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絶対にあきらめない気持ちが、大空への道を開いた。

そこに完成品があるのなら、つくれないはずがない。

-当時、皆さんはどういうきっかけでプロジェクトに参加していったのですか?

生田:当時、僕は船舶関係の部署で働いていて、5軸加工もやり始めたばかりでした。そこに社長が一枚の図面を持って登場して、「できるか?」と。そう言われると、私は勝手に「できない」ではなくて「どうやるか?」を考えていました。

高田:僕は入社前の面接で、急にその製品のサンプルを見せられたんですよ。「これ、つくれますか?」って。目の前に実物があるということは、どこか他の会社ではつくることができたんですよね。だから、素直に「やれます」と答えました。

森川:僕も入社してすぐのタイミングだったと思います。航空機業界への参入を検討しているという話は少し前から聞いていました。もともと、品質検査の部署に所属していたのですが、あるとき、3DモデリングソフトのCADが使えるかと聞かれて、「使えます」と答えた結果、日々の業務と平行しながらこのプロジェクトに参加することになったのです。


—皆さん、「できるか?」とか「使えるか?」とか聞かれて、「はい」と即答するのがすごいですね(笑)。

高田:ちょうどその頃、会社として新規事業を開拓していこうということが決まり、新
しいことにはみんな次々と挑戦するような雰囲気だったんですよね。社長がずっと新し
いものを追いかけていることも、みんなよく理解していました。

加工方法も、測定方法もすべてが未知の世界

—では、そこから早速、その部品の製作に取り掛かったのですね?

生田:はい。しかし、面接では「できる」と即答しましたが、実際はまったく歯が立ち
ませんでした(笑)。

高田:取り掛かってから何ヶ月経ってもうまくいかなくて、悔しかったなあ。チャンス
をくださった担当者にも毎回、「まだ、できていない」という報告しかできなくて…。
でも、社長は「できるまで頑張ろう」という姿勢を崩さなかったですね。

森川:品質検査の担当としては、検査の準備をしつつ、製品が上がってくるのをずっと
待つことしかできませんでした。航空機部品となると、それまで自分たちが携わってき
た製品より、とても厳しい検査基準が設けられているんです。さらに、検査記録をきち
んと書類として提出する義務もありました。初めてのことばかりで、不安も大きかった
ですね。

生田:当時、検査するための測定器そのものも新しくしましたよね?

森川:そう。測定器自体もより精度の高い検査ができるものを準備していました。ただ
正直、うまく検査できるか自信がない部分もありましたよ。

高田:本当に、加工にしても、測定にしても、何もかもが初めてのことばかりなんです。
図面だって、あんなに複雑かつ緻密なものは初めて見ました。「規格考査」という検査
基準に関する指示も、図面にびっしりと書かれていて。「あ、これは難しいな」と一目
でわかりました。

生田:そうそう。図面を読み解くのすら、難しかった。あとから知ったんですが、当時、
あの図面で正確に製品をつくれる企業は日本で一社しかなかったそうです。だから、大
手部品メーカーの担当者も、その一社以外につくれる会社はないかとずっと探していた
みたいです。

加工方法も、測定方法もすべてが未知の世界

—では、そこから早速、その部品の製作に取り掛かったのですね?

生田:はい。しかし、面接では「できる」と即答しましたが、実際はまったく歯が立ち
ませんでした(笑)。

高田:取り掛かってから何ヶ月経ってもうまくいかなくて、悔しかったなあ。チャンス
をくださった担当者にも毎回、「まだ、できていない」という報告しかできなくて…。
でも、社長は「できるまで頑張ろう」という姿勢を崩さなかったですね。

森川:品質検査の担当としては、検査の準備をしつつ、製品が上がってくるのをずっと
待つことしかできませんでした。航空機部品となると、それまで自分たちが携わってき
た製品より、とても厳しい検査基準が設けられているんです。さらに、検査記録をきち
んと書類として提出する義務もありました。初めてのことばかりで、不安も大きかった
ですね。

