大手IT企業での華々しいキャリアを持ち、周囲を圧倒させる結果を出し続けてきた凄腕のデジタルマーケター、Koike。そんな彼が、なぜ畑違いのコーヒー業界に、そしてなぜKurasuに飛び込んだのか。2024年2月の入社以来、EC・オンラインマーケティング担当者として精力的に活動している彼に、入社のきっかけや取り組んでいる仕事、今後のビジョンについて聞きました。
大手IT企業で培ったWeb戦略の知見を携えてKurasuへ
——Koikeさんのこれまでの経歴について教えてください。
僕はサッカー王国と呼ばれる静岡県の出身で、小学生のときから高校を卒業するまでずっとサッカー漬けの生活を送ってきました。大学進学を機に上京し、大学在学中はフットサル部の部長としてフットボールを中心とした生活を送りました。
大学卒業後は、新卒でスポーツ関連企業に入社し、販売員とECサポートを経験したのちヤフー(現 LINEヤフー)に入社。ヤフーでは、ECにおけるストアコンサルと広告営業・運用に携わりました。
得意としていたのは、担当するストアの課題抽出から戦略プランニング、企画提案、実行、分析など、売上を伸ばすために建設的な関係を構築することです。マーケティングって華やかに見えますが、中身は泥臭くて。それが自分に合っていたのかもしれません。約200人いる組織の中でMVPと広告予算達成率1位を獲得できたことが一番印象に残っています。
(ヤフーで全社MVPを達成したときの写真)
その後、さらなるキャリアアップを目指して転職し、KDDIグループ会社でデータマーケティングと広告運用を担当、大手サロン美容事業会社にてEC事業の販促企画を担当し、マーケターとして経験を積みました。
——ヤフーから一貫してIT業界でのキャリアを築いてきたのですね。なぜそこから畑違いのKurasuに入ることになったのでしょうか。
前職の会社が移転することになり、部署移動に加え、働き方も変わるというアナウンスがあったんです。自宅から片道2時間の距離になってしまうため、その会社で働き続ける以上は引っ越しをしなくてはならなくて……。それが転職を決意した直接のきっかけです。
それまでずっとIT業界でWeb戦略の知見を深めてきましたが、30代に入ったこともあり、まったく異なる業界で新しい挑戦をしてみるのもいい機会だと考えました。始めたばかりの転職活動でKurasuの募集を見て、応募前に「話を聞いてみたい」ボタンを押して面談をしたのですが、実質それが面接のようなもので、ありがたいことにオファーをすぐにいただきました。
その後に大手企業3社からもオファーをいただいて、正直なところ迷いました。大手に転職すれば、いわゆる王道ルートでキャリアを積んでいけるでしょう。一方、まだまだ若く体力もある状態で未経験のベンチャーに飛び込み、培ってきたスキルを活かしてまったく新しいことに挑戦するのも面白そうです。
悩みましたが、「世間的な評価やプライドは別にして、どこに入らなかったら後悔するだろうか?」と自問自答し、最終的に「Kurasuで働いてみたい」という心の声に従いました。住環境を変えず、リモートワークでマーケティングに関われることも決め手でした。
——勇気のいる決断だったのではないかと想像するのですが、Kurasuに入社するにあたって不安はありませんでしたか。
自分にコーヒーのバックグラウンドがないことが不安要素でした。「僕、苦いブラックコーヒーが飲めないんですが、大丈夫ですか?」と代表のYozoさんに何度も尋ねましたよ(笑)。当時はまだグラインダーを持っておらず挽いた豆を買っていたくらいで、コーヒーに対する圧倒的な熱量とこだわりを持つKurasuに自分が入って大丈夫だろうかと思っていました。
それでも、コーヒーは好きだったんです。ヤフーで働いていた頃、よく会社の帰りにDEAN & DELUCAに立ち寄って資料を作っていたのですが、そこで飲んだカフェラテやコーヒーがとてもおいしくて気に入っていました。そこで飲む一杯には不思議と包容力があり、一日働いて疲れた体と心に元気をくれて、「もうすこし頑張るか」と思えたんです。
Kurasu入社にあたり、コーヒーに関する知識や経験の乏しさには引け目を感じましたが、ECにおけるマーケティング活動やサイトの見せ方、分析方法などには自信があったので、そちらでパフォーマンスを発揮していこうと考えました。
ECの「なんでもプレイヤー」になる大変さと面白さ
——KurasuにはEC・オンラインマーケティング担当として入社されたそうですが、どのような業務を担当されているのでしょうか。
