今年4月に社内で永年勤続表彰10年を受けられた綿谷さん。
国際営業MKチームのサブリーダーとしても活躍されており、毎日イキイキと働く姿に、どのような気持ちでこの10年間呉竹で働かれてきたのかインタビューしてみました。
【プロフィール】
綿谷 仁史(わたたに ひとし) 35歳
2012年4月、同志社大学院を卒業して㈱呉竹に新卒入社。
入社当初は国際部業務チームに配属され、海外の得意先からの注文処理や通関業務などを行う。
1年半後に国内営業部に異動となり、そこで約6年半京都、滋賀、兵庫、香川、徳島、高知の営業エリア担当となる。
2018年6月に再度国際部に異動となり、現在海外営業として欧州、アフリカ、中南米、中近東など、世界中の得意先との商談や海外出張などに挑戦中。
呉竹で働くことが「良い人たちと、良い時間」を過ごすことになる
■㈱呉竹に入社したきっかけを教えてください。
もともと人が日用的に使う商品を生み出したり、販売したりしたかったので、それが出来る日用品のメーカーをメインに就職活動をしていました。会社を選ぶ上で重視していたのが「社内の雰囲気」と「どのような性格の人が多く働いているのか」の2点でした。人は20代で入社すると、定年の65歳まで約40年間、人生で一番体が元気な時期の大半を職場で過ごすことになります。そのため僕は会社で「良い人たちと、良い時間」を過ごすことが人生の幸せにつながると考え、会社説明会の度に採用担当の方から話を聞いていました。今でもその考えは変わっていません。ある時、呉竹で働きながら同じ大学院に通われていた社員の方に話を聞くと、仕事には厳しく真摯に向き合う一方、性格が優しく穏やかな方が多くて、社内の雰囲気を重視しているとのことだったので、自分の求めている職場かも知れないと思ったのがきっかけです。
呉竹は仕事に対して真剣勝負で、自分の意見も尊重してくれる環境
■実際に入社してどうでしたか?
概ね事前にお聞きしていた内容の通りでした。皆さん本当に穏やかで良識があり、質問をするとなんでも親身になって答えてくれる方たちばかりでした。その一方で仕事には真剣勝負で向き合い、自分に厳しく、得意先の要望や市場が求める商品を、安心安全で高品質なレベルで開発、生産、販売することに必死になっていました。それは自分が入社前に想像していたよりもはるかに真剣なものでした。また伝統産業の会社でありながら、最新の筆記具や画材用品をはじめ、携帯電話や自動車などの製造ラインにも呉竹創業以来120年のコア技術が使われていると知り、新しいことにどんどん挑戦する「チャレンジャー」としての会社の姿勢も面白いと感じました。また今までの前例や常識にとらわれず、商品や社内環境について改善案やアイディアがあれば、メンバー、上司、役員に相談しやすい点も良いと思いました。皆さん本当に前向きで、「ちょっと今からお話良いでしょうか?こんなこと考えてみたのですが」と役員に電話をしてすぐに役員室に相談に行くことも可能です。それくらい自分の意見を持ちやすく、社内の風通しが良いことも良い点かと思っています。
■今どのような仕事をされていますか?国際営業MKチームの仕事内容を簡単に教えてください。
呉竹の海外ビジネスの方針として、現地代理店様をパートナーとして、その国での呉竹ブランドの認知度を協力しながら向上させるということを行っています。これまで80か国以上での輸出実績があり、世界中の国で商品を展開しています。私の担当エリアとしては、主に欧州、アフリカ、中南米、中近東で、一部東アジアやアメリカにも得意先があります。毎日朝一で前日の夜以降に来た海外からのメールをチェックし、必要な対応を取って丁寧に返信していきます。また海外出張に行くこともしばしばあり、現地市場調査や得意先との商談のために1週間ほどの出張に行くことが多いです。現在はコロナ禍で海外出張は控えているのですが、代わりにZoomなどでオンライン商談を行っています。
国内、海外でのいろんな営業経験が成長と自信につながった
■入社してからこの10年でどのような経験をされましたか?
国内営業部(現CS部)では、主に近畿、四国地方の卸業者様、小売店様(文房具店や雑貨店、書店、書道専門店など)を対象に、新商品のご紹介や問題の解決策のご提案などを行っていました。具体的には、得意先が抱えている問題点を丁寧にヒアリングし、それを呉竹商品でどのように解決していくのかを提案することに挑戦していました。これは現在の海外営業でも変わりません。国が違えど、抱えている問題というのは実は似ているケースも多々ありますので、国内における解決事例の水平展開を海外の得意先に適応することで解決することがあります。これは国内営業部で培ったスキルと経験だと思います。また海外営業では現地代理店様を対象に、その国の実情に合わせて日本製の安心、安全、高品質でユニークな商品をどのようにお取り扱い頂けるか。また呉竹商品をもって、現地の抱える問題に対してどのような解決策を提示できるかということに挑戦してきました。あと実際に現地を訪問して、市場、店頭の状況や代理店様の会社を訪問して商談したり、物流倉庫の視察も行ってきました。
■今までに国際営業MKチームとして何か国行かれましたか?
