【CEOインタビュー】"Japanブランド"を探究し、心を動かす物語と体験から世界に感動を生み出す | 株式会社JAPANDOTQUEST
株式会社JAPAN DOT QUESTは、グループ会社にて多店舗展開する飲食事業のマーケティングナレッジをもとに、飲食店や宿泊施設など観光業におけるインバウンドマーケティングを支援するベンチャー...
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株式会社JAPAN DOT QUESTは、グループ会社にて多店舗展開する飲食事業のマーケティングナレッジをもとに、飲食店や宿泊施設など観光業におけるインバウンドマーケティングを支援するベンチャー企業です。実店舗の運営を通じて実施するテストマーケティングの結果、費用対効果が高い施策のみを提案することでクライアントからの信頼を集めています。
今回の記事では当社CEOの木下とタッグを組み、COOとして活躍中の松尾にインタビュー。大学1年生に飲食店を起業した経緯やJAPAN DOT QUESTの強み、思い描くビジョンまでご紹介します。
松尾 明希人(まつお・あきと) / COO
大学在学中ながら飲食・美容店舗を西日本エリアで計14店舗出店、得られたノウハウを強みに店舗集客・訪日観光客集客に特化した企業向けマーケティング事業を展開するJAPAN DOT QUESTではCOOを務めている。そのほか、飲食事業における仕入れ商流や採用ナレッジを活用して展開する運送事業では上場企業と伴走、Web3マーケティングおよびファンダムコンテンツ支援事業では事業開発/事業戦略設計およびマーケティングリーダーとして参画するなど、多数の事業をリードする。
まずはプロ野球のレベルが非常に高いと感じてしまったこと、そして高校時代に一度は克服したイップスの再発は、特に影響したと思います。
その後は居酒屋でアルバイトをしながらビジネスに興味を抱き、1年生の終盤には居酒屋を出すことになりました。大学はスポーツが盛んな環境で、運動部の学生やクラブチームのメンバーと仲が良く、毎日のように集まって飲む機会がありまして。そうした場で背中を押されて「チャレンジしてみよう」と決意しました。
大阪をはじめ、京都・広島・名古屋で計14店舗を経営しました。大学の仲間によるネットワークが広がり、採用媒体を一切使わずリファラルで有能な店長を集められたことも積極展開を実現できたポイントですね。その後も順調に経営していたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大から8店舗の閉店を余儀なくされます。
加えて、貸りていた店舗は内装・外装をすべて撤去してスケルトンの状態でお返しする契約のために多額の費用が発生します。そうした影響もあり、決算では大きな赤字が出てしまいました。
精神的に追い込まれてうつ状態になり、3ヶ月は本当に何もできずにいました。そんなときに支えてくれたのが、私の同級生で当時マーケティング事業部の責任者を担っていた木下です。木下はまず大型の資金調達に動き、資金面の不安を率先して解消しました。
調達した資金は、新規事業の立ち上げに投入しました。店舗の閉店により店長などのメンバーの働く場所がなくなってしまったので、優秀なメンバーの強みを活かせる事業を展開したんですね。マーケティング施策も活用したBtoBの代理店営業部門、ニーズが高まった運送部門などをそれぞれ立ち上げ、木下や私が各事業の戦略を担う形で売上アップを目指しました。
その結果各事業が軌道に乗り、Web3マーケティング『ZThreee』、運送および代理店販売を担う『Inty』、飲食店経営『YOLU』、飲食コンサルティング『SAY』の各社、そしてインバウンドマーケティングや飲食・美容店舗運営、クリエイティブ、海外進出支援を担う『JAPAN DOT QUEST』がグループを形成しています。
私の目線で話すと、人材育成に注力できたことですね。マーケティング戦略や店舗のコンセプト設計は木下が筆頭に担っていました。互いの得意分野を発揮できるように役割分担していた結果、集客は成功し売上もしっかりと担保できていました。
人材育成の面では、採用した店長や社員に店舗運営をしっかりと実行してもらうことを念頭に置いていました。想定どおりに集客できたとしても、店舗運営が至らなければサービスのクオリティが担保できずリピーターがつきませんし、もちろん店舗自体のオペレーションがまわりません。そのため、今も人材育成には相当力を入れています。
