- Webディレクター|未経験歓迎
- 企業パーティの運営担当|副業
- 社内ヘルプデスク/情シス
- Other occupations (15)
- Development
- Business
- Other
私たち株式会社NSグループ(ニュートン・サンザグループ)は、ハニトー®で有名な「カラオケパセラ」、バリ風都市型ホテル「バリアンリゾート」、カプセルホテル「安心お宿」など、幅広いサービスを展開しています。
こんな当社の事業には、2つ特徴があります。
1つめは、これまでのサービス業界になかった視点で生み出された事業だということ。
2つめは、その多くが、実は失敗から生まれていることです。
この連載では、そんな失敗をバネに生まれた事業のエピソードを紹介します。
今日の「しくじり事業」は、先日NSグループ初のクラファンにチャレンジしたカプセルホテル事業です。今まさにコロナの逆風と戦うこの事業がどうやって生まれたのかをみなさんにお伝えします。
ちなみにクラファンへのチャレンジは、カプセルホテルをコワーキングスペースに改装するための支援を募るもの。初日で300万円、10日で500万円の支援を獲得したこのプロジェクト、まだ知らないという方はぜひ下記ページから詳細をご覧ください。
■クラファンページ
コロナ禍で生まれた個室空間。半年で七千人利用のカプセルコワークをより多くの人に
■Wantedlyストーリー記事
【クラファン挑戦記】コロナで利用が激減したカプセルホテルを、もう一度お客様に必要とされる場所に
<本日の「しくじり事業」>
改めて、今回のしくじり事業はカプセルホテル「安心お宿」の事業立ち上げについて。
好立地でスタートしたカラオケの新規出店計画がまさかのミスで頓挫。
「安かろう悪かろう」のイメージを覆すカプセルホテル業態を立ち上げ、年商20億円の事業へと成長!
<本日の「しくじり先輩」>
松田 一宏
都市型ホテル・バリアンリゾート事業部 事業部長
■目次
第1章:「間違いない」新橋でカラオケ店舗開発がスタート
第2章:契約直前にまさかの逆風!反対を押し切って新業態へ
第3章:震災で感じた意義。カプセルホテルは「貧者の宿」ではなく「究極のおひとりさまサービス」だ
教訓:思考停止せずリスクを意識しよう。ゲームチェンジの機会は転がっている
第1章:「間違いない」新橋でカラオケ店舗開発がスタート
皆さんこんにちは、松田と申します。
私は新卒入社1期生として入社し、社歴は25年を超えました。新卒でカラオケパセラに配属、パチスロのグリンピースを経てからパセラ事業部に戻り、ダイニングやダーツバーなどの新業態の立ち上げに携わってきました。2020年からはレジャーホテルのバリアン事業部の部門長を務めています。
さまざまな事業を経験してきましたが、順風満帆とはまるで無縁のキャリアを歩んできました。失敗のたびに不屈不撓の精神で立ち上がり、成長を重ねて今に至ります。
そんな私が携わった1番の「しくじり事業」が、カプセルホテル「安心お宿」です。
今となっては全国7店舗・年商20億円規模にまで育った事業ですが、誕生のきっかけは出店ミスなのです。
ことの発端は、新橋に新たなカラオケ店を開くことからでした。当時の私は店舗開発を担当しており、役員から物件を引き継いで新店をつくることに。これから強化しようとしていたウエディング・パーティー需要を狙える商圏ということもあり、トントン拍子で店舗計画が進みました。もともとカラオケ事業が長かった私も「新橋エリアなら間違いない!」と確信があったんです。
第2章:契約直前にまさかの逆風!反対を押し切って新業態へ
ところが、思わぬ事態が起こります。契約直前になって、物件の目の前にポルノ映画館があることが判明。「これではウエディングのお客様を呼び込むことは難しい」と、思い描いていたプランに暗雲が立ち込めたのです。
さらに頭を悩ませたのが「火災を起こしたらすぐに物件解約」という契約条件でした。これでは、カラオケパセラが強みとするキッチンでの調理ができません。契約内容や賃料について粘り強く交渉したものの、別の業態を考える必要がありました。こうした経緯で、新店舗はカラオケからの事業転換を余儀なくされたのです。
