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【あびら町長(あびら職員#10)前編】たくさんの"年上"に育てられた少年が、町長選挙に出馬するまで

及川 秀一郎(Shuichiro Oikawa)

1965年生まれ。北海道安平町(旧追分町)出身。高校卒業後に追分町役場に入社。31歳で企画財政課に配属となり、数多くの計画策定に携わる。役場職員として勤務する傍で通信で日本大学に通い、法律について学ぶ。教育委員会事務局次長を勤めた後、2018年の安平町町長選挙に出馬し、当選。趣味はランニングで、道内各地のフルマラソン大会に参加している。100kmマラソンを完走したこともある。

両親から受け継いだ個性と、たくさんの"年上"から身に付けた自分の強み

自分の話の前に両親の話をさせていただくと、私のことが分かりやすいかもしれません。私の父は国鉄のディーゼル運転手でした。父は多才な人で、鉄道マンの仕事をする傍らで、4コマ漫画を本にして出版したり、民謡や尺八の先生をしたりしていました。40歳の頃にはお店を買って、母と一緒に喫茶・スナックのお店を始めたりもしていました。51歳で退職してからも自分の生き方を追求した人でしたが、その背景には13歳で満洲から引き揚げてくるまでに本当に死線をくぐってきたということがあり、平和な時代を生きる我々とは違う感覚を持っていた人だったと思います。

そんな父を支えていた母は、なんでもキッチリこなす人でした。例えば買い物で野菜を買ってきてもすぐに全部の下処理を済ませて、タッパーに入れてきれいに冷蔵庫に並べるとか。そういうところは私も受け継いでる部分があると思います。

そんな家で育った私には、子どもの頃から「仕事」がありました。例えば玄関掃除や雪かき。掃除といってもただ掃くのではなく、掃いた後の線がきれいに残るようにやるんです。でも、当時はそういう時代だったんでしょうね。自分の子どもにもやらせようとしたけど、難しかったです(笑)。

私の生まれた地区には同年代がいませんでしたが、年上のお兄ちゃんお姉ちゃんがたくさんいて、いつも仲間に入れてもらっていました。その経験は今も活きていて、年齢に関係なく気軽に交流できるのが自分の強みになっていると思います。

中学校は地元の追分中学校に進学しました。中学2年の時に同級生の兄が役場に入ったと聞いて、そこで初めて役場の仕事に興味を持ち始めました。地元が好きだったので、「役場で働くのはいいな」と思いまして。それで「追分高校に入ってトップの成績なら役場に入れるんだ」と勝手に思って、追分高校に進学しました。高校時代はバトミントンをしつつ、勉強も頑張りました。1番〜2番をキープしていたと思います。ただ、私の採用年度は募集枠が1名しかないと聞いた時はとても焦りましたね。もちろん追分高校枠なんか無くて(笑)。それでも無事に受かることができ、昭和58年に当時の追分町役場に就職しました。

多くの縁を作った、新社会人時代

役場に入ってから、色んな先輩方と関わりができました。きっかけはスポーツで、卓球や野球、ミニバレーボールなどたくさんやりましたが、特にハマったのがスクエアダンスでした。当時スクエアダンスのイベントをやっていた時期がありまして、最初は人数合わせで出てくれと言われたんです。ただ、やってみると面白くて、町内の練習だけでなく町外の練習にもどんどん顔を出しました。その頃に出来た縁が今も繋がっていて、副町長の田中さんとも実はスクエアダンスで繋がったんです。田中さんは国鉄に勤められていたダンス仲間だったのですが、国鉄解体後に役場に来られてからは一緒に仕事をするようになって、今では副町長として私の業務を支えてくれています。色んな縁に助けられているなと思いますね。

仕事では、最初は福祉係として保育所の施設管理など社会福祉全般を担当しました。それを6年半ほど行った後、総務課に移って給与や人事に関わる仕事を6年ほど行いました。実はこの頃に、通信で大学に通っていたんです。役場の先輩から「そういう勉強の仕方があるよ」と教えてもらい、法律などを学んでいました。この時期にたくさんレポートを書くことになりましたが、その経験もまたその後に大きく活きたと思っています。

(スクエアダンスチームの集合写真。中央で花の首飾りを下げているのが及川さん)

