「御社って、人材会社ですよね?」
BPOをやっていると、よくそう聞かれます。たしかに、人が業務を担っている以上、その側面は多くあります。ただ、私たちがやっていることは、単に人を手配することでも、単に作業を代行することでもありません。
私たちの取り組みはすべて、「建設業界に100万人分の労働力を創る」というミッションから逆算されています。それは、人的労働力を増やすという意味だけではなく、人が担ってきた仕事を仕組みやテクノロジーに置き換え、新しい価値として再構築することも含めた意味です。
BPOも、DXも、SaaSも、AIも。すべてはこのミッションを実現するための手段にすぎません。
BPOは人材でもある。関わる人が価値を発揮できる状態をつくる
私たちはBPOの会社ですが、同時に、人に向き合う会社でもあります。サービスを通じて仕事をするワーカーの方々には、きちんと稼ぎ、自分の強みを活かして働いてほしい。その結果として、経済的にも精神的にも、より豊かになってほしいと本気で思っています。結果としてその豊かさが建設業全体にも伝播し、業界としてもポジティブな影響があると考えています。
私たちが大切にしている考え方の一つが、「人の価値は、長所への集中によって最大化される」ということです。
苦手なことを無理に克服するよりも、得意なことに集中したほうが、人は自然と力を発揮できる。結果として、その方が本人にとっても、仕事としても、健全な状態になると考えています。
私たちは、人が本来やるべき業務に集中できる状態をつくることを、BPO事業の根幹に置いています。これは、私たちのサービスを支えてくれているワーカーの方々に対しても、一貫して大切にしている姿勢です。
クライアントにとってのBPOの意味は「集中できる状態をつくること」
この考え方は、クライアントに対しても同じです。
建設業界では、人手不足が慢性的な課題になっています。限られた人数の中で、すべてを内製しようとすると、本来やるべき仕事に集中できなくなる。だからこそ、BPOがあります。得意なこと、付加価値の高い業務に集中してもらう。それ以外の業務は、私たちが担う。
これは単なる外注ではありません。業務を分解し、役割を再設計し、会社全体の生産性を高めるための手段です。
建設業でBPOが最強の戦略である理由
最近では、SaaSの会社がBPOに取り組むケースも増えています。一方で、私たちはその逆のアプローチを選びました。BPOから始め、そこからAIやDX、SaaSへ広げていく。この順番こそが、建設業には最も適していると考えています。
その背景には、建設業特有の業務環境があります。建設業は、現場に出ている時間が長く、デスクワークを前提としない業務が多い。年齢層も比較的高く、ITツールや新しい仕組みが自然に浸透しにくい構造を持っています。
決して意欲が低いわけではなく、業務の性質上、いきなりDXやSaaSを導入しても「使いこなす以前に、現場に合わない」というケースが少なくありません。
だからこそ私たちは、BPOから入るべきだと考えています。
BPOを通じて、私たちは建設業のあらゆる業務に日々触れています。現場、図面、積算、書類、管理、調整など。業務の幅は非常に広く、既存のSaaSや仕組みだけで、すべてを一気に置き換えられるものではありません。
実際に業務を担いながら一つひとつ理解を深め、「これは仕組みにできそうだ」「ここはまだ人が関わったほうがいい」と判断していく。その積み重ねによって、業務の解像度が少しずつ上がっていきます。
また、実際に業務を動かしている多くの人たちと日常的に向き合っていることも、大きな強みです。机上で設計された理想論ではなく、現場で本当に機能する形を前提に判断できる。
こうして集まる一つひとつの業務や案件は、私たちにとって単なる受託仕事ではありません。すべてが、DX化・SaaS化・AI化の対象になり得る「素材」でもあります。更に、こうした業務の積み重ねは、結果として顧客基盤そのものをつくっていくことにもつながります。
BPOを通じて日常的に業務を支えているからこそ、関係性は一過性のものではなく、長期的な信頼に変わっていく。その結果、新しいサービスや仕組みをつくった際にも、既存の顧客基盤に対して無理なく、自然な形で導入を進めることができると考えています。
BPOを起点に、テクノロジーと向き合い続ける
この二つがそろっているから、私たちはAIやDX、SaaSを絵に描いた構想ではなく、現実的な戦略として扱えます。ここから先は、この領域に力を入れていきたい。BPOを起点に、建設業の業務そのものをアップデートしていく。それが、私たちが描いている次のフェーズです。
そして、こうした考え方はクライアントワークだけでなく、私たち自身の業務にも徹底しています。社内では、Notionをベースにした情報管理や業務設計、Makeなどを使った自動化、日常的なAI活用による効率化を積極的に進めています。紙や属人的な運用に頼らず、「どうすれば業務を、より効率的に回せるか」を常に考える文化があります。
自分たちが使いこなせないものを、現場に押し付けるつもりはありません。
だからこそ私たちは、テクノロジーを「導入する側」としてだけでなく、「使い続ける側」としても、本気で向き合っています。
BPOから始めるからこそ、DX・SaaS・AIは本物になる
さらに、BPOは非常に広がりのある起点です。一つの業務を任せていただくと、その前後や周辺業務も含めて相談が広がっていく。
業務は単体で完結していないため、結果としてアップセルやクロスセルにつながるケースが多くあります。これは事実として、BPOを続ける中で何度も経験してきました。
さらに今後は、業務を担うだけでなく、DX支援やAI活用、SaaS導入まで一体で提供していきたいと考えています。業務を深く理解しているからこそ、単なるツール導入ではなく、実運用まで含めた支援ができる。
その結果として、テクノロジーそのものの価値に加え、専門性を持った人が業務を回し続ける価値も、正当に評価していただける形をつくっていきたい。
私たちは、仕組みを入れて終わりにするのではなく、 「テクノロジーが使われ続け、成果が出るところまで伴走する」ことに意味があると考えています。これが本来のDXの在り方だと思っています。BPOを起点にしているからこそ、こうした価値提供が可能になるのだと思っています。
BPO・人材・DX・SaaS・AI。すべては「建設業界に100万人分の労働力を創る」という一本の軸につながっています。
利益は目的ではなく、顧客や社会への貢献の結果として生まれるもの。この考え方に共感し、現場とテクノロジーの間で価値をつくっていきたい人と、一緒に次のフェーズをつくっていけたら嬉しいです。