こんにちは!楯の川酒造の北山です。
本日は、日本酒の製造現場=酒蔵内部をお見せしようと思います!酒蔵って、結構クローズな場所ですし、なかなかお酒が生まれる現場を見る機会も一般的にはないのではないでしょうか?
実際に蔵人が日々行う仕事を写真付きで公開しますので、ぜひご覧くださいませ!
それでは、蔵見学ツアーのスタートです!
▼甑(こしき)~蒸米
こちらは、弊社で実際に使用している甑(こしき)です。写真だと伝わりづらいかもしれませんが、2段組みになっており、最大で900kgまで米を張ることができます。
(機械がないので、人海戦術で米張り作業をします。)
そして朝一番の仕事は、米を蒸して、それを掘り起こす作業。
最新の設備があるとクレーンで吊って米を掻き出すことができるのですが、こちらは昔から使っているものでして…毎朝、蔵人が米を掘っています!(ちなみにこの作業を続けている蔵人は、1シーズンで5kg~10kgの減量に成功します。)
特に真冬は、米の水分量や温度がどんどんと下がってしまうので、スピーディに掘らなければいけません。
900kgですと、全て掘り終わるまで約60分~90分程度でしょうか。
蒸した米は、米麹にするもの(麹米)とタンクに直接投入するもの(掛米)に分けられます。
(米の粗熱をとっている様子)
(掛け米はエアシューターで飛ばして、タンクに直接投入します)
▼麹室(こうじむろ)
続いては、酒造りの心臓部である麹室です!
麹菌を米に繁殖させて米麹をつくる場所で、とても神聖な場所とされています。
一般的に立ち入り禁止で、実際の蔵見学でもなかなか見せてもらうことは難しい場所かもしれません。
麹室内は、年間を通じて温度が約30度程度に保たれていて、麹菌が繁殖しやすい環境になっています。
通常、麹室は1部屋のところが多いかと思うのですが、楯の川酒造では現在4部屋で米麹を管理しており、その時々の麹の生育状況によって部屋を使い分けています。
(種菌を米に振っているところ。真剣な眼差しです!)
▼洗米
洗米はウッドソンという特殊な機械を使って行います!
特に麹米は糠をしっかりと落としたいので、専用のザルを使って10kgずつ丁寧に洗っていきます。
(洗米の様子。タイマーで時間を計測しながら行います。)
こちらは浸漬といって、洗米後の酒米に吸水を行っているところです。
その日の水温やもともとの米の水分量から、だいたいの浸漬時間を予測しますが最終的に頼りになるのは蔵人の経験。
米が水分を吸ってくると半透明になってくるのですが、タイミングを見極めてザルをあげていきます。
この時点で失敗してしまうと、そもそも麹米ができなくなったりしてしまうので、最も大切な作業のひとつと言っても過言ではありません。
ちなみに50%精米の酒米であれば、目で見て吸水具合が何となくわかるのですが、8%~1%精米になると目視ではわからないので、より一層、蔵人の経験と勘が重要です。
▼仕込み蔵
こちらは、仕込み蔵!醪(もろみ)を発酵させる場所です。
楯の川酒造の「Basic」シリーズは、主に両脇のやや大きめのタンクで1.5トン仕込みを行い、「Extreme」シリーズや「KOMYO」シリーズは、中央の小仕込み用のタンクで仕込んでいます。
もともとは、木造で梁もむき出しだったのですが、数年前に思い切って冷蔵用パネルを設置し、年中温度管理ができる設備投資を行いました。
(数年前の様子。何となく伝わるでしょうか?)
お酒は、麹菌や酵母が産み出すもの。
それらにとってより住みやすい環境、働きやすい環境を整えることで、より高品質のお酒造りへと繋がっていきます。そのための設備投資であれば、積極的に行っています。
(仕込み蔵の2階部分は、このようになっています。)
▼分析
仕込み蔵で発酵中の醪は、毎日、簡易濾過をして分析を行っています。
今、発酵がどこまで進んでいてアルコールは何パーセント出ているのか、酸度やアミノ酸度はどれくらいか…など、日々分析することで、醪の状態をチェックしています。
その分析結果に基づいて、その後の温度管理等を行い発酵具合を調整するので、こちらも非常に重要な仕事です。
人間の感覚ではわからない部分を可視化することによって、タンク毎にバラつきがなく、安定した味わいのお酒造りをしています。
▼精米所
さて、こちらで最後!楯の川酒造の精米所をご紹介します。
楯の川酒造では、精米機を所有し、自社精米を行っています。
現在、3台あるのですが、弊社くらいの規模の酒蔵で3台所有しているのは非常に珍しいのではないかと思います。
純米大吟醸に特化して造っていると最低でも50%まで精米しなければいけませんが、そこまで磨くのに丸1日は時間がかかり、どうしても1台では賄えないので、こちらも積極的に設備投資を行っています。
自社で精米機を持つメリットとしては、
- 契約農家さんから仕入れた酒米を一貫して管理できる(委託すると、どれが誰の酒米かわからなくなる)
- 仕込み計画に沿った精米スケジュールを組み立てられる
- 一桁精米などのチャレンジが可能
があげられるでしょうか。
特に酒造期間中は稼働しっぱなしなので、ランニングコストも非常にかかりますが、品質管理の面や数十年先まで使っていくことを考えると、結果として自社精米を行った方がいいのではないかなと考えています。
▼まとめ
さて、今回はお酒造りの現場をお届けしました!蔵人の日々の仕事ぶりが少しでも伝わると嬉しいのですが…。
楯の川酒造は、より高品質のお酒を造るための設備投資や、社員が快適に働くための環境整備への投資は惜しみません。
酒蔵というと男性が多いイメージかと思いますが、女性も活躍していますし、誰もが働きやすい環境づくりを行っています。
山形県酒田市という小さな町から、世界を代表するSake TATENOKAWAを目指して…。
現在、下記の業種にて人材を募集しております。是非、力を貸してくださるという方は一度ご覧いただければ幸甚です。