生田:当時、検査するための測定器そのものも新しくしましたよね?
森川:そう。測定器自体もより精度の高い検査ができるものを準備していました。ただ
正直、うまく検査できるか自信がない部分もありましたよ。

高田:本当に、加工にしても、測定にしても、何もかもが初めてのことばかりなんです。
図面だって、あんなに複雑かつ緻密なものは初めて見ました。「規格考査」という検査
基準に関する指示も、図面にびっしりと書かれていて。「あ、これは難しいな」と一目
でわかりました

生田:そうそう。図面を読み解くのすら、難しかった。あとから知ったんですが、当時、
あの図面で正確に製品をつくれる企業は日本で一社しかなかったそうです。だから、大
手部品メーカーの担当者も、その一社以外につくれる会社はないかとずっと探していた
みたいです。


僕らの挑戦する意識が、会社の風土を変えた

—想像以上に苦労の多い開発だったんですね?

生田:最初から壁の連続でした。CAD で図面を 3D に起こして、ソフト上のシミュレ
ーションをかけるとうまくいくのに、実際には思ってもいない部分にぶつかって加工で
きなかったりするんです。手で製品を触りながら、感覚で加工するようなこともありま
した。

高田:当時は、今のようにロボットのアームがプログラム通りに動いて加工してくれる
というわけではないですからね。全部手動で加工しては失敗して、をくり返すわけです。
途中から、自動加工になったからよかったけれど…。

生田:僕の場合は、入社してすぐにこの仕事だったので、機械の操作も全部一から覚え
ながら必死に取り組みました。材料費も高いから、失敗もできないし。仕事が終わって
も、頭の中は「どう加工しようか」ということでいっぱいでしたね。

高田:ようやく形になっても、検査で測定をしたときにサイズに誤差ができてしまった
のは悔しかった。何度も森川さんから戻ってきて、そのたびに一からやり方を変えてみ
るんです。

森川:というのも、航空機部品ということもあり、この製品は通常よりも軽さと薄さを
求められたんです。そのぶん、加工の際の固定方法によっては、製品そのものが変形し
たり、ズレが生じたり。製品となる材料のつかみ方一つからやり方を工夫しなければな
らない、とてもデリケートな仕事でしたね。

生田:検査から戻されるたび、工具もつくり直し、治具もつくり直し。あのときは「社
長、もうあきらめてくれないかなあ」なんて気持ちすら芽生えました (笑)。

高田:まあ、そのぶん、最終的に社内での検査をクリアしたときはうれしかったけどね。

生田:でも、ひと安心も束の間ですよ。次は依頼してくださった部品メーカーでの測定
が待っていて、その段階でダメだったらまたやり直しという可能性もありましたから。
最後の検査で OK が出るまでは不安でしたね。

森川:たしかに。たとえば、ネジは温度の変化によってわずかに縮む性質を持っていま
すから、完成時は OK でも時間が経ってダメになっていることもあるんです。だから、
材料の特性もしっかり考慮しなければならないし、社内で検査をする私も細心の注意を
払うように心がけていました。

—なるほど。そうして、いくつもの壁を乗り越えて合格し、航空機業界への参入を果た
したんですね。

生田:そうですね。振り返ってみると、長い戦いだったなあ。プレッシャーも大きかっ
た。

高田:気持ちはわかります。工場内でも加工機を止めて僕らが悩んでいると、「何をし
ているの?」という視線を感じましたしね。

生田:そうですよね。この挑戦の以前は、当社でもこれほどまでに難しい仕事はしてい
なかったから、加工機が停止することもあまりなかったんです。でも、私たちは機械を
何度も止めては考えている。周りからみると「そんなことをしていて、本当に売り上げ
につながるの?」という感じだったと思いますよ。

高田:一方で、「こうしてみたら?」という意見をくれる人もいたよね。私たちが悪戦
苦闘しているのをみんな見ていたから、ある意味、挑戦するという意識というか風土が
広がっていくきっかけにもなったかなと思います。

森川:たしかに。それまでも挑戦する姿勢はあったけれど、ここまでのレベルのものは
なかったですからね。

高田:言い方を変えれば、最初に私たちが一番難しい仕事に挑戦したことで、大日の挑
戦のレベル自体も一つ上げたのかもしれませんね。

「大日さんだから」と依頼されることが大きな誇り

—今回のプロジェクトを通して、得られたものはなんですか?