カプセルホテル業態は社長の荻野が温めていたアイデアでした。しかし、当時の経営会議のメンバーは全員が反対。当時のカプセルホテルは安かろう悪かろうの「貧者の宿」というイメージがあり、競合も大きな成功を収めていなかったのです。しかし当社の強みは、お客様が不平不満を感じている領域で、圧倒的によいサービスをそれに見合う付加価値で提供することにあります。
荻野はそこに可能性を感じていたのでしょう。成功の根拠はありませんでしたが、強い信念でカプセルホテル業態に乗り出すことになりました。
新橋に誕生した「安心お宿」1号店
第3章:震災で感じた意義。カプセルホテルは「貧者の宿」ではなく「究極のおひとりさまサービス」だ
2010年12月1日、新橋の地に「安心お宿」1号店がオープンしました。私も店舗開発から現場に移り、内部のオペレーションをゼロから作り上げていきました。
1泊4000〜5000円と決して安くはありませんが、立地の良さと、既存のカプセルホテルの「安い、汚い、サービス悪い」を覆したことで差別化をはかれました。たとえば清掃専任のスタッフを配置して全フロアを清潔に保ったり、豊富なアメニティをすべて無料で提供したりと、お客様の「あったらいいのに」に応えました。
「安かろう悪かろう」を覆す清潔な客室
私は、カプセルホテルは「究極のおひとりさまサービス」だと思うんです。「他のビジネスホテルのほうが安いけれど、ここ(安心お宿)には一人で寝る寂しさを埋めるワクワク感がある」というお客様の言葉が心に残っていますね。オープンからほどなくして銀座・新橋のハードワーカーを中心に利用が増え、売上もどんどん伸びました。
充実した無料サービスはさらにパワーアップ
しかし、翌年の2011年3月11日。東日本大震災が東京を襲いました。私は昼からフロントにおりましたが、夜には帰宅困難者が押し寄せ、受け入れられなかったお客様には明け方まで頭を下げて応対しました。このとき私は「カプセルホテルは貧者の宿ではない。社会的な意義もある事業だ」と確信しました。お客様目線を大切にした、新しいカプセルホテルがもっと必要だと感じた瞬間です。
震災からしばらくは宿泊需要が戻らず苦しい時を過ごしましたが、だからこそ事業の意義に向き合えましたね。2012年の中旬ごろに収支が上向いてからは、秋葉原にも物件を仕入れて多店舗展開に乗り出しました。今となってはグループの収益の柱を担うまでの事業になったことを嬉しく思います。
教訓:思考停止せずリスクを意識しよう。ゲームチェンジの機会は転がっている
私が「安心お宿」の立ち上げから学んだのは、2つのことです。
<「しくじり事業」の教訓>
1.思考停止せず、正しく前向きに疑うことの大切さ
2.経営者目線を持ち、自分ごととして最悪のリスクを念頭に置く
出店ミスの要因は、私が契約内容を整理しないまま物件を引き継いでしまったことにあると思っています。思考停止せずに、担当者として前向きに現状を疑うべきでした。
そのためには、事業を自分ごととしてとらえる経営者目線が欠かせません。社長は「会社がつぶれるにはどうしたらいいか考えろ」とよく言っていました。お客様に万一のことが起きてしまう、食中毒を起こして営業停止になる、契約違反で多額の違約金を請求される……事業を続けていくうえでは、成功の方法ではなく最悪の事態が起こるリスクを常に意識することが重要なのです。
「安心お宿」の成功に思うのは、お客様目線を持つことで、ゲームチェンジの機会はいくらでも転がっているということです。しかも、当社の「お客様目線」は言葉だけではありません。「安心お宿」の立ち上げには4億もの新規投資がなされていますし、店舗単位で数百万〜1千万円を動かせます。現場を尊重し、権限を委譲している組織だからこそ掴めるビジネスチャンスがあると思います。
あとがき
NSグループは、これからも失敗を恐れない事業づくりにチャレンジしていきます。
私たちはこの環境に飛び込んで活躍してくれる仲間を求めています。あなたも、次の「しくじり事業」の先輩になりませんか?
この記事を読んで興味を持ってくれた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!