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人の真似では自分の料理なんか一生作れない。自分の中の目標が料理人の道を切り開く。

一流の料理人になるためには、長く厳しい修行を乗り越えなければならない。しかし、それを終えた先に、自分のお店を持ったり、新しい料理を作り出せる料理人はどのくらいいるのだろうか。
約15年前、放送が開始された料理の鉄人にて、初代「和の鉄人」として活躍した道場六三郎。銀座の「ろくさん亭」は日本最高の和食店と評される名店だ。
そんな銀座「ろくさん亭」で修行を積み、料理の鉄人で道場六三郎のアシスタントを任されていたのが新井常雄さんだ。ろくさん亭を退社後は、数々の飲食店で料理長やメニュー開発を任されてきた。そんな新井さんは、恵比寿横丁を始め、東京の各地に前例のない形態の飲食店をオープンさせ続けている株式会社浜倉的商店の総料理長に、2016年から就任している。
そんな新井さんに、料理人として成功するために必要なこと。そして、急成長する話題の飲食店のリアルを聞きました。

目的のない修行は将来の役に立たない

-簡単に新井さんの料理人としての経歴をお伺いできますでしょうか?
私は高校卒業と共に料理人の道に入って、山梨の料亭でキャリアを始めました。そして、26歳の時に出場した山梨の料理コンテストでグランプリを獲得することができたんです。元々東京で勝負したい!と思っていたので、それをきっかけに東京に行く決意を固めました。
当時、和食の最高峰とされていた銀座「ろくさん亭」に見習いとして迎えていただきました。料理の鉄人と言われる道場六三郎さんの下で10年ほど修行をして、ひたすら和食を学びました。
-ろくさん亭での修行はどうでしたか?
元々しっかりとした環境で10年基礎を学ぼうと思っていました。とはいえ、名高い名店なのでよそ者を寄せ付けないような厳しい雰囲気もあったので、最初に馴染んでいくまでに苦労をしました。
厳しい環境でしたが、やっぱり料理は基礎が何よりも肝心です。偉大な料理人の下で基礎が学べて本当に役に立っています。
-その後はどんなキャリアを進まれたのでしょうか?
いつか自分の料理の腕で勝負したい!という目標がありましたので、当時NYに店舗を出店して、世界で日本食を提供していたフードスコープという会社に転職しました。その後は、飲食店の統括料理長やメニュー開発のお仕事をしてきました。
-すごく順調なステップアップだと感じたのですが、料理人のキャリア形成で重要な事は何でしょうか?
目標を持つこと。これに尽きるんじゃないでしょうか。これは料理人に限らずだと思いますけど、いつまでに何をしたいか。これを明確に持っておくことだと思います。
目標を持って、いま自分がいるお店や環境を選ぶ事が出来れば、掲げた目標を実現しやすいですよね。でも、料理人として目標を持たなければ、ただ言われたメニューを作り続けるだけになってしまいます。先程も言ったとおり、料理は基礎が重要です。しっかりと成長できる環境に、目的を持って身を置くことが重要だと思いますよ。

料理は方程式+α 誰かの真似をしていても良い料理は作れない

-新井さんは様々な飲食店でメニュー開発をされていますが、その発想はどこから来てるんですか?
良い料理を作るためには、方程式というモノがあります。まず最初に、「煮る・揚げる・焼く」などの調理方法を決めます。例えば焼くという調理方法に決まったら、「藁で焼く・フライパンで焼く・炭で焼く」などの詳細を決めていきます。あとは、どんな食材を使い合わせていくかを決めていく。基本的に料理は方程式なんです。
そこに、+αを加えていく。僕の場合は、ろくさん亭で働いていた時に、料理の鉄人という番組にアシスタントとして出演していた影響で、どの食材をどんな方法で調理すると美味しい料理が出来るか?というのを毎日ノートにまとめていました。
-毎日ノートにアイディアをまとめていたんですか。
そうですね。料理って長い間変わってないんですよ。調理器具が進化してきたり、最近では一口サイズでたくさんの料理が出てくるコース料理なんかも生まれていますが、根幹は大きくは変わりません。お寿司屋も料亭もなくなることは無いですからね。
なので、応用的な料理を作れるようになるには、引き出しを多く持っておかなければいけません。そう考えてきたので、若い頃からアイディアのメモだけは欠かさずにノートに書き留めていました。基礎を応用して、オリジナリティーのある料理を作るためには、やっぱり努力は必要だと思いますね。