計画作りが育んだ、町の未来を見据える力

31才になった時、当時だとかなり若くして企画財政課の係長に引き上げていただきました。ここでの仕事は町の総合戦略や中心市街地の計画を作ったり、統計調査を行うというものでした。私が担当するまではこうした業務はコンサルタントに外注するのが当たり前だったのですが、私はそこにお金をかけるよりも違うことにお金をかけたいと思ったので、自分たちでやることにしました。大学でたくさん調査やレポート提出を行っていたので、自分たちで出来るんじゃないかと思ったんです(笑)。実際にこの計画作りを行った経験は、自分の大きな財産となりました。

企画財政課に9年在籍した後で教育委員会に移りましたが、ちょうどその時に町が合併することになりました。私は企画課にも一時期併任発令となり、合併第一号の総合計画作りに関わりました。その後は教育委員会で第一期生涯学習計画の策定に関わった後、総務課長補佐として5年ほど総務課に在籍し、安平町まちづくり基本条例の策定や当時の瀧町長の政策秘書を行いました。その後は教育次長としてまた教育委員会に戻り、第二期の生涯学習計画も手掛けました。そして2018年、52歳で町長選挙に立候補するため、安平町役場を退職しています。

(瀧前町長との写真)

先輩のバトンは自分が受け取るという決断。「町長選挙」出馬へ

これまでを振り返ると、自分は本当に色々な経験をさせていただいたと思います。特に計画づくりの役職を任せてもらいましたが、この経験がなければ町全体のことや将来のことを考える機会も無かったですし、町長になるという選択も考えなかったかもしれません。

そもそも町長になるということも突然思い立った訳ではなく、「先輩からのバトンを受け取らないとな」という感覚で、若い時から少しずつ感じていたことでした。ただ、町が合併した時にイメージが出来なくなったこともありました。旧追分町だった時は町の端から端まで分かりましたし、町民の顔も分かってたので、町をこうしていきたいというイメージがあったんです。しかし、合併して町が大きくなると、それが分からなくなったんですね。それでも自分たちで総合計画やまちづくり基本条例を作ることで、色々な町民の方と話をさせてもらうことができ、また自分の中で町の未来像が見えてきたんです。

私は2018年4月に町長になりましたが、その直前までは前町長がもう一期やると思っていたので何も考えていませんでした。しかし、最終的に前町長が選挙に出ないということになり、それまで自分が町の政治の根幹を支えていたという想いもありましたから、「そのバトンは自分が受け取りたい」という想いで町長選挙に立候補することにしました。


【後編はこちら】

【あびら町長(あびら職員#10)後編】ピンチをチャンスに。「子育て・教育のまちづくり」で、町の宝を育てていく | 安平町のエンジン、役場職員の思い
1965年生まれ。北海道安平町(旧追分町)出身。高校卒業後に追分町役場に入社。31歳で企画財政課に配属となり、数多くの計画策定に携わる。役場職員として勤務する傍で通信で日本大学に通い、法律について学ぶ。教育委員会事務局次長を勤めた後、2018年の安平町町長選挙に出馬し、当選。趣味はランニングで、道内各地のフルマラソン大会に参加している。100kmマラソンを完走したこともある。 ...
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【あびら職員#9】「悔しいと思ったら勝ち。」職員の挑戦が生んだ、新たな町の1ページ。 | 職員紹介
旧早来町出身。専門学校卒業後、町内の民間会社で2年間勤務。平成11年旧早来町役場に入庁。約10年間は広報まわりを担当。その後、2度の産休を経て、復職。直近6年間は総務課に所属し、採用をメイン業務として働いている。プライベートでは1男1女の母。 小さい頃は人見知りで、引っ込み思案だったのですが、体を動かすことが大好きな子どもでした。中学は陸上部、高校はバドミントン部に所属しました。 ...
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【あびら職員#8】役場仕事は、10年先を見据えて取り組む仕事。 | 職員紹介
1980年生まれ。北海道北見市出身。札幌の大学卒業後、旧早来町役場に就職。企画商工課、合併協議会、総務課、財政課、教育委員会などを経て、現在は健康福祉課の国保・介護担当。教育委員会時代は安平町の幼稚園の民営化事業に取り組むなど、子育て・教育分野の土台を作る業務を担った。「役場職員は淡々と仕事をすべき」が信条。 ...
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【あびら職員#7】「常に考え、答えを見つけようとする努力」が、明るい安平町を創っていく。 | 職員紹介
1989年10月生まれ。北海道苫小牧市出身。2012年に安平町役場に入庁し、税務課を経て、現在は政策推進課で総合計画の進捗管理などの業務を行う。温厚な性格で先輩職員から可愛がられている。安平町役場野球部ではオールラウンダーとしてチームを牽引する。趣味は庭いじり。 ...
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