都会の喧騒に疲れ、自然と近い田舎で働きたい。でもどんな仕事があるのか?疑問に思う人も多い。
田舎で台頭する課題のひとつに「山」の問題があります。間伐がままならず、山が荒廃していき、土砂災害や田んぼへの栄養不足など、様々な弊害が生まれています。
そんな中、兵庫県丹波市も同様、山の課題に直面しています。課題解決の手法に林業がありますが、現場に入り木を切り出すなど、体力勝負の仕事であるイメージを持たれる傾向にあります。ですが、それ以外にも山や自然にかかわることができる職種があるのです。
それが「森林施業プランナー」という仕事。
様々な角度から森林課題にアプローチ出来る仕事として、今注目を浴びています。実際、フォレスト・ドアグループの森のわ社にて「森林施業プランナー」に従事する、石原さんに話を聞いてみました。
石原 まりな / 森林施業プランナー
2015年近畿大学農学部卒業。自然や生態系保全に興味があり、新卒でプレカット工場で5年間勤務。住宅建築にあたり使用するプレカット材の加工データなどを設計。その後、より自然に近い環境で仕事がしたいと気づき、フォレスト・ドアグループである森のわへ転職。現在は、森林施業プランナーとして従事。
5年間の勤務を経て分かった。自然が好きな自分。
ーーフォレスト・ドアグループの前は、どんな仕事をされていたのでしょうか?
もともと幼少期から自然の中で遊ぶタイプで、自然が好きでした。将来は自然に関わる仕事がしたいと思い、当時は和歌山県に勤務し、建築会社でプレカット材の加工データ設計に関わる仕事を5年間担務しました。
ーーそこから、なぜフォレスト・ドアグループへ?
やってみて、やり切ったなという感覚もありましたし、建築に関心がそこまで湧かなかったことにも気付きました。嫌いという訳ではまったくなく、のめり込めるものではなかったといったニュアンスです。職場環境としては、とても良かったです。ただ、もっと自然に近い仕事がしたいという感情が湧いてきたため転職活動をはじめました。転職活動では、具体的に何がしたいかなどはなかったため、色んな職種をみました。例えば、自然公園の職員などです。
ーー自然に関わる仕事を探すのは、なかなか難しそうですよね。
メジャーではない仕事はあまり大手サイトに掲載されていないので、難しかったです。そもそも、自然に関わる仕事って何があるんだ?といった状況でして、、、。なので、まず自然に関わる仕事を知ることから始めました。そして、「森林(もり)の仕事ガイダンス」というものを見つけ参加し、初めて森林施業プランナーという職種に出会いました。
自分に合う形で、自然に関わる。森林施業プランナーという仕事を、自然の傍で。
ーー現職は森林施業プランナーという職種に興味を持ったことがきっかけだったんですね。
そうですね。検索エンジンで「自然・職員」などのキーワードで検索したところ、森のわの森林施業プランナーに関するInstagramの記事を見つけました。森のわでは、現場経験を問わずプランナーとして活動を始められる内容の募集がかかっていたのですぐに応募しました。
ーー森林施業プランナーという仕事について、教えて頂きたいです。
主には以下の様なフローと業務内容です。
- 森林整備できそうな山の調査
- 山主に対しての説明会開催
- 森林内の道の作り方、森林の整備方法設計
- 山主への間伐計画などの提案
- 山主との契約締結
- 契約完了後、補助金申請や測量などの業務遂行
ーー多岐にわたる業務ですね。それにより、現在貴社が捉えている山の課題解決にどうアプローチできるのでしょうか。
森林の荒廃が大きな課題のひとつです。森林が放置されたままだと、荒廃していき、間伐していない状態だと光の入らない暗い山になるんです。すると、生態系の維持が難しくなったり、田んぼに養分が流れなかったり、様々な弊害が起こります。
そういった問題を防ぐために、適切な管理で本来森林が持つ働きを蘇らせるアプローチを実施しています。詳しくは森のわのホームページを見ていただいた方がよいかもしれません。
ーー森林施業プランナーの魅力ややりがいを教えてください。
いわゆる、三方よしを実現する事業モデルという点でしょうか。自社だけの収益ではなく地域や山主、様々なステークホルダーにとって理想的な山の在り方を考えられるのはおもしろいと感じる点です。
ーー働き方や環境についても教えてください。
社員さんについてはアプローチやきっかけは様々ですが自然に対して想いを持った社員さんが多いです。8時20分に出社し、17時10分に退勤、という働き方ですね。残業もほとんどなく、17時半には職場を出ています。
ーーちなみにプライベートはどんな風に過ごされていますか?
丹波には寺社仏閣が多いので、カメラを持ってよく散歩に行っています。プライベートではないですが、働いている中で現場に行くときは森で散歩している気分を感じることができます。(笑)とっても気持ちいいです。
山、地域、山主、職人、会社。多角的に見てベストな施業方法を提案する。
ーー今後石原さんは、どんな森林施業プランナーになっていきたいですか?
山、地域、山主、職人、会社、と多角的に見てベストな施業方法を提案できるようになりたいです。ただ、会社としては収益を上げないといけない中で、整備できる山を見つける事が難しく、課題に感じています。
代表の足立のインタビュー記事にもある通り、それでも誰かがやらなければいけない、大きな社会課題だと感じているので、持続可能性があることを前提とし、ボランティアではなく、ビジネスとして収益を上げれるようにロールモデルとなっていければと考えています。
代表のインタビュー記事はこちら!
ーー最後に、転職や移住を踏み出せない方へ一言いただきたいです!
丹波は意外と不便が無いので、安心していただきたいです。田舎とはいっても、少し車を走らせればチェーン店や個人経営のパン屋さんなどがちょこちょこあり、地方の中でも断然住みやすい環境だと思います。
山や林業、地方創生に興味関心がある方は、地方移住のハードルを度外視で一度、お話を聞きに来ていただきたいです。
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