今回は、リクルートからパートナープロップに転職し、プロダクトマネージャーとして活躍する菱沼奏流さんにお話を伺いました。大手企業での確立されたキャリアパスから、スタートアップでの挑戦的な環境へと舵を切った理由、そして実際に転職して感じたギャップや成長について、率直にお話しいただきました。
菱沼 奏流/Product Manager
大学卒業後、株式会社リクルートにてHR領域のプロダクトマネージャーとして従事し、新規メディアの立ち上げ、サービス全体の大規模リニューアル、UX改善施策の立案・実行の推進、プロダクト開発チームのオペレーション最適化などを担当。2025年よりPdMとしてパートナープロップに参画。AIを活用した開発プロジェクトを推進。
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大手からスタートアップへ。キャリアの選択と転機
——新卒でリクルートに入社された理由と、当時のキャリア観について教えてください。
大学では感性工学を専攻し、IT領域の基礎を学びました。エンジニアリングやデザインも経験しましたが、「この分野で一番になれる」という確信は持てず、もっと総合的な視点で事業全体に関わりたいという思いが強かったんです。
加えて、年功序列や体育会系の文化は苦手で、風通しの良いフラットな環境を求めていました。リクルートは、前例のない新規事業に挑戦する組織文化が根付いており、そこに大きな魅力を感じましたね。何より、「自分が介入したいと思える、人生のライフイベントに即した分野」で働きたいという強い想いがあり、入社を決めました。
——リクルートでの具体的な業務内容と、大手企業ならではの「壁」についてお聞かせください。
リクルートでは約3年半、HR領域のプロダクトマネージャーとして多岐にわたる業務を経験しました。具体的には、UX改善施策の立案と実行(いわゆるグロース)、大規模なサービスリニューアルのプロジェクトマネジメント、そして新規メディアの立ち上げなどです。
大手企業ならではの「壁」として感じたのは、意思決定のプロセスが非常に慎重である点です。一つの改善案件をリリースするにも多角的な検討と何段階ものレビューが必要ですが、これは大規模なリソースを動かし、社会的な影響力も大きい組織として、確実な成果を担保するための重要なプロセスでもあります。
そのため、初見の承認者でもリスクや意図を正確に把握できる丁寧な資料作成が求められ、多忙な上司との日程調整にも粘り強さが必要でした。大人数での分業体制が確立しているからこそ、他部署を巻き込む際は複数のレポートラインを通す必要があり、リードタイムは長くなります。しかし、一度合意が得られれば、組織の総力を挙げて大きなインパクトを生み出せるのがこの規模の強みであると実感しました。
——転職を考え始めたきっかけと、パートナープロップとの出会いについて教えてください。
リクルート時代は、社外の方とほとんど接点がなく、プロダクトマネージャーとして、外部でも通用する経験を積めているのか、自分の腕を試したいという思いが次第に強くなりました。また、リクルートでのミッションでは経験が難しい領域にも挑戦してみたいという気持ちもありました。
そんなとき、偶然PIVOTというメディアでパートナープロップの記事を見つけたんです。当時はまだ「パートナーマーケティング」という領域にプロダクトがないことに興味を持ち、求人サイトで募集を見つけたのをきっかけに応募したのが、パートナープロップとの出会いでした。
——大手からスタートアップへ転職してギャップはありますか?
実際に転職してみて、まず感じたのはスピード感と当事者意識が段違いだということです。全員が本気で事業を伸ばすことにコミットしているのが伝わってきます。人数が少ない分、物事の決定が非常に早い。大企業だと、自分の評価や出世が先に来てしまいがちですが、ここでは全員が「自分が事業を伸ばすんだ」という強いオーナーシップを持っています。
一方で、大企業の強みも改めて実感しています。基礎的なプロジェクトマネジメントの徹底はすごいと感じました。スタートアップは常に状況が変化するため、プロジェクトの仕切りがおろそかになりがちですが、そこから逃げずにやり切ることは改めて大事だと感じています。
オフサイトにて発表する菱沼さん
AIドリブンな未来と個人の成長
——現在の業務内容と、プロダクトマネージャーとしての役割についてお聞かせください。
現在は、当社のプロダクト開発全般を担当しています。具体的には、プロダクトのロードマップや優先度の策定から、開発Itemの要求設計、実装、顧客が価値を理解するためのコミュニケーション設計などの実行に至るまで、幅広い業務に携わっています。一つのプロダクト全体に対するオーナー的な立ち位置を任せてもらえており、裁量・やりがいともに非常に大きいと感じます。
また、プロダクトマネジメント組織の立ち上げに際し、「プロダクト開発組織全体がどのような文化や体制になっていくべきか」を考えるミッションをもらいました。組織設計という領域は、自分がいつかやってみたいと思っていたことだったので、とてもありがたいです。
——菱沼さんが考える「AIドリブンなプロダクト」とはどんなものですか?