基礎的な業務は一通りできるようになるまで教えますが、当社はベースとなる業務にプラスアルファして考え方を身につけてもらうことを重視しています。「なぜ、この方法が効果的なのかを理解し、結果を見据えて行動する」といった思考を教えることで、答えを自ら見つけられるように教えていました。
そうですね。思考を経て、どのようなアウトプットを出すかが大切です。そのためのインプットは、もう存分にしてほしい。本やYouTubeなどさまざまなインプットを、どうアウトプットするか。それが最も大事だと話をしています。
100%完成した成果物を出すよりも、いったん40%の状態でアウトプットして進捗を共有する。PDCAを高速で回していくことが大切ですね。アイディアは実行することに意味があります。
「今やるべきことで売上を上げて、得た利益で新規事業にチャレンジしよう」と常々話していました。私が大学1年で飲食店を起業した理由は、飲食しかできなかったから。心のなかではさまざまな事業を立ち上げたいという思いがありました。責任者にも「今後やりたいことをやれる人材になってほしい」と伝えていましたね。
当社が運営する店舗がインバウンドの集客に成功している評判が広まっていったことがきっかけです。たとえば「肉のあさつさん、インバウンドマーケティングに成功されてます」みたいな事例を、飲食関連の他社営業さんが飲食店に話していたそうで、同業の先輩から「話を聞いたんだけど、どうやってインバウンドを集めているの?」と連絡が来たんですね。
その後も「インバウンドが増えていることはわかっているのだけど、どう集客すればいいかわからない」といった相談を寄せられる機会が本当に増えて、私たちはアドバイスするのですが「なかなか実行することが難しくて……報酬を払うからやってほしい」と相談を受けるようになり、インバウンドマーケティング支援に取り組み始めました。
▼JAPAN DOT QUEST 運営飲食店舗一覧
▼インバウンド集客の詳細は、木下のインタビュー記事で触れています!
当社で展開する運送事業での採用、美容店舗の集客、売れる仕組みづくり……木下と壁打ちしながら、木下のアイデアを私がCOOとして実行に移しています。木下は代表であり、まさに当社のブレーンですね。互いに同じ方向を見ながら、事業を展開できていると思っています。
インバウンドマーケティングは、シンプルに「たくさんの不を解決できる」「めっちゃやりがいあるな」という出発点でしたが、調べてみると同じようなビジネスモデルに取り組むベンチャーはなかったんですね。
大手さんはそうした事業を展開しているんですが、多額の予算を出せる企業にしか対応していません。いわゆる中小規模の店舗に向けたサービスがない現状です。それゆえに私たちに相談が寄せられるのでしょう。本当に悩んでいる飲食店はたくさんある。そんな店舗さんに向けて効果を出していく自信もあったことも、当社を起業したきっかけですね。
そこは実感しますね。まず大前提として、今は円安でインバウンドは非常に多くなってきている。日本にはすばらしい観光資源があります。豊かな自然もそうですし、たとえば旅館1つとっても風情がある。そして、飲食店も和牛や新鮮な海鮮などすばらしい料理を提供できます。もうこれまでに類を見ないほどに、観光事業は盛り上がっていくと私たちは踏んでいます。
では、どのような国からのインバウンドが多いのか。やはり、中国・香港・台湾……やはり、中華圏の方々が多いんですね。その点を踏まえて、私たちはまず中華圏のインバウンドにターゲットを絞っています。
他社との差別化ポイントは、ネイティブな中国語を話すメンバーが多数在籍している点です。SNSのアルゴリズムを発掘できますし、そこに実店舗の運営で培ったマーケティング施策など知見を落とし込んでサービスを展開できています。いわば“事業者目線”で価値を提供できている点は説得力も高いですし、当社の確かな強みといえるのではないでしょうか。
中華圏のSNS『WeChat』内に、大阪・東京に住む600名の在留中国人が在籍するコミュニティがあります。このコミュニティを活用したプロモーションが、まず一つ。もう一つは、中華圏のInstagramといえる『RED(小紅書)』を活用した施策にも注力しています。
一例を挙げると、日本ではユッケなど生肉を食べることはめずらしくないですが「中華圏のインバウンドは生肉を食べない」という説があります。実際インバウンド向けに生肉関連はあまりプロモーションしない飲食店は少なくありません。そこで私たちは生肉を食べることに対するアンケートをWeChatのコミュニティを通じて実施し、SNSのコメント欄もチェックしました。
