【CPOインタビュー】組織力強化のカギは「全体最適化」。行動指針と評価制度を磨き上げ、失敗を恐れず能動的に活躍できる土壌づくりに邁進。
「最後まで自分らしくあれる社会」を実現するべく、オンライン診療を主軸に法人向け予防医療サービスを提供している株式会社リンケージ。2024年に参画した取締役CPO・吉田 聖志(よしだ きよし)は、長くIT業界に身を置いてきたものの医療領域は未経験で入社。人と仕事に真摯に向き合った結果、入社からわずか80日でCPOに抜擢されました。
現在は品質責任者としてよりよいサービス、プロダクトの形を追い求めるだけでなく、取締役として組織改革にも奔走。「プロダクトで会社を強くしていく」ために大切にしている価値観や、多彩な経験を経て辿り着いた「リンケージらしい」マネジメントについて話を聞きました。
ーーリンケージに参画した背景と、現在の役割について教えてください。
参画の一番のきっかけは、はてな時代の同僚だったそーだいさん(リンケージCTO・曽根壮大の愛称)に声を掛けてもらったことです。医療ドメインの企業で働くことは初めてでしたが、リンケージが展開するサービスに共感を抱き入社を決めました。
リンケージの主軸サービスのひとつに「オンライン禁煙プログラム」があります。実は私も元々喫煙者で、自力で強引に禁煙したひとりです。
その際に実感した禁煙を成功させる難しさや、喫煙をやめたことにより自分だけでなく身近な人のウェルビーイングも向上したという経験から、ITの力で禁煙へのハードルを下げる「オンライン禁煙プログラム」は素晴らしいプロダクトだと思いました。
加えて、私には娘が二人いるのですが、彼女たちの健やかな未来を考えたときに、リンケージの婦人科領域のプロダクトが成長し、大人になった彼女たちが今よりももっと働きやすい社会を作ってあげたいという思いもありました。
入社して特に新鮮に感じたのは、医療従事者や医療資格保有者といった、IT業界ではない組織をバックボーンに持つ人が多く在籍していることでした。これまでずっとインターネットに関わる会社で働いてきたので、そうした人たちとのコミュニケーションはさながら異文化交流のようでした。
その「異文化」を自分の中でどう解釈し、尊重しながら事業を進めていくのか、工夫と発見の連続だったことを覚えています。
現在は各プロダクトのコンディションの確認やアイデアの提起をはじめとする品質責任者としての業務に加え、評価制度やValuesの改定、働きやすくするための細かい制度設計といった、取締役として会社をよりよくしていくための仕事の比重が増えてきています。
ーープロダクトの品質管理において、大切にしていることはなんですか?
根本的には、「そのプロダクトが何のためにあって、誰に対して価値を提供するのか」という点にどれだけ留意できるか、私たちが向き合う社会課題に対して実現可能な形でプロダクトが成立するかという点を最も重視しています。
渦中にいるとそれらが見えなくなってしまったり、無意識に多勢や慣例に影響されてしまったりといったことが起こるのですが、そこを見極めて指摘することは重要だと考えています。
医療業界をはじめ、「既存の取り組みをやり続ける」ことを重視する業界は世の中に多くあります。先人たちが長い時間をかけて築いたガイドラインを遵守する文化はもちろん大切にするべきです。
一方で、「その方法は本当に効率的か」「非効率ならどう変えられるか」「変えたときにどんなインパクトがあるか」を常に問い直すことも同じくらい重要だと考えています。ときにはITを活用して、既存の仕組みをゼロから疑う目線も意識的に取り入れています。
具体的には、オンライン診療プログラムのオペレーションコスト削減や、インシデントリスクを減らすための開発・改修を進めています。
医療領域は法改正など変化が多い分野であり、新たな処方薬の流通に伴うオペレーション変更など、時代の変化に素早く対応することが求められる場面も少なくありません。
ーー会社として大切にしているValuesについて教えてください。
入社してすぐの頃、社内の会話でValuesについて口にする人が少ないことに疑問を感じました。言わないと浸透していかないことに加え、「メンバーがValuesを自分ごととして捉えきれていないのでは」という印象を持ちました。
元々あった3つのValues(※現在の「Core Principles」であるProfessional、Enjoy the changes、Gift)も良いものだったと思います。ただ、それぞれの抽象度がやや高く、日々の行動に落とし込むには一定の読み解く力が必要で、社内への浸透を妨げる要因のひとつかもしれないと思い至りました。
