Vol.1ではSigmaBrainが生まれるまでの創業ストーリーを、Vol.2では、なぜ製造業・卸売業の基幹システムという領域に挑むのかを聞いてきました。
全3回の最後となる今回は、「人と組織」がテーマです。
SigmaBrainが取り組んでいるのは、単にシステムを開発する仕事ではありません。
顧客の経営課題から現場のオペレーションまで深く理解し、あるべき業務を設計し、それを実際に動くシステムとして実装する。
プロジェクトでは、経営者、事業責任者、情報システム部門、そして日々その業務を担う現場の方々まで、異なる立場の人と向き合います。
そのため、求められるのも一つの専門性だけではありません。
顧客の事業を理解する力。複雑な問題を構造化する力。周囲を巻き込みながら前に進める力。そして、最後まで実際の成果につなげる力。
現在のSigmaBrainには、戦略コンサルティング、ITコンサルティング、法人営業、ソフトウェア開発、AI研究など、異なる専門性を持つメンバーが集まっています。
経歴も仕事のスタイルも異なるメンバーに、共通しているものは何なのか。
そして、この会社をこれからどのような人たちとつくっていきたいのか。
共同代表の吉永響と西森大祐に聞きました。
——SigmaBrainでは、どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
吉永: 一つ明確にあるのは、「技術そのもの」を目的にしない人だと思っています。
私たちはAIを活用して事業をつくっていますし、世の中から見ればAI企業という分類に入るかもしれません。
ただ、私自身はAIをすべて「How」だと捉えています。
AIを使うこと自体が目的なのではなく、顧客の事業やオペレーションをどう変えるのか、そのための手段の一つがAIです。
ですから、最新の技術を使うこと自体よりも、それによって顧客の業務が変わることや、今までできなかったことができるようになることに面白さを感じられる人と働きたいと思っています。
そして、そうした顧客への価値提供を積み重ねることで、SigmaBrainという会社や事業自体を成長させていくことにも面白さを感じられる人。
私たちの仕事には、そういう人が合っていると思います。
西森: 私の言葉で表現すると、「お客様を好きになれる人」です。
これはコンサルタントだけの話ではありません。
営業であっても、エンジニアであっても、同じだと思っています。
——「お客様を好きになれる」というのは、具体的にはどういうことでしょうか。
西森: 日本の製造業については、「DXが進んでいない」「業務が非効率だ」と語られることが多いと思います。
ただ、実際に現場へ入って業務を見てみると、それほど単純ではありません。
一見すると非効率に見える業務にも、背景があります。
なぜ、この確認作業を行っているのか。
なぜ、このタイミングで紙に記録するのか。
なぜ、この担当者を必ず経由するのか。
深く聞いていくと、過去に発生したトラブルを防ぐためだったり、その会社固有の製品特性に対応するためだったり、お客様との取引条件に理由があったりする。
長い年月をかけて事業を運営してきた中で、一つひとつの業務が形づくられています。
だから、外から見て「非効率なのでなくしましょう」と判断するだけでは、本当に良い変革にはなりません。
まず、なぜ現在の業務になっているのかを理解する。
その背景にある知恵や工夫を尊重したうえで、残すべきものと変えるべきものを見極める。
そういう姿勢でお客様と向き合える人に来ていただきたいと思っています。
吉永: 私たちは、お客様の業務を否定するために現場へ行くわけではありません。
現在の仕組みには必ず理由がある。
その理由を理解せずに新しい仕組みを入れても、現場では使われません。
西森: 現場の業務は、多くの場合、誰かがその時々の課題に対して真剣に考えた結果です。
そこにリスペクトを持ちながら、「では、今の技術や環境を前提にすると、もっと良い方法はないか」と一緒に考える。
それがSigmaBrainの仕事だと思っています。
——吉永さんは、どのような人がSigmaBrainに向いていると思いますか。
吉永: 広い意味で「ものづくり」が好きな人だと思います。
ここで言うものづくりは、製造業そのものが好き、という意味だけではありません。
システムをつくることも、業務プロセスを設計することも、組織の仕組みをつくることも含めて、何かを自分たちの手で形にしていくことが好きな人です。
その中でも、特に「実践的なものづくり」が好きな人が合っていると思います。
考えて終わるのではなく、実際につくる。
つくって終わるのではなく、現場で使われる。
そして、それによって業務や数字が実際に変わる。
そこまでを自分の仕事として捉えられる人です。
今いるメンバーにも、この感覚はかなり共通しています。
全員が非常にアウトプット志向です。
「何を考えたか」だけではなく、「その結果として何が変わったのか」「何ができるようになったのか」に関心が向いています。
西森: そこは職種を問わず共通しています。
吉永: 例えばエンジニアであれば、高度な技術を使ったこと自体ではなく、その技術によって顧客の課題が解決されたかどうかを見る。
コンサルタントであれば、きれいな資料を作ったことではなく、その提案によって実際に業務が変わったかを見る。