料理人ならお客さんと勝負できる環境を選べ

-いま、酒場等の飲食店では決められたメニューを作り続ける方が多いんじゃないかと思います。
そこで料理の基礎が学べるなら、いいんじゃないかと思いますよ。丁寧にレシピ通り作り上げることも重要です。
でも、基礎が固まってきたと感じているのなら、お客さんと勝負する環境を選ばないと誰かの考えたメニューを作るだけの料理人になってしまいます。
-料理人として成長するために、どんな環境を選ぶべきなんでしょうか?
料理人として基礎の部分が固まったのなら、お客さんの前で応用した料理を提供できる環境を選ぶべきだと思います。自分でレシピを考えたメニューをお客さんに出す経験です。
誰かのレシピで料理を作っていても成長は止まってしまうので、この経験ができる環境に飛び込むのが重要ではないでしょうか?
-料理に自信があっても、自分の料理を出せないって方も多いのかもしれません。
基礎ができないと応用ができないので、実際にメニュー作りが出来る料理人になるのは難しいかもしれませんね。それこそ、最初から目標を持って、努力を続けていなければいけませんから。

挑戦と成長できる居場所を作りたい!

-新井さんは浜倉的商店でどんなことをされているんですか?
元々自分のお店を作りたいって時に、代表の浜倉に声をかけられたんです。どうしてもお願いしたい!って熱意に負けて、総料理長としてお手伝いさせていただくことを決めました。
基本的には、横丁スタイルの酒場で出すメニューを作ったり、お店の統括をしています。横丁のガヤガヤしたお店から、びっくりするくらい美味しい料理が出てきたらきっと嬉しいじゃないですか。すごくやりがいも感じてますよ。
また、地方の食材を探すことも大切な仕事の仕事です。
「生産者をスターに!」という浜倉的商店が取り組んでいる新プロジェクトがあります。「生産者をスターに!」するためには、地方に行って、生産者さんが作っている現場を見て、直接話をして、想いを知って、というのはとても大切なことだと思うんですよ。
この前なんかは、一か月のうちに、福岡、大阪、高知、千葉とまわって、各生産者さんに会いに行ってきました。弾丸ツアーでしたけどね。笑
生産者さんに会うことで、新しいメニューの発想につながることもたくさんあります。
何より、生産者さんの顔を知っていることで、僕自身の思い入れも違ってきます。
地方に行くときは、僕一人で行くのではなく、若手の料理人も一緒に連れて行くようにしています。
彼らにとっても、良い勉強になりますし、良い刺激になりますからね。
浜倉的の店づくりは、いつも「生産者さん=食材とのご縁」から始まります。その店を日々、ブラッシュアップしていくためには、今後生産者さんとのつながりが、より一層大切になっていきます。これからも、弾丸ツアーを続けていきますよ。
-他にもなにかされてるんですか?
お店に出ていって掃除をしたり、看板を作ることもします。お店に入ってもらわないと料理はお客さんに届けられないので、そのために必要なことは経験を活かして何でもやりますよ。あとは、僕自身もメニュー開発をしますが、最近では若手の料理人にメニュー開発を任せ始めています。
-新井さんがすべてのメニューを作っているわけじゃないんですね。
浜倉的商店には、目標を持ったスタッフが多いんですよ。自分の料理を作りたかったり、将来自分のお店を持ちたいって人だったり、産地の生産者の想いや食べ方を伝えたいんだ!って。
なので、彼らには出来る限り挑戦させていあげたいと思ってます。もちろん、口出しもしますけどね。笑


