めたときに飛行機から撮った富士山】

私はずっと技術にも関心があったので、環境問題の解決に貢献しようと思い、自動車業界の先端を走る「電気自動車」を購入しました。いいことをしようと思って電気自動車(EV)を買ったのはいいものの、EV充電がとても不便でした。

特に、私はマンションに住んでいたので、戸建て住まいと違い、マンション住民の同意を得る必要があり、まず管理組合に提案し、住民総会で合意形成を図るという過程は、電気自動車ユーザーにとって大きな障壁でした。

しかし、環境問題を解決するために電気自動車の普及は鍵となる。そして、電気自動車が普及するために、充電インフラの整備は欠かせない。なのに、マンション住民にとってEV充電インフラは非常に不便なものであることを痛感しました。めんどくさいから誰も解決しようとしないマンションにおけるEV充電インフラの整備を、私がやらなくちゃと決心がつきました。

前職のソフトバンクの孫正義社長は「自分の登る山を決める」という言葉をよく口にされていました。ビジネスをするにあたって、自分が得意とする分野、または自分がチャレンジしたい市場を見極めなければならないという意味です。

EV充電インフラの整備の課題解決に取り掛かろうと思った時、孫社長のこの言葉を思い出し、自分は「自動車」、または「エネルギー」の業界で勝負していこうと決めました。環境のため、子供の未来のためでもあるし、ビジネス面で見ると、エネルギーという分野において8兆円の市場があるので、この山に登ろうと決め、起業することにしました。

原動力は実体験に基づく自信

登る山だけ決め、何もない状態で起業したので、手当たり次第に電気自動車の充電器導入を訴えても誰も振り向いてくれませんでした。

2018年1月に事業計画を立てて、とりあえずニーズ調査をしようと思い、ひたすら様々なマンション管理会社などに電話をかけまくりました。しかし、電話を700本かけても、ポジティブな回答をいただけたのは3件くらいでした。それもそのはず、当時はこういうのを作りたいという発想しかなく、製品そのものはなかったので、話を聞いてもらえないのは当たり前のことでした。

今はしっかりしたプロダクトと自社開発のサービスができているので言えますが、当時自分の発想だけで営業で回っていたり、たまに詐欺師だと思われたりした自分を想像するだけで今でも笑えます。それでも、諦めずに電話をかけ続けました。

電気自動車に乗っている自分がとても不便だと感じる不充分なEV充電インフラという課題に直面して悩んでいる人はきっと私だけではないという自信が湧いていたのです。電気自動車が普及すると言われているこの世の中には、きっと私みたいな人がたくさんいるだろうと、この実体験に基づいた自信が、私の原動力でした。

懲りずにニーズ調査を続けた結果、あることが見えてきました。

実は、多くのマンションはEV充電器の導入を検討していましたが、いくつか共通な課題があったとのことでした。この課題は、私ならシステム開発を通して解決できると思いました。

その後、利用者はこのようなサービスや機能があったら助かるだろうなと想像しながら、試行錯誤でシステムを開発しつつ、営業の電話をかけ続け、2018年3月に会社を設立し、同年の10月末に初めての売り上げを記録することができました。

そして、初めてEV充電器を設置させていただいたお客様は今でも忘れられません。一緒にEVに乗って、30分間の充電を楽しみました。

【最初に設置したEV充電器】

少しずつ社会変化を感じた2年目

なんとか1年目を乗り越え、2年目に突入した時、どうやら社会が変わってきたように感じました。電気自動車業界を率いる米国のテスラ自動車を聞くようになりました。スウェーデン出身の若き環境活動家であるグレタ・ドゥーンベリ氏が始めた一連の気候変動抗議運動や国連の気候変動サミットで行ったスピーチが全世界でニュースになりました。気候変動や地球温暖化という言葉が学校や会社などで使われるようになりました。2年目を迎えた2019年、社会がとんでもないスピードで変わり、クライメートアクション(気候変動対策)が世界の喫緊な課題になりました。

そのような社会的な変化を受けて、周りのお客様も徐々に話を聞いてくれるようになりました。全く無関心だった人や会社も、まるで魔法にかけられたかのように、環境問題の深刻さに悟ったかのように、電気自動車やEV充電器の大切さをわかってくれるようになった気がします。そして、会社においても社員が増え、チームで動くようになりました。

【少しずつ社員が増え、チームで動くようになった】

【2つ目のオフィスに移転したときの写真】

会社も移転し、少し広いオフィスに変わり、自分が目指していた目標に一歩近づけた気がしました。今後、電気自動車が増えることは間違いないですが、マンションの管理組合は絶対に壁にぶち当たると思います。その時に私たちが作ってきたEV充電器の導入ベストプラクティスに基づいて、リーダーになってみなさんと切磋琢磨しながら、EVの時代を迎えたいと思います。

溢れる野望とブレない信念

少しずつ実績を残してきた2年間、そしていよいよ3年目を迎えます。今後の目標としては、まず東京エリアでの拡大はもちろん、中部エリアや関西エリアを皮切りに、次第に全国に展開していきたいと思います。そして、電気自動車の基礎充電という分野においてダントツのナンバー1になりたいという野望があります。

さらに言うと、国内に限らず、いつかアジアを中心に海外に進出したいと思います。

この会社を立ち上げたのは、気候変動や地球温暖化の課題に取り組むためだったので、日本だけで事業を行ってももたらす効果は微々たるものです。全世界でEV充電インフラを整備し、EVが普及することによって、二酸化炭素を減らして初めて地球に貢献できたと言えます。

二酸化炭素の排出のうち、輸送・移動部門はおよそ17%を占めています。私たちが開発した技術や提供しているサービスで二酸化炭素を1%でも減らすことができたら、パリ協定で定まった2度の目標達成に近づけるでしょう。

世界に目線を置くと同時に、起業当初の初心を忘れず、そして社員一人一人を大切にしたいと思います。

私たちのミッションは「移動をもっとクリーンに」です。私たちが開発した技術を活かして環境に良い電気自動車を使う人々の不便をなくしたい。私たちはそのうちに無意識的にさりげなく電気自動車に乗って、環境に良いことをしているような世界になったらいいなと思います。

【EV充電器の下にあるのはユアスタンド自社開発のシステム】

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