2026年1月19日(月)
ラジオへの憧れ
今回、別のコラムを用意していたのですが、急遽このテーマで書くことにしました。
皆さん、BCLってご存じですか?中学生の頃、私は BCL に夢中でした。
BCL とは BroadCast Listening の略で、日本語では「放送を聞く」となりますが、狭義では「海外の短波放送を受信して楽しむ趣味」を指します。国内のラジオ局使っている、中波(AM放送)や超短波(FM放送)に比べて短波は特に夜には遠くに届くので国外向けの放送に使われます。
当時は、以下の局で日本語放送が行われていました。
モスクワ放送、北京放送、KBSラジオ韓国、朝鮮中央放送、自由中国の声(中華民国)、ドイチェベレ、バチカン放送、アンデスの声、ラジオ・オーストラリア、ロンドンBBC放送、スリランカ放送、ベトナムの声。
うろ覚えなので間違っているかもしれません。もちろん、全ての局を聴きました。
各局の日本語放送は週に数回で、一回あたりだいたい30分位でした。オープニングも各局個性があって、ラジオ・オーストラリアはワライカワセミの鳴き声、ロンドンBBCはBig Benの鐘の音など、その国の特色がありまさにラジオが海外への扉となっているようでした。
AM ラジオもよく聞いていました。「高島秀武のまだ宵の口」や「オールナイトニッポン」などが好きで、リスナーを楽しませながら話し続けられる DJ に憧れ、無口だったのに自分も DJ になりたいと思った時期もありました。
そんな子どもの頃からの憧れだったラジオに昨年出演する機会をいただきました。しかも一気に3つの番組です。
ラジオでのトークは難しい
これまで、大勢の前でのプレゼンや新聞のインタビューなどはあったのですが、ラジオはそのいずれとも違って難しかったです。
聞き手の方は目の前にいるものの、その後ろには “見えない大勢の聴取者” がいます。しかも何人が聞いているかはわからない。
そのため、どのように話すべきか悩みました。最大の難しさは、聴き手の反応(Feedback)が確認できないことです。
この感想を昔の部下に話したら、「それは『ラ・ポール』がとれないからですね」と即答されました。すごく高度な言葉が返ってきたので感心していたら、「昔、廣木さんから習いました」と言われました。私自身、いろいろなところでコミュニケーションスキルについて啓蒙していたのだと、あらためて気づきました。
そんな私ですが、今回のラジオ出演はとても学びが多かったです。特に大きな気づきが3つありましたので、まずは1つ目を紹介します。
1. 「いかにして間を空けずに話すか」
1982年公開の映画『ブレードランナー』では、人間とレプリカント(人造人間)を見分けるためのフォークト=カンプフ検査を行うシーンが登場します。レプリカントは感情が未発達なため、質問に対する反応時間を測れば識別できるというものです。
このシーンは、人間にとって「反応時間」=「間」がどれほど重要かを考えさせてくれます。
プレゼンは事前準備ができますし、新聞のインタビューはじっくり考えて答える余裕があります。しかしラジオはリアルタイム性が高く、しかも見えない多数の聴取者がいるため、「間」をどう受け取られるかがとても気になります。
日常のコミュニケーションでも、微妙な間があると相手を不安にさせたり、場合によっては誤解や対立につながったりすることもあります。一方で、間を恐れて即答してしまうと、話がまとまらなかったり、本来言わなくてもよいことを言ってしまったり、誤解を生む可能性すらあります。
この間について上岡龍太郎が語ったことを思い出しました。まずは“定番の台詞”を反射神経的に口にして、その間に次の言葉を考えているとのことです。さすがにプロの技術なのでその域には簡単には到達できませんが、日頃から自分の考えを整理しておき、いつでもまとめて話せるように準備しておくことであれば、私たちにもできます。
さらに一歩進めて、自分の考え方を「型」としてつくり、複数の型を持っておく。質問が来たら、どの型で答えるかを反射的に選べるようにしておく。
これが、上岡さんの境地に少しでも近づく方法だと思います。
こうした訓練は普段の仕事、特にマネジメントでも非常に有効です。たとえば部下に仕事の意義を聞かれたとき、型に基づき、間を空けず、ぶれない答えを返せると、相手の納得度も高まるのではないでしょうか。
2つ目以降の気づきは、次週のコラムでご紹介します。
久米宏さん
今回のコラムの表題は、TV でも活躍されていた久米宏さんのラジオ番組『久米宏 ラジオなんですけど』からお借りしました。久米さんは博学で、どんなゲストにも同じレベルで寄り添い、話を引き出されていました。そのすごさに圧倒されながら聴いていたことを覚えています。
その久米宏さんが、先日ご逝去されました。
『ぴったしカンカン』『ザ・ベストテン』『ニュースステーション』など、長年にわたり多くの番組で楽しませていただきました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
※次号は1月26日(月)リリース予定です