福祉業界の枠にとらわれず、運動機会の創出によって幸福度向上を目標に掲げるリィでは働き方や経営施策も非常にユニークです。 本記事では、経営陣が特に意識している「座らない経営」の考え方とその成果についてお伝えします
「座らない経営」とは?
では、「座らない経営」とは何でしょうか? これは文字通り業務時間内で座る時間を減らすような制度を作り出すことです。
具体的には、座りすぎは体やメンタルに悪影響を及ぼすので、座って仕事している時間の一部を「心拍数を上げる短時間の運動時間」に置き換えるような全社員参加型のルールを設けています。
なぜ「座らない」のか?
実は、座りすぎって喫煙や飲酒と同じように健康リスクを脅かす問題の一つだと考えられているんです。
長時間座り続けることは、それだけで血流や筋肉の代謝が低下し、心筋梗塞、脳血管疾患、肥満、糖尿病、がん、認知症など健康に害を及ぼす危険があることがわかっていて、1日に座っている時間が4時間未満の成人と比べ、1日に11時間以上座っている人は死亡リスクが40%も高まるといわれています。2011年、WHO(世界保健機関)は「世界で年間200万人の死因になる」という発表までしています。
また、座りすぎは体の健康だけではなく、メンタルにも悪影響を与えることがわかっていて、「うつ病」にもつながる危険性も指摘されています。
そんな中、日本はというと、座位大国と言われるほど座りすぎが深刻なんです。オーストラリアの研究機関で、日本人の成人が平日に座っている時間が、1日420分=7時間という調査結果が発表されています。
そこで、私たちは座り過ぎを予防することで、短期的には集中力向上・気分転換、長期的には健康促進・幸福度向上による離職や休職防止等による生産性向上が見込めると考え、この「座らない経営」を実施することにしました!
どうやって「座らない」のか?
私たちは、全社員に運動機会を創出するために、5つの施策を実施しています。
①1・5・1運動
勤務時間内の朝1分・昼5分・夕1分の運動で心拍数を上げることによって、幸福度や生産性向上をはかる取り組みです。実施する際には各社員がスマートウォッチFitbitをつけて、心拍数を計測しています。
また、取り組み時には全社をオンラインでつなげ、自社インストラクター考案のメニューを制限時間内全力で行っています。有酸素運動のハードなメニューを取り入れて心拍数を向上させる習慣を作ることによって、幸福度や集中力も向上をはかっています。
実施した結果、従業員の座りすぎ防止だけではなく、全員で同じ運動をルールを設けながら、個人に合わせた形で行うことで、心理的安全性の向上、チームビルディングにも効果があるというアンケート結果も得られています。
詳しくは前回の社内風土レポを見てください!!
②座らない入社式・全社会議
私たちは、半期に一度の全社会議を実施し、会議中は座って話を聞くという形が主流となっていました。
しかし、全社会議の目的が会社への幸福実感・ロイヤリティ向上を目指すものであったため、2023年4月の会議は座らない入社式・全社会議として、午前中は、体を動かして心拍数を上げる、シャトルランやチャンパラ等の運動を行った後にワーク等を行う形に変更し、“座らない入社式・全社会議”を開催しました。
全社会議についての記事: https://prone.jp/press_releases/3471
③ウォーキング面談
リィでは、上司と月1程度面談を行うときに、軽いウォーキングをしながら面談を行っています。
実際に相手と歩調を合わせることによって、「似ているものに愛着や安心感をもつ」という人間の心の働きから、相手からの信頼を得やすくなります。また、ウォーキングなどの運動は、セロトニンなどの心身の健康を保つ物質が分泌されることに加え、心拍数をあげることで幸福度が増すため、抗うつ剤と同じ効果も期待することができます。 そのため、お互いの信頼関係を保つことによって安心感が生まれ、前向きな気持ちで面談ができると考えています。
④運動アイスブレイク
経営会議も含め社内会議の前は、アイスブレイクに運動を取り入れています。それによりドーパミン分泌、集中力向上が期待できます。面接や会社説明の際にも実施し、求職者様の顔がほぐれていくのが実感できるなどの声もあがっています。
⑤スマートウォッチ「Fitbit」の全社員着用
運動リマインド機能を活かした座りすぎ通知のあるスマートウォッチを全社員に配布し、会社としては心拍数及び、運動量を定点的に観測し、「1・5・1運動」の質向上等による社員の運動習慣化を模索しています。
「座らない経営」の成果
みんながリィのファンになった
まず保護者の方や子どもたちがリィのファンになってくれました。
顧客に対して行う「NPS(顧客が使用サービスを家族や友人におススメする度合)」調査の結果、リィでは40以上を継続できています。
これって結構すごい数字なんです。
NPSは、顧客の方に「使用サービスを家族や友人にどのくらいお勧めしたいか?」を10段階評価で答えてもらった後に、9・10と高い評価をしてくれた人たちの割合から、0~6と低めの評価をした人たちの割合を引いたものになっています。
日本では、こういう類のアンケートで5や6を選びやすいという中心化傾向が強い国であるので、0~6と低めの評価をする人たちの割合がとても多くなりがちなんです。例えば、携帯電話サービス関連のNPSが、アメリカは平均約30ptに対し、日本は平均-50ptという結果もあるくらい、NPSは日本だとマイナスがつきやすい指標なんです。
このような傾向がある中で、NPSが高水準を維持できていることは、「座らない経営」で従業員みんなの生産性や幸福度が上がったおかげだと思っています。
次に、リィで働いているみんなもファンになってくれました。
これは、eNPS(従業員が所属企業を家族や友人におススメする度合)を調査したところ、23.8(6か月前23.0)と日本平均-50~-70に比べて大幅に良好な結果が見られました。ここ半年で、社員数が約2倍になったことによるeNPSの減少が予想されていましたが、逆の結果となりました。また、3年以上在籍の人は85.7という驚異的な結果がみられました。
事業が成長した
業績は児童発達支援施設の運営を中心に2022年から2023年にかけて2倍、店舗数は「1・5・1運動」などに取り組みだした4月以降で4店舗を開所し計1.5倍の13店舗、社員数は約2倍の100名程に拡大できました。また、企業理念に共感を持ったリファラルでの採用人数も増えており、組織の急成長を実現してます。
▲2022年4月‐2023年4月 当社業績推移
▲社員数・店舗数推移
・代表Twitter:@ayumi_lii