Amazonや楽天市場などのECモールのサイト運用、広告運用、ディレクション、そして、自社EC(Shopifyストア)のメンテナンスやマーケティングにおける施策立案から実行・分析、売上管理まで、幅広く携わっています。
前職ではマーケティングチームが構成されていましたが、KurasuにはECの数字を見たり、施策を管理したりする人がする人がいなかったので、すべて一人でやる必要がありました。自分で目標やKPIを立て、どこに課題があるのか見つけ、課題を切り分けてアクションプランを作り、実行して、振り返る……。要は、PDCAサイクルを一人で回していく感じです。
チームでマーケティングをする場合は、プランニングする人、実行する人、分析する人というように役割が分かれるのですが、Kurasuでは自分だけなので「なんでもプレイヤー」にならなくてはいけません。大変ではありますが、そのぶん面白さもあります。
僕はデータをこねくり回すのが好きですし、前職では数十もの担当するストアを見る必要がありましたが、現在は自社のみに注力できるので、売り方やターゲット設定において、より戦略的なアプローチができるようになって、すごく面白いなと感じています。
——これまでに苦労したことがあれば教えてください。
Kurasuは現在急速に成長しているために、組織としてこうあるべきという企業理念がまだ固まり切っておらず、その部分では苦労した……というか、今もその最中です。マーケティングにおいては、お客様にどのような形で商品を届けたいかによって、プロジェクトの方向性や販売戦略が変わってきます。
ECサイトに置くバナー1つを取っても、ターゲットに合わせて雰囲気を変えますし、入れるテキストの内容やフォントサイズも変えるんです。たとえば、中高年層をターゲットにする場合は文字を大きめにして情報を盛り込みすぎないようにしたり、逆に若い人をターゲットにする場合はキャッチーでポップな感じにしたり……。
でも、目指すべき方向が定まっていないと、統一感がなくなって、ちぐはぐな感じになってしまうんです。そうならないように、現在はABテストなどで検証して「Kurasuとしてどうあるべきか」を固め、フォーマットを作ろうとしてます。
これまでKurasuは、Yozoさんを中心とする経験豊かなメンバーの「肌感」でやってきたところがあります。「感覚的にこうだから、多分こうするといいだろう」というように。
こういった肌感を否定するわけではなく、オンライン事業をもっと大きく成長させるために、そこにデータ分析の力をプラスしたいと考えています。しっかりと検証してデータドリブンな判断をすることで、「多分こう」という肌感を確信に変えることができます。それが自信につながって、なにか意思決定するときにも「Kurasuはこうだから」と言い切れるようになるんです。
まだ道半ばで、検証を繰り返してデータを貯めている段階ではありますが、これからやれること、やりたいことがたくさんあって、ワクワクしています。
それぞれが専門性を発揮し、尊重しあえるカルチャー
——Kurasuのメンバーとはどのようなコミュニケーションを取っていますか。
現在、EC・オンラインマーケティングの担当は2名体制ですが、Kurasuにはエンジニア、デザイナー、カスタマーサクセスといったプロフェッショナルがいます。前職でも社内外のさまざまなポジションの方々と連携してディレクションをすることが多かったので、経験を積むうちにどのようなコンタクトの仕方をするとよいか次第にわかるようになってきて。
たとえば、メールマガジンであれば丸投げするのではなくワイヤーを作ってから依頼するほうがいいとか、Slackではどのチャンネルにどう投稿すると関係者が見やすいかとか……。基本的にリモートワークですが、知見を活かしてスムーズにコミュニケーションを取ることができていると感じています。
業務上関わることが多いShopifyエンジニアのSatoさんと、Kurasuの海外サイトを担当しているKatsumuraさんは、それぞれ大きな企業でITやWebまわりを経験してきた方です。年齢も近く、仕事がしやすいです。それぞれの得意分野とスキルセットを持ち寄り、目標に向けて一緒に取り組める良いチームだと思っています。
(絵を描くのが好きというKoikeさん。こちらはアニメ『呪術廻戦』をオマージュして描いたKurasuオンラインチームの似顔絵)
——Kurasuの社内文化についてどう感じますか?