-新井さんがいることで安心して成長できたり、挑戦できそうですね。
浜倉的商店で使う食材は、生産者や産地にこだわってるんですね。なので、実際に食材や生産者に会いに行ったりするんですよ。
そこで吸収したものをちゃんとぶつけてくる。人から言われたことをやっても気分が乗らないじゃないですか。自分で感じて、自分でレシピを考える。だから失敗しながらでも成長していけると思うんですよ。
-なるほど。料理人から見て、浜倉的商店には他に特徴はありますか?
お客さんと向き合って実践できる環境が整っていると感じています。なので、若い料理の作り手に基礎を教えながら、実践するのにはいい環境です。新しい店舗が出来ると決まれば、若い料理スタッフと一緒に、毎週のように一緒にメニュー開発をしていますよ。
僕がすべてメニューを作ることも出来るんですが、それじゃあ層が拡がっていかないじゃないですか。若者に自分の料理を試させる場を作ってあげることや、基礎を教えてあげるのも仕事の1つですからね。


料理人として飲食店で働く上で、目標というのはどうしても見失いがちになってしまうのかもしれない。店長としてお店を守ることや、先の見えない下積みなど、自分の料理人としての腕を試す機会が少ないからだ。
料理人には基礎が肝心だ。ただ、お客さんに自分で考えた料理を出すことも同じくらい重要だ。料理人として、なりたい自分になるための環境を選ぶことも大切なことなのかもしれない。
現在、浜倉的商店では3種類の料理人としての募集を開始している。料理長やメニュー開発など、料理人として成長できる環境の募集も始まっている。話題の酒場で料理スタッフとして働く興味がある方は、お気軽に詳細を確認してみてはいかがだろうか。

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【浜倉的「たまり場」をつくる!】 恵比寿横丁の三坪酒場から、集合体である「産直飲食街」、レストラン、おばんざい、船、村上隆オフィスのプロデュースまで、ジャンルにとらわれないプロデュース、直営展開を行っています。 これまで培ってきた経験とノウハウを活かしながらも、従来の飲食店のジャンルにこだわりません。 お客様がシンプルに「楽しい!」と思ってもらえるような新しい「たまり場」を生み出すこと。 スケールメリットを追求する大手チェーンとは一線を画した事業活動を貫いています。 その場所、その店、その人にあるリソースを戦力として活かしながら、コンセプトメイキング、空間デザイン、メニュー開発、イベントPR戦略までトータルプロデュースし、その運営まで一貫して行い、画一的な展開ではなく、地域に根差し、なくてはならない存在店となるために、日々ブラッシュアップを続けています。 【浜倉的「たまり場」をつくるのに欠かせない、「立地」と「素材」】 〇立地は裏切らない 「たまり場」をつくるには、まずは人が集まる立地にお店をあることが第一条件。 これから、人口が減っていく中、有楽町や新橋、上野など、 人が減らない立地でなければ 長く地域に根差した、地域になくてはならない「たまり場」は出来ません。 「立地は裏切らない」 それが、私たちが一等地に出店を続ける理由です。 〇素材は裏切らない 世の中の流れは、綺麗で、おしゃれな 所謂「映え」する料理が主流となっています。 浜倉的は、世の中に逆行するかのように、 あえて シンプルに わかりやすく オーソドックス な料理を提供しております。 ただ、その料理に使用している素材は 産地直送にこだわり、 そして、その素材を職人の手による 手作りにこだわっています。 オペレーションが重く、難しいことはしない。 素材の味を活かしたラインナップ。 「素材は裏切らない」 私たちの「たまり場」に欠かせない 大切な要素です。
株式会社浜倉的商店製作所


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