営業であっても、契約を取るところだけではなく、「自分が提案したものによって、この会社がどう変わるのか」に関心を持つ。
私たちの仕事では、この姿勢が非常に重要だと思っています。
——営業にも、業務やシステムへの理解が求められるのでしょうか。
吉永: 求められると思います。
もちろん、営業とエンジニアでは専門性は異なります。
ただ、「自分の担当領域だけ分かっていればいい」という仕事ではありません。
実際に、営業メンバーの中にも、顧客の仕組みを理解すること自体を非常に面白がる人がいます。
「なぜこの会社では、この業務フローになっているのか」
「この情報はどこから来て、どこへつながっているのか」
「この設備はどういう条件で動いているのか」
そういうことを自分から理解しようとする。
そのような人は、顧客との会話の解像度も上がりますし、提案の質も自然と高くなっていきます。
西森: これはSigmaBrainの事業の特徴でもあると思います。
顧客への価値提供が、営業、コンサルティング、開発で完全に分断されていません。
営業が理解した顧客課題をコンサルタントやFDEにつなぎ、そこで整理したものをエンジニアが実装する。
ただ、単純な伝言ゲームではなく、それぞれが顧客の事業や業務を理解したうえで、一つのチームとして考えます。
だから、自分の専門性を持ちながら、その周辺にも関心を持てる人は非常に活躍しやすいと思います。
——事業そのものには、どのような面白さがありますか。
西森: 私自身は、この事業には非常に大きな知的な面白さがあると思っています。
製造業の現場に入ると、それまで知らなかった産業や企業の仕組みを、一つずつ具体的に理解できます。
例えば、自動車に使われる一つの部品が、どのような材料から、どのような工程を通って作られているのか。
受注を受けてから、材料を調達し、生産計画を立て、加工し、検査し、納品するまでに、どれだけ多くの人や設備、情報が関わっているのか。
そこを実際の業務として理解できます。
抽象的に「この業界の市場構造はこうなっています」と捉えるだけではなく、企業がどう動いているのかを具体まで理解できる。
私は、それ自体が非常に面白いと思っています。
案件が変わるたびに、知らなかった事業や産業について深く学ぶことになります。
そして、単に知識として理解するだけではありません。
理解したうえで、「では、この会社をもっと良くするにはどうすればいいか」を考える。
そこまでできることが、この仕事の面白さです。
吉永: 私も同じです。
非常に複雑な業務について考え抜いて、新しい仕組みを設計する。
それを実際にシステムとしてつくる。
そのシステムが現場で使われ、これまで数時間かかっていた業務が短くなったり、属人的だった判断が仕組み化されたり、今まで見えなかった情報が見えるようになったりする。
自分たちが考えたものが、実際の企業活動の一部として組み込まれて、毎日動き続ける。
そこまで見届けられる仕事は、それほど多くないと思っています。
そして、その変化を純粋に面白いと思えることは、SigmaBrainで働くうえで非常に大切だと思います。
——一方で、SigmaBrain自体もまだ成長途上の会社です。そこにはどのような面白さがありますか。
西森: 顧客の事業をつくることと、自分たちの事業をつくることの両方ができることだと思います。
SigmaBrainは、まだ完成された会社ではありません。
営業の方法も、プロジェクトの進め方も、要件定義の方法論も、開発プロセスも、組織の仕組みも、今まさにつくっている途中です。
だから、すでに決められた仕事を高い精度で行うだけではなく、「そもそもこのやり方でいいのか」というところから考える機会があります。
吉永: Vol.2でも話しましたが、私たちはAI時代の新しいシステム開発のあり方そのものをつくろうとしています。
そのためには、開発だけを変えても成立しません。
営業の仕方も変える必要がある。
要件定義の方法も変える必要がある。
プロジェクトマネジメントも変える必要がある。
組織構造も変える必要がある。
つまり、事業を構成するほぼすべての要素に、まだ明確な正解がありません。
自分の担当領域について、既存の方法をそのまま踏襲するのではなく、「AIがある今なら、どう設計するのが最も合理的なのか」と考えられる。
そこには大きな挑戦機会があると思っています。
西森: 会社が大きくなってから既存の仕組みを改善するのとは、少し違います。
今つくった方法が、そのまま数年後のSigmaBrainの標準になる可能性がある。
営業で入れば、営業組織のスタンダードをつくることになる。
FDEやコンサルタントで入れば、これからの要件定義や企業変革の方法論をつくることになる。
エンジニアで入れば、AI時代の開発プロセスやアーキテクチャをつくることになる。
自分が一つの役割を担うだけではなく、会社や事業の仕組みそのものをつくる側に回れることは、今のSigmaBrainならではだと思います。
——現在は、どのようなバックグラウンドのメンバーが集まっていますか。
西森: かなり多様です。
Accentureや楽天で大規模なシステム開発を経験したFDE・エンジニア、東京大学数学科出身者を中心としたAI研究チーム、キーエンスや三菱UFJ銀行などで営業・事業開発を経験したメンバーなどがいます。
スタートアップで急成長過程を経験してきた人もいれば、大企業で長く専門性を磨いてきた人もいます。