Kurasuにはさまざまなバックグラウンドやスキルを持っていて、かつプロフェッショナルな人たちが集まっていて、たくさんの刺激を受けています。
ロースター、バリスタ、オリジナル商品の開発担当、国内外のプロダクトマネージャー、営業・SNS担当など、自分の領域でスキルを発揮できる人ばかりです。お互いを尊敬・尊重しながら、みんなでフォローしあって仕事を進めていく文化があると感じています。
スペシャルティコーヒーから生まれる幸せな時間
——Kurasuで達成したい目標や、キャリアで成し遂げたいことはありますか。
Kurasuで商品を購入してくれる方は比較的コーヒーリテラシーが高く、リピーター転換率が60%以上もあります。つまり、一度買った人がその後も買い続けてくれているわけで、商品はすごくいいんです。
しかし、商品さえよければ勝手に売れていくわけではありません。スペシャルティコーヒーという一見高級感があり玄人好みな雰囲気を持ちあわせている世界に、より多くの人々を引き入れ、気軽に楽しく購入できるよう販路や経路を作っていくことが、売上を伸ばし事業を拡大していく上での課題だと感じています。
Kurasuが持つアイデンティティを踏襲した上でコーヒーが持つ本質的なおいしさを伝え、新しいファンを増やしつつ、既存のお客様の満足度も上げていきたいです。Kurasuで買ったコーヒーで、その方々の暮らしがより豊かなものになったら嬉しいですね。
僕はずっとサッカーをやってきたので、サッカーをはじめとするスポーツ観戦をよくします。そのほか、映画、ドラマ、アニメ、マンガといったエンターテインメントも好きです。誰かをワクワクさせたり、幸せな時間を提供できたりするサービスも一種のエンターテインメントだと思っていて、そこにはスペシャルティコーヒーも含まれています。
Kurasuがコーヒー豆や器具の販売を通じて、飲み物としてのおいしさだけでなく、楽しさや充実感、ときには感動も伝えていける会社になれたらいいなと思っています。
Kurasuには、国境をまたいだ複数のEC販売チャネルがあり、日本および世界で売上を拡大できるフィールドがあります。その環境で、販売戦略、販促企画、コンテンツ作成、CRMからのファン拡大などの取り組みに挑戦し、マーケターとして活躍していきたいです。
——Koikeさん、ありがとうございました。最後に今お気に入りのコーヒーを教えてください!
僕はハウスブレンドのミディアムとダークが好きです。もともとブラックコーヒーが苦手だったのですが、Kurasuのスペシャルティコーヒーはすごく飲みやすくて。深みがありながらも、爽やかな果実感と甘み、フレーバーをしっかりと感じられます。
ホットで飲むのも好きですが、Kurasuのレシピを参考に、コールドブリュー(水出し)で飲むのもお気に入りです。前日からコールドブリュー用ボトルに仕込んでおいて、次の日にリモートワークをしながら飲んでいます。リモートワークのおともに最高です!