その結果「中国本土では生肉や生卵は食べないけれど、日本に観光した際には生肉や生卵を食べてみたい」というニーズが強いことを把握しまして。そこで、ご相談いただいていた店舗さんに「新たな商品を作りましょう」と提案して一緒にメニューを開発し、炙った牛肉に卵黄を乗せた商品を展開したところ大きな反響を呼び、売上アップを実現できました。
日本のブランド価値が下がっていると言いますか、安く見られている部分はあるかもしれません。“メイド・イン・ジャパン”という言葉自体がチープに扱われ始めていると感じます。
その点は、私たちは魅力的な宿泊施設と飲食店などの支援を通じて体験できる価値を伝え、知られざる日本の魅力をインバウンドに発見してほしい思いがありますね。まずはクライアントさんに向けてインバウンドマーケティングでしっかりと効果を出し「日本ってこんなにいい国なんだ」と、インバウンドにとってのブランド力を向上させていきたいと考えています。
そして、今問題となっているオーバーツーリズムの解消にも役立ちたいですね。たとえば、京都でも舞鶴や天橋立など市街地以外にある魅力を効果的にプロモーションすることでインバウンドの旅先を分散できます。今、中華圏のSNSをリサーチしていると、人気観光地ではないエリアに行く動きが出てきているんですね。SNSマーケティングにより、さまざまなエリアにインバウンドの誘客を実現できれば地域活性化にも役立ちます。
ミッションに掲げる「日本から世界へ。心を動かす物語と体験を届け、すべての人の幸福度をぶち上げる」を踏まえると、当社は事業を通じて“クライアント”“インバウンド”“当社”と『三方よし』のビジネスモデルを実現できると思います。
まだインバウンドに知られていない店舗を、プロモーションを通じて知ってもらう。 当社はこの「知ってもらう」という部分を大切にしたい。社名の通り、クライアントがもつ価値を探求(=クエスト)して伝えていきます。そのために、ここ2~3年でインバウンドマーケティングを日本であたり前にしたいと考えています。規模を問わず、さまざまな飲食店がインバウンドに向けてあたり前に価値を提供できる仕組みを作りたいですね。
その先には、アウトバウンドマーケティングもここから3年前後で取り組んでいきます。たとえば、日本産のお茶もそうですし、陶器や刀もそうです。越境ECなどアウトバウンドでの販売を支援し、日本の企業を元気づけていきます。
コロナ禍を経て新規事業を立ち上げたあと、事業を軌道に乗せながら「自社の売上が上がれば雇用が生まれる」と気づきました。その点を踏まえると“Z世代”などの若い世代に活躍の場を作りたい思いがあります。たとえば、SNSマーケティングの成功にはZ世代の価値観や考え方が本当に重要だと思います。そこでZ世代の力を存分に発揮してほしい。私たちにない感性を絶対に持っているので。2年後、3年後にはZ世代の起業家を輩出できるよう一緒に仕事を作りたいですね。Z世代の起業家に突っ走ってもらって、足らない部分は私たちがカバーしていくような形を考えています。
強い企業は多様な事業ドメインを持ち、その多くが黒字化されていて、なおかつ事業ドメイン間のシナジーも高い。もし仮に今後新たなパンデミックが発生するなど大きな変化に直面しても、当社のグループ企業に所属するメンバーは変わらずに仕事ができ、生活できているようにしたい。その点、持続的な企業を作りたいという思いは根本にあります。先ほどのZ世代の話もそうですが、新規事業を展開するグループ企業をたくさん立ち上げ、強い経営チームを作ることが私の命題です。
これは私自身のビジョンですが、30歳までに1号事業ファンドを作りたいと考えています。私が資金を出し、経営チームと一緒に投資先にハンズオンして若い起業家の事業展開を支援したいですね。
現在各事業で責任者を担っているメンバーは、飲食店はもちろん「マーケティングに取り組んでみたい」「営業スキルを磨きたい」「美容をやってみたい」など、自身の思いを実現していきました。当社経営陣は、本当に高い意欲があるメンバーにはどんどん責任あるポジションを任せたいと思っています。
これまでも「最低限やるべきことをやった上で、仮に失敗したら私たちが責任を持つ。だから一生懸命にやろう」という思いで事業を展開してきました。今後お迎えする方にも、ぜひ挑戦してほしい。そう、考えています。