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「自分ができる、“最大限いいこと”をしたい」機会の平等を実現するために立ち上げた、共働き世帯向けフードデリバリー事業

共働き世帯向け手作りお料理配達サービス「つくりおき.jp」を運営しているAntway。今回は、代表取締役・前島恵にインタビューしました。起業前はリクルートでサービス立ち上げやチームを牽引していた前島。どうして共働き世帯向け手作りお料理配達サービスを立ち上げたのか、この事業にはどんな可能性があるのか……想いや考えを聞きました。

不登校だった小学生時代の経験が、事業づくりの原体験に

――まずは経歴を教えてください!

学生時代は、東京大学大学院でメディア論を研究していました。実は、学術系のニュースメディア運営を行う会社を立ち上げていたんですが、ビジネスとしてスケールさせることに力不足を感じました。そこで、「世の中の課題を大きく、早く解決する力を付けたい」と思い、新卒でリクルートに入社しました。そこでエンジニアとして開発に携わったり、新規事業の立ち上げなどを経験したりして約4年で卒業。その後、2018年にAntwayを起業しました。


――前島さんが起業しようと思った背景について教えてください。

僕の場合、ありがたいことに大学院まで行かせてもらえて、リクルートでさまざまな責任ある仕事も任せてもらえて……。これだけ機会に恵まれていたら、自分自身が挑戦しないことは罪だと考えているんです。自分の知識やスキルを社会の資産として考え、それを育んでくれた社会に対して還元していくことが重要だと考えています。また、ただ還元するだけではだめで、できるかぎり「最大限いいこと」によって還元すべきと考えています。

僕が感銘を受けたオーストラリアの哲学者がいるんですが、彼は「人は、自分の経験や才能、人生といったリソースを使って、“一番たくさんの一番いいこと”をしないといけない」と言っていて僕はその考え方を人生の指針としています。いいことだけではいけないし、規模が大きいだけでもダメ。どちらも両立した、“最大限いいこと”を成さねばならないと考えています。

僕にとっての“いいこと”とは「機会の平等」の実現です。それに関心を持つようになったきっかけは、小学校時代にカルチャーが合わず不登校だった原体験にあります。当時暮らしていたエリアでは同じ校区に学校がいくつもあるわけでもないため転校もできず、まだフリースクールのような存在もありませんでした。しかし、数年後、親の転勤で関東に引っ越してきたら、出会う人や行きたい場所が増えて急に世界が開けたんです。そのとき気づいたのが、「置かれた環境によって、その人の人生が大きく左右される」ということ。幸い僕の場合、移った環境が自分に合っていましたが、世の中には合わない環境に置かれ、抑圧され続ける人も少なくないと思います。このような経験が原体験となり、自分で環境を選べないのなら、せめて機会だけは平等に与えられる世の中をつくりたいと考えるようになったんです。

――前島さんにとっての“いいこと”、つまり、「機会の平等」を最大化させる事業が、どうして共働き世帯向け手作りお料理配達サービスだったのでしょうか?

現在の日本で、機会の不平等にさらされている最も大きなボリュームゾーンは、女性だと考えています。法律的にはさまざまな場面で男女の待遇を平等にすることが明文化されていますが、文化的・慣習的には、まだまだ抑圧されている場面が多いのが現状。次第に状況は改善されてきているとはいえ、「家事は女性がやるもの」という意識は未だ根強いですよね。「家事は男性も行うべき」という議論もありますが、そもそも家庭に存在する“家事”という義務をなくすことができたら、機会の平等を最大化できるんじゃないかと考えています。その一貫として、共働き世帯向け手作りお料理配達サービス「 つくりおき.jp 」を立ち上げることにしたんです。

立ち上げたのは、日本で未開だった事業モデル

――「 つくりおき.jp 」には、一般的なフードデリバリーとはどのような違いがあるのでしょうか?