これまで訪問した国はアメリカ、台湾、ベトナム、ドイツ、オランダ、スイス、フランス、ポーランドの8か国です。特にドイツでは毎年1月に世界最大規模の国際展示会が開催されますので、そこにブース出展するため1週間ほど滞在します。
■国際営業MKチームとして海外で営業された中で一番印象に残っていることを教えてください。
今まで一番印象に残っている経験は、欧州数か国へ一人で2週間出張したことです。当時はまだ今ほど英語にも慣れていなかったのですが、欧州担当に任命されたため現地の市場把握や得意先への訪問商談のため行くことになりました。最初は英語に不慣れな中、一人だけで欧州に二週間も行けるのだろうか。そもそもちゃんと英語で商談出来るのかな、と不安でいっぱいでしたが、当時の上司が「失敗しても良いから!綿谷君の成長のためにとりあえず行ってきなさい!」と言ってもらえたので、それならばと自分の中で半ばやけくそな気持ちで挑戦する意思を固めました。そして、スーツケースの中に用意した大量の営業資料と、日本の空港で買った紙袋いっぱいのお土産の草餅、そしてやけくそに近い小さな勇気をもって欧州へと出発しました。実際に現地で過ごしてみると、ずっと必死だったこともありますが予定の2週間はあっという間に過ぎていきました。そして事前準備や日本の本社からのサポートもあり、結果的に全ての代理店様と直接顔を合わせて商談を行い、その場で新規注文も頂き、信頼関係を作ることが出来ました。実際に商談や現地移動などの事前準備は大変でしたし、現地で起こったイレギュラーなど(迷子になったり、電車を間違えたり、SIMがうまく作動せずスマホが使えなくなったり)も本当に苦労しました。ですが、すべてやり切った後、日本に帰国した際に上司に報告に行ったところ「ありがとう!よくやり切ったな!」と言われた時に、ああ本当にやり切れたんだなぁと実感し、そのことが大きな自信になりました。あれから数年経ちますが、今でも自分の仕事の原動力になっている気がします。
後輩社員の成長に役立ちそうなことは何でも伝えたい
■仕事をする上で大切にしていることはありますか?
「人間は努力や経験、学ぶことを経て、大きく飛躍することが出来る」ということです。これはどんな人にでも当てはまると信じています。人間の能力なんて一部の天才を除いてほとんど変わりません。実際社会で成功している方はたくさんおられますが、その方々の著書を読ませて頂くと、ある種の成功する思考のエッセンスのようなものがあることに気付きます。そしてそれは他の多くの成功者の書かれた著書にも共通する点が多いと感じます。つまり、彼らは条件なしの天才なのではなく、成功のエッセンスを人生のどこかのタイミングで、自分の中に落とし込めている人と理解することが出来ました。僕にとってこれは重大な事実でした。なぜなら自分自身が幼少期から社交的でもなく、運動も苦手で、かといって成績も中の下といった状況でしたので、ずっと自分は何をするにしても能力がない、出来る人とは違うと思っていました。でも成功するためのエッセンス次第であるのならば、能力は後からいくらでも付け足すことが出来るということになります。だから僕は本当の意味で仕事の出来ない人はいないと思っています。いるのはまだ仕事のコツや要領を理解していない本人と、それをうまく伝えきれていない他者の二者だけです。ですから僕は後輩社員がいつかは自分以上の存在になると信じていますし、彼らの成長に役立ちそうなことは何でも伝えたいと思っています。その中で自分自身の可能性も今後まだまだ広がっていくとワクワクしています。
呉竹は文化を通して人と人とをつなぐ平和のツールのメーカーでありたい
■今後挑戦してみたいことはありますか?
呉竹はもともと日本古来の伝統産業である書道の固形墨の製造をするため、一人の墨職人から始まり、その技術やノウハウを活かして日本画、水墨画に端を発する「日本の色」を表現できる個性的な書画材メーカーです。社内にも製墨に関わる職人が数名在住しており、昔からの製造方法で日本の登録無形文化財である書道を守る重責を担っています。その書道や日本画、水墨画の文化をさらに世界に広げることで、世界と日本の文化の架け橋になり、国際社会における日本の文化的価値を高めたいと思っています。
■海外で呉竹をどのような存在にしていきたいですか?
絵や文字を描いたり、クラフト作品を作ったりするための呉竹商品は、手作りの温かさを伝えるためのツールであり、人々の心を温かく、豊かにするツールでもあります。そのためにはツール自体が安心、安全で高品質なものでなくてはなりません。先ほども少しお話しした通り、呉竹は元々墨職人が起こした会社で、今でも職人が従来の方法で固形墨の製造を行っています。実は最新で効率的な技術をもってしても、昔からの手間のかかる製造方法の方が品質が高いので変えることが出来ません。そのことからも品質にはとても頑固な会社で、創業者である職人のDNAが息づいているのだと思います。世界には常に争いが絶えません。戦争は悲惨です。ロシアーウクライナ戦争を見ても、犠牲になるのは常に無実の市民や子供たちです。呉竹の商品を世界の人々に使って頂くことで、人と人とが文化を通して相互理解し合えるための平和のツールでありたいと思っています。
■最後に国際営業を希望される方へメッセージをお願いいたします。
ぜひ海外営業というものの面白さややりがいを味わってほしいと思います!アジア、北中南米、欧州、中近東、アフリカなど、巨大な海外市場において、自分の語学力、交渉力、商品知識、判断力を駆使して、自社商品をその国に流通させることは大きな達成感です。また日々の業務を通して自分の英語力が向上していくのを実感できるので、海外の方とも公私ともに会話する機会が増えると思います。その中で多様な価値観に触れ、自分の世界をますます広げていってほしいと思います。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!