森川:私たちは日頃、工場で仕事をしているため、お客様から直接お礼を言われるよう
な機会はなかなかないのですが、昨年、その大手部品メーカーから感謝状をいただきま
した。

高田:そう。その部品メーカーの膨大な取引先の中で、毎年一社にしか送らない感謝状
とのことで、とてもうれしかったですよね。私たちの挑戦を皮切りに、ずっと、お付き
合いを続けられていることに対する感謝の気持ちということでした。

森川:ここ 10 年で受注する製品の種類もとても増えましたからね。こちらとしても、
ありがたいですし、あのとき頑張って本当に良かったと思います。

生田:私は今回のプロジェクトを通じて、一つひとつの材料に対する知識、治具設計の
スキル、複合加工機械の特性を活かして効率的に加工する方法など、さまざまな知見を
得られたように感じます。

高田:できることは一気に増えたよね。

生田:はい。それに加えて「やってみれば、なんとかなる!」というマインドを手に入
れられたことも大きかったですね。最初はどうなるかわからなかったけれど、試行錯誤
しながらもここまでこられたことで自信につながっているのかなと。

高田:それは私も同じです。一つのものをつくり上げるために、たくさんの経験をして
きました。当然、失敗もありますが、じつはその失敗が別の仕事で活きてきたりもする。
最終的には、自分自身の引き出しがどんどん増えていくんですよ。

森川:そして、それは会社の引き出しにもつながっているように感じます。当社ほどさ
まざまな業界の多様な製品をつくっている会社は少ないのではと思いますね。
より使命感の強い仕事を求めて、上を目指し続ける

—今後、皆さんはどのようなことに挑戦したいですか?

森川:過去に一度、依頼されたのに完成までたどり着けなかった航空機部品があります
よね。僕は、まずはそのリベンジが目標です。

生田:そうですね。航空機部品の中には、わずかな誤差でも乗客の命を危険にさらすか
もしれない部品もあります。だからこそ、私たちの技術レベルをそこまで引き上げて、
より高い品質を世に送り出したいですね。

高田:それから、航空機関連でいえば“宇宙”というキーワードは社長の口からよく聞
きます。だから、宇宙産業への参入の可能性はあるんだと信じています。再び苦労する
のかなと心配な気持ちもあるけれど、これからが楽しみですよ。

生田:自分たちがつくった部品が、宇宙に行くと思うとワクワクしますね。



—最後に、これから大日製作所へ入社してくる人へメッセージをお願いします。

生田:夢を持ってほしいと思います。新しい仕事も、取り組んだことのない分野も最初
から「無理だ」と決めつけないで、「我こそはやってやるんだ!」という気持ちで仕事
に取り組んでほしいです。私たちの仕事は、未知の挑戦ばかりですから一緒に夢を追い
かけましょう!

森川:まずは、何にでも興味を持ってほしいです。図面に書いてあること、目の前でつ
くられている製品について「これはなんですか?」「これはどういう意味ですか?」と、
何でも質問してほしい。「もっとこうしてみたら?」という意見だって大歓迎です。仕
事は受け身にならず、どんなことにも積極的に立ち向かっていってほしいですね。
高田:「できない」ではなく「どうしたらできるのか?」を考える姿勢を大切にしてほ
しいです。これからもきっと、どこの会社もできないような仕事を受注することが多い
と思うんです。正解がないなかで、自分なら何ができるか、大日製作所なら何ができる
のか、と探り続ける人をお待ちしています!

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