ひとつの特徴は、“クラウドキッチン”という仕組みを活かした事業モデルです。“クラウドキッチン”とは、デリバリー用の料理をつくることに特化した施設のこと。顧客の飲食スペースがなく、その分調理スペースを確保したり、調理のオペレーションを最適化したりすることができます。アメリカや中国、インドではこの領域でユニコーン企業がたくさん生まれているんです。

――海外ではそれほど成功している領域なのに、どうして日本ではまだ浸透していないのでしょうか。

その土地ならではの成功要因があるんです。フードデリバリーサービスの売上げは、基本的に単価×注文数。原価は、物件の賃料・材料費・人件費・配送費の足し算。これら変数の兼ね合いで、おおよそのビジネスの成否が決まります。

例えば、アメリカの場合、日本よりもとにかく単価が高い。しかも買い物を外注する文化が浸透しているから注文数も増えて売上げが上がります。中国・インドの場合は、人口がとにかく多いから注文数が多い。しかも人件費や配送費も安いから原価が抑えられるんです。

海外のマーケットでは、このような成功要因があるんですが、日本の場合は自炊文化が強く、賃料も、材料費も、人件費も、高い。構造的になかなかビジネスとして成功しづらい要因が多いんです。どの変数を、どう工夫したら、成功できるのか、考え抜いた末、僕たちが辿り着いたのが、「家族全員の食事を、数日分まとめて配送する」アイデアでした。食材をまとめて仕入れて、まとめて配送することで原価を抑えられるし、まとめて注文を頂くことで単価も上がりますから。


――実際にこのアイデアを事業化する上で難しかったことは、どんなところですか?

とにかく検討項目が多いことですかね。例えば、どんな味付けにするか、どのように温度や品質を保ったまま配送するか、容器はどんな形状がいいのか……など。でも、それらひとつひとつの工程をいかにクオリティ高く積み重ねられるかで、優れたサービスになるかが決まります。だからこそ、私たちは、テストマーケティングとユーザーインタビューを徹底的に重ねて、レシピもオペレーションも磨き続けました。

特に強みを持っているのがレシピです。実は、世の中に、毎日食べたくなるような家庭向けメニューの大量調理レシピって存在しなかったんですよ。給食や病院食は健康にはとても良いですし、コストも安く多くの人にあまねく提供しやすい点では優れていますが、「家庭で毎日食べたくなる」クオリティを担保できるかというと難しいし、デパ地下のお惣菜は、数千人規模の大量調理には対応できません。その点、私たちは大量調理レシピの中でも、これまで蓄積してきた膨大な定性・定量データをもとに、「毎日食べたくなる」クオリティと大量調理を両立することに成功しました。そのような工夫が功を奏して、現在は需要に対して供給するキャパシティの拡大が間に合わないほど多くのお客様から支持されるようになっています。

Antwayの組織の特徴とは

――Antwayの組織の特徴を教えてください。

これは僕の持論なんですけど、「革命を起こす組織の内部は、既に革命が起きている状態でなければならない」と考えています。だからこそ、私たち自身が家庭を大切にすることはマストです。あらかじめ入れていたプライベートの予定は必ず確保できるように、お互いが配慮し合っています。

また、メンバーの多くは、大企業やメガベンチャー出身者。みんな「自分が学んできたことやこれまでの経験を思う存分実践できる」「その知見やスキルをさらに伸ばせる環境がある」と言っていますね。例えばMBAを取得しているメンバーは、身につけたビジネス理論を実際に現場で体現できるから、ものすごいスピードで学びが深まると言っていました。


――最後に、応募を検討している読者にメッセージをお願いします!

内閣府が試算する「家庭内労働市場」は112兆円規模とも言われています。これは、家事を労働と捉えて対価が支払われると想定したときに試算される市場を指します。しかもこの市場は、これまで目がつけられておらずサービス化も十分に進んでいないブルーオーシャンなんです。

「家族全員向けに数日分まとめて配送」という私たちのビジネスモデル自体はシンプルなものですが、圧倒的な試行回数で改善し続けた膨大なデータ、そこに裏打ちされているレシピ、高い品質と生産性で調理するために最適化された“クラウドキッチン”……これらの一貫した体制は一朝一夕ではつくることはできません。ここに、私たちの大きな競争優位性があります。数年後には、この市場で大きな存在感を放つ企業になっているはずです。世の中にとって意義のあるこの事業を支えたいと考える方は、ぜひ一度お話しさせてください。

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