はじめに
私はITWジャパンでアプリケーションエンジニアとして働いています。
主な仕事は、半導体製造プロセスで使用される真空計測機器の技術サポートです。お客様の課題解決や海外開発チームとの連携を通じて、技術的な価値を提供しています。
2026年3月、私は中央大学ビジネススクール(CBS)を首席で修了しました。
この話をすると、
「MBAで何を学んだのですか?」
と聞かれることがあります。
もちろん経営学も学びました。
しかし私がMBAで得た最大の学びは、経営知識ではありません。
それは、
人と組織を見る視点
でした。
技術者として感じていた違和感
私は長年、真空技術を専門とするエンジニアとして仕事をしてきました。
問題が起きれば原因を分析する。
データを集める。
技術的な答えを出す。
それが私の仕事でした。
しかし仕事を続ける中で、ある疑問を持つようになりました。
技術的には正しいはずなのに、なぜ伝わらないのだろう。
お客様も、社内のメンバーも、それぞれ異なる反応をする。
同じ説明をしているのに、なぜ理解の仕方が違うのだろう。
その疑問が、人と組織を学びたいと思ったきっかけでした。
MBAより大変だった「両立」
MBA生活で最も大変だったのは勉強そのものではありません。
仕事、家庭、学業の両立でした。
当時は幼い子どもを育てながらフルタイムで働き、夜は講義を受け、週末は大学院へ通う生活を送っていました。
決して楽ではありませんでしたが、続けられた理由があります。
一つは家族の支え。
そしてもう一つはITWジャパンの環境です。
私にとって大きかったのは、ITWジャパンが学びへの挑戦を前向きに受け止めてくれたことでした。
MBAへの進学は会社から求められたものではなく、自分自身で決めた挑戦でした。それでも上司や同僚は自然に応援してくれました。
もちろん、MBAに通うからといって仕事の責任が軽くなるわけではありません。成果を出すことは大前提です。それでも「学びたい」「成長したい」という気持ちを否定されることはなく、挑戦する姿勢を歓迎してくれる文化がありました。
働きながら大学院へ通い続けることができたのは、この環境があったからだと思っています。
MBAで本当に学んだこと
CBSのミッションは、
「戦略経営を実践し、自分を変え組織を変え社会を変えるチェンジ・リーダーを育成する」
というものです。
入学当初は遠い話のように感じていました。しかし2年間を振り返ると、その言葉の通り、最も変化したのは自分自身でした。
特に大きな影響を受けたのが露木ゼミでの学びです。
私はもともと、一人で考え、一人で解決しようとするタイプでした。
しかし露木ゼミで研究を進める中で、何度も行き詰まりました。
研究テーマをどうまとめるのか、自分では整理できなくなった時期がありました。
それまでの私は、困った時でもまず一人で答えを出そうとしていました。
しかし思い切って仲間に相談した時、
「なぜそう考えるのですか」
と問いかけられました。
その一言で、自分が思い込みに縛られていたことに気付きました。
研究の方向性を見直すことができ、最終的に修士論文としてまとめ上げることができました。
技術的な知識以上に大きかったのは、
人を頼ること
を学んだことだったのかもしれません。
また、以前の私は正しい答えを伝えることを重視していました。
しかし今は、
「相手はなぜそう考えるのだろう」
という問いから始めるようになりました。
相手を理解しようとすること。
それが人と組織を学ぶ中で得た最も大きな気付きでした。
学びは仕事の現場で活きている
MBAで学んだことは、現在の仕事に大きく影響しています。
私の仕事は、お客様と海外開発チームの間に立つことが少なくありません。
お客様にはお客様の事情があります。
開発チームには開発チームの考えがあります。
その間をつなぐのが私の役割です。
MBAでの学びが活きたと感じた出来事があります。
ある案件で、お客様の要望と海外開発チームの考え方がなかなかかみ合わないことがありました。
以前の私であれば、技術的な仕様やデータを整理して説明することに集中していたと思います。
しかし今回は、お客様が本当に困っていることは何か、開発チームがどのような前提で判断しているのかを丁寧に整理することから始めました。
すると、両者は同じ問題を見ていながら、それぞれ異なる立場から話していることが見えてきました。
私はお客様の背景を開発チームへ伝え、開発チームの制約や考え方をお客様へ共有しました。
最終的に解決策を見つけることができた時、
「技術的な正解を出すだけが自分の役割ではない」
と強く感じました。
人と人をつなぐことも、エンジニアの大切な仕事なのだと思います。
以前は、
「技術的に正しい答えは何か」
を中心に考えていました。
現在はそれに加えて、
「相手は何を見ているのか」
を考えるようになりました。
お客様。
営業。
品質保証。
開発。
それぞれ見ている景色が違います。
だからこそ、その違いを理解し、つなぐことが重要なのだと感じています。
私は今、
技術と人、
お客様と開発、
日本と海外をつなぐ「架け橋」のような存在を目指しています。
MBAが私にくれたもの
MBAを通じて得たものは、知識だけではありませんでした。
新しい視点。
仲間との出会い。
そして、自分自身の変化です。
技術だけを見ていた自分から、人を見るようになった自分へ。
一人で考えていた自分から、仲間と共に考えるようになった自分へ。
組織を変えたわけでも、社会を変えたわけでもありません。
しかし少なくとも、自分自身は変わることができました。
未来の仲間へ
ITWジャパンには、自ら学び、挑戦し、成長しようとする人を応援してくれる文化があります。
私はMBAという形で挑戦しましたが、挑戦の形は人それぞれです。
新しい技術に挑戦する人もいます。
グローバルな仕事に挑戦する人もいます。
新しい役割に手を挙げる人もいます。
大切なのは、自分を成長させたいという気持ちだと思います。
もし、
「もっと成長したい」
「新しいことに挑戦したい」
「技術者としてだけでなく、人としても成長したい」
そう考えている方がいるなら、ITWジャパンには多くの機会があると思います。
私もまだ成長の途中です。
これからも技術を学び、人を学び続けながら、人と人をつなぎ、新しい価値を生み出せる存在を目指していきたいと思います。