一冊の本がきっかけで、就活をやめてロスへ
「就活なんかしている場合じゃない」
学生時代に『孫正義 起業の若き獅子』という本を読み、その生き方に衝撃を受け、気づいたら留学したいと強く思うようになっていました。
当時の私に特別な夢があったわけではありませんが、まだ見たことのない世界を見てみたかったんです。親から借りたお金とアルバイト代を握りしめて、英語もほとんど話せないままロサンゼルスへ飛びました。
ところが当時のロサンゼルスは日本の留学ブームの真っ只中。語学学校に行っても生徒の9割が日本人という環境でした。周りの華やかな雰囲気に流されるように毎日を過ごしてしまい、気づけばわずか3ヶ月で100万円近くの資金を使っていました。
「勉強しに来たはずなのに、この環境はまずい!」と猛烈に焦り、環境をリセットするため、日本人の少ないコロラドへ向かうことを決めました。
そこで「ルームメイト募集」の広告を見つけ、英語はほとんど話せない状態でしたが、自ら電話をかけ、アメリカ人3人とのルームシェア生活が始まりました。言葉の壁は確かにありましたが、相手の懐に自分から飛び込んでいくことで、徐々に関係が深まっていきました。
現地で衝撃だったのが、平日は猛烈に勉強する一方で、毎週金曜日の夜になると一軒家の地下ホールに100人から150人もの若者が集まり、盛大なパーティーを楽しんでいること。国籍も価値観もバラバラな人々が集まり、お酒を飲みながらワイワイと交わるその圧倒的なコミュニティの熱量に触れ、「こんな生活、日本では見たことがない。これを日本でも創りたい!」と強く心を動かされました。
正解よりも、自分で探す。
コロラドでの共同生活も新鮮で衝撃的でした。毎週金曜日になると、地下のホールに100人以上の若者が集まるんです。国籍も価値観もバラバラ。誰かが企画したわけでもないのに、人が人を呼び、新しい関係が生まれていく。その光景が衝撃でした。
「一緒に暮らすって、文化や国籍を越えて交わるってこんなに面白いんだ」。
もちろん楽しいことだけではありません。体調を崩したときには病院に行ってもコミュニケーションが難しく、周りの人たちの力を借りないと、一人ではどうにもできないこともたくさんありました。
異国で生きる不安や、誰かに助けてもらえる安心感。日本で暮らす外国人が直面していることを、そのとき自分も少しだけ体験しました。
帰国後、商人に興味があり、ビジネスを理解するためにも営業としての働き口を探しました。リクルートの求人情報誌を見ていたとき、偶然目に留まったのが「君は社長だ」というようなコピー。何でもやってみようというような言葉が刺さりました。
実際に入社してからも「とりあえず行って現場で学ぶ」というスタイルは自分に合っていました。さらに、入社して間もなく、飛び込み営業で大型受注が決まり、順調すぎる滑り出し。最初から上手くいきすぎた結果、完全に天狗になり、みんなが勉強している時に全く勉強しませんでした(笑)。周囲にどんどん追い抜かれ、1年目は目標未達。
そこからはとにかく経験を積むためにがむしゃらに行動しました。
渋谷の道玄坂を一番下から上まで行って、また帰ってくるという飛び込み営業を毎日繰り返しました。営業に関する本も読み漁り、その都度改善を重ねました。何が正解か分からないなか、自分で考え、行動に移すことを繰り返したところ、ある日突然成果が出るようになりました。最終的には社内MVPを獲得するまでになり、あの経験から「正解を探すより、小さく試し続ける方が前に進める」という感覚を学んだ気がします。
シェアハウスから見えてきた、新しい可能性
留学時代に体験したシェアハウスの面白さや、多様な人が自然につながるコミュニティの熱量は、帰国後もずっと心に残っていました。そんなある日、テレビでゲストハウスの特集を目にしました。
「この業界で働きたい」。そう思ってたどり着いたのがオークハウスです。
創業者の山中と初めて会ったときの印象は、「ものすごく賢い経営者」。さらに驚いたのは、その圧倒的なスピード感と豪快さでした。その日のうちに歓迎パーティーが始まり、「今日から海老原くんが入社するから!」と言われたことは今でも忘れられません(笑)。
当時のシェアハウス業界は、まだ未開拓な領域が多く残されていました。そこに挑もうとするスケール感とビジョンに惹かれ、入社を決意しました。入社以来19年間、僕は山中の隣で事業づくりを学んできました。毎日のように新しいアイデアが飛び交い、「まずやってみる」が当たり前。失敗より挑戦を重んじる文化の中で、営業から新規事業まで幅広く経験してきました。
そうした挑戦の積み重ねの先に、いま15万人を超える外国人コミュニティがあります。その中でずっと気になっていたことがあります。僕たちの周りには、日本を本気で好きな外国人がたくさんいるということです。日本酒や職人文化が好き。アニメやゲームが好き。観光で訪れるだけではなく、自らの意思で日本を選び、この国で人生を築こうとしている人たちです。
一方で、日本には世界に誇れる技術や文化を持ちながら、その魅力を十分に海外へ届けられていない企業が数多くあります。海外との接点のつくり方が分からない。現地の言葉や文化を理解した人材がいない。両者と向き合うなかで、「この人たちと企業が出会えたら、新しい可能性が生まれるのではないか」と考えるようになりました。
振り返れば、コロラドで見た多様な人々が自然につながる光景も、オークハウスで見続けてきた人と人との出会いも、本質は同じだったのかもしれません。
異なる文化や価値観が交わることで、新しい価値が生まれる。
ルネサンスは、日本を愛する人たちと、新しい挑戦を求める企業や地域をつなぐ拠点です。その出会いから生まれる可能性を、これからも形にしていきたいと思っています。