組織全体を見ると、研究や技術に深く向き合ってきたアカデミックなバックグラウンドのメンバーと、営業やスポーツなどで高い目標を追い続けてきたメンバーの両方がいる。
創業から間もない会社としては、かなり特徴的な構成だと思います。
吉永: 仕事の進め方も一様ではありません。
チームで議論しながら速く前に進めることが得意な人もいれば、一人で深く考え、非常に高い品質まで作り込むことが得意な人もいます。
どちらか一方を正解にはしていません。
それぞれの専門性や強みを活かせばいいと思っています。
重要なのは、最終的に何を実現するのかという共通認識があることです。
仕事のスタイルが違っていても、「顧客にとって本当に価値のあるものをつくる」というゴールが一致していれば、議論することができます。
——専門性の高い人が集まると、職種間で分断が起きることもありそうです。
西森: 現時点では、職種間の分断はかなり少ないと思います。
それぞれが異なる専門性を持っていますし、当然、得意なことも違います。
ただ、自分の専門領域だけを正しいものとして扱うのではなく、他の専門性に対するリスペクトがあります。
営業には営業にしか見えない顧客の情報がある。
コンサルタントやFDEには、業務を構造化する役割がある。
エンジニアには、実際に成立するシステムへ落とし込むための専門性がある。
AIの研究者には、技術的に何が可能で、どこに限界があるかを判断する知見がある。
誰か一人だけでは、この仕事は成立しません。
だから、自分の専門性には責任を持ちながら、他の専門性を尊重することは非常に重要だと思っています。
吉永: 最終的には、アウトプットが共通言語になっているのだと思います。
職種やバックグラウンドが違っていても、
「顧客の課題は解決されたのか」
「つくったシステムは実際に使えるのか」
「業務は本当に良くなったのか」
というところでは同じ基準で話すことができます。
その意味では、非常に異なる人が集まっていても、根本の価値観はかなり近いと思います。
——組織としては、どのような雰囲気なのでしょうか。
西森: 一言で表現するのは難しいですが、かなりフラットだと思います。
営業やビジネスサイドには、チームで一つの目標を追いながら動くことが好きなメンバーが多いです。
一方で、エンジニアには、自分の専門領域に深く入り込み、集中して高い品質を追求するタイプもいます。
性格や仕事の進め方は、かなり幅があります。
それでも組織としてまとまっているのは、お客様やチームメンバーに対するリスペクトが共通しているからだと思います。
吉永: 無理に同じタイプの人だけを集める必要はないと思っています。
むしろ、この事業は異なる専門性が組み合わさらないと成立しません。
同じ考え方、同じ経歴の人ばかりを集めるより、それぞれ違う強みを持っている方がいい。
ただし、相手の専門性を尊重できることと、自分自身もプロフェッショナルとして責任を持つこと。
そこは共通して求めたいと思っています。
西森: お客様に対しても、チームメンバーに対しても同じです。
相手を理解しようとすること。
自分が知らないことに対して、素直に学ぶこと。
そのうえで、自分が持っている専門性からは遠慮せずに意見を出すこと。
そういう人たちと組織をつくっていきたいと思っています。
——最後に、改めてどのような人にSigmaBrainへ来てほしいですか。
吉永: やはり、実際に何かを変えることが好きな人だと思います。
AIやシステムは手段です。
考えることも、資料をつくることも、コードを書くことも、すべて手段です。
その先で、お客様の会社がどう変わるのか。
今までできなかったことが、どうできるようになるのか。
自分たちがつくったものが現実の中で動き、結果を生むところまで見たい人。
そういう人にとっては、非常に面白い環境だと思います。
西森: 私は、そこに「人へのリスペクト」が加わると思います。
お客様のことを好きになれる。
現場の方が積み上げてきたものを尊重できる。
自分とは異なる専門性を持つメンバーを尊重できる。
そのうえで、「もっと良くできる」と思ったことについては、立場に関係なく真剣に議論できる。
そういう人たちと、この会社を大きくしていきたいと思っています。
SigmaBrainに集まっているメンバーの経歴は、決して一様ではありません。
戦略コンサルティング、ITコンサルティング、法人営業、ソフトウェア開発、AI研究。
それぞれが異なる専門性を持ちながら、顧客の経営・業務課題からシステムの実装まで、一つのチームで向き合っています。
その中で共通しているのは、技術や専門性そのものを目的にしないことです。
AIも、コンサルティングも、営業も、システム開発も、すべては「How」。
重要なのは、その先で顧客の事業や現場にどのような変化を生み出せるか。
そして、変革する対象である顧客や現場に対するリスペクトを失わないこと。
SigmaBrainが探しているのは、完成された組織の中で与えられた役割を担う人ではありません。
顧客の事業を理解し、自分の専門性を持ちながらその境界を越え、まだ正解のない事業や組織のあり方そのものをつくっていく人です。
一社一社の企業のOSをつくり、その先に製造業・卸売業の新しいスタンダードをつくる。
その過程そのものを面白いと思える人と、SigmaBrainはこれからの組織をつくっていきます。