プロダクトマネージャーとして、私はAIを「あくまで課題を解決するための手段(How)の一つ」として捉えています。AIを過度に持ち上げたくはありませんが、急成長しているグローバルプロダクトはAIによって価値を最大化している事実は無視できないです。必要に応じて、価値向上の重要な変数と捉えて積極的に活用していきたいです。
AIありきのプロダクトにならないようにすることが第一に考えていることです。AIという手段が先行してそれっぽいだけの使えない機能になったり、セキュリティ的な問題を起こしてしまうような、ユーザーがネガティブな印象を持ってしまう状態を避ける。その上で、複雑なパートナーマーケティングという活動をシンプルにしていくことを目指しています。
月次レビューにて話を振られる菱沼さん
組織課題とプロダクトマネジメントの進化
——菱沼さんが考えるプロダクトマネージャーとしての今後の方向性は?
AIによる開発の自動化が進む中で、プロダクトマネージャーの役割は、より深い事業ドメインの理解や文脈(コンテキスト)の獲得へとシフトしていくと考えています。特に新規プロダクトの立ち上げにおいては、事業価値の本質を特定する「ディスカバリー業務」の重要性が増しています。
現在、私は対象ドメインのミッションを一部引き受け、実際の業務を自ら体験するプロセスを重視しています。これにより、従来の調査手法では得られなかったさらに一段深いアプローチで、現場のリアルに根ざした価値探索を実践しています。
また、今後さらにサービスを展開する際には、プロダクトマネージャーが事業全体を見て、マーケティング費用の管理やP&Lを持つような事業責任者的な役割に発展していくと思っています。
パートナープロップで挑戦したいこと
——パートナープロップで挑戦してみたいことは?
プロダクト組織の組織設計と人材育成に挑戦したいです。カオスな状況でプロダクトが増えていく中で、採用も含めてどういう人を取り、どういう組織にしていくかを考えられるポジションは非常にやりがいがあります。
プロダクトマネージャーとしては、複数プロダクトが立ち上がった際の優先度決定や、事業戦略を満たすためのプロダクト戦略の中長期的な組み立てなど、より上位のプロダクトマネージャー役割に挑戦していきたいです。
——どんなプロダクトにしていきたいですか?
営業が良いから売れるプロダクトにはしたくありません。優れたプロダクトを優秀な営業が売るという状態にしたいです。導入後に現場から「使いづらい」と言われるような状況は避けたいと思っています。
最終的には、グローバルでNo.1を取りに行きたいです。海外には類似領域のサービスが多数ありますが、それらと勝負できるサービスを作り、グローバルに通用する会社にしていきたいです。
——最後に、「今のままでいいのかな」「チャレンジしてみたい」と悩む方、そして転職を考えている方へのメッセージをお願いします。
大企業とは環境が何もかも違うので戸惑うことも多いかもしれません。しかし、それ以上に事業への貢献度が目に見えてわかるため、得られるやりがいや楽しさが多いです。少なくとも、個人として体験できるチャレンジの幅は確実に広がります。ぜひ一度挑戦してみることをお勧めします。
そして、大手での経験は間違いなくスタートアップで活かせます。優秀な上司から揉まれた経験で培った成果物の質やプロジェクトマネジメントの基礎力は、スタートアップだけを経験してきた人よりも優位に立てることが多いです。事業やプロダクトに対して、より大きな裁量と責任を持って働きたい人は、ぜひスタートアップという選択肢を視野に入れてみてください。