そうしたこともあって、元の3つのValuesを上位概念のCore Principlesとし、その下に新たに策定した5つのValues(「Extreme Ownership」「Proactivity」「Value Add」「Just do it, Don’t ask」「Design It」)を置くという構造にしました。この概念に辿り着くまでが大変でしたが、そーだいさんと議論を重ね、新たなValuesは言い回しも含めて行動指針に落とし込みやすい形になるように工夫しました。
例えば、Valuesのひとつである「Extreme Ownership」は、言い換えれば「他責にしない」という行動指針になります。これは、環境や状況のせいにせず、起きている事象に対して自分のゴールではなく組織のゴールに向かって動けるかをメンバーに問うています。また、このValueには「最後までやり切る」ことも含まれます。
さらに、「Just do It, Don’t Ask」には「失敗が好き」というフレーズを添えており、失敗も含めて学びであり、社内に共有するところまでしっかりとやり切ることを求めています。
世の中に挑戦を促そうとする企業は数多くありますが、失敗の受け皿となる土壌がないと挑戦できないですよね。だからこそ私たちは「失敗を許容します」と明確に言っておきたかったし、挑戦するために失敗から学ぶマインドを持ち続けてほしいと考えています。
ーー組織力強化のために実践していること、大切にしている価値観はありますか?
2024年に評価制度を見直した際、シニアレベルのグレードにおいては、MBO(目標管理制度)における定量・定性二軸の評価ウェイトを一般的な比率と逆転させました。
一般的なマネージャークラスの評価では、目標をどれだけ達成できたかという定量的な評価ポイントが80〜90%を占め、その人ならではの行動的な振る舞いに対する評価ポイントは10〜20%に留めることが多いです。しかし、リンケージでは成果は出して当然のものとして、定量的評価のウェイトを下げています。代わりに「Values形成評価」として5つのValuesをどれだけ体現できているかという定性的評価にウェイトを置いています。
特殊な事例に思われるかもしれませんが、私たちはこれを当然だと考えています。組織においてはValuesが体現できている人がどれだけいるかが重要であり、特にシニアレベルの人には多くの人のロールモデルになってほしいという想いがあります。「あの人は『Extreme Ownership』を発揮しているな」、「『Design It』して効率的な仕組みを作り、再現性を高めているな」と他のメンバーに思ってもらえる人であるかどうかが大事だと考えています。
事業会社が成長するには、局所最適よりも全体最適の方が成長幅が大きくなるというのが私の考えです。
自身の話になりますが、これまでのキャリアでは、マネージャーとしてチームのアウトカムを最大化するマネジメント=局所最適化は得意でした。しかし、視座を上げれば上げるほど、個々でできることには限りがあると気づきました。
一方で、各メンバーの自律的な成長やキャパシティの拡大を支援することで、組織全体が強靭になっていくとも思いました。それをきっかけにコーチングを学び、合理性をとりながらもそこから溢れた非合理性を柔軟に受け入れるバランス感覚を意識しながら、個人の成長をいかに再現可能にするかについて探求し続けています。
ーーリンケージで共に働く仲間に期待することはありますか?
これからのリンケージでは「プロダクトを通じて会社を強くしていく」という視点を持てる人が活躍できると考えています。プロダクトの改善・価値向上をプロアクティブに推進できる人が活躍しており、小さく検証しながら前進する、合理的でないものを放置しない、重いフィードバックに真摯に向き合うという姿勢を保ちながら、地道な仕事も厭わず、顧客・ユーザーに価値を届けるために最後まで責任を持てる人を求めています。
また、職域や役割を超えて能動的に動ける「越境力」を持てる人が活躍していきます。組織を強くしていくために、自己犠牲ではなく自発的に組織に貢献していく。そういう人と一緒に働きたいと思っています。
私たちの使命は、「予防医療」領域のテクノロジーで社会をより良くしていくことです。予防医療の領域は、テクノロジーを通じて解決できることが増えていく一方で、構造的な課題もまだ多く残っています。
そうした課題を解決し、よりよい世界を一緒に作っていきましょう。