前回は、代表の梶原とOPTIMAがどのように生まれたのかについて触れました。今回は、OPTIMAが向き合っている課題や、OPTIMAの立ち位置、宿泊業界の構造等について焦点を充てて話を整理します。
ーOPTIMA(オプティマ)とはー
改めてになりますがOPTIMA(オプティマ)は、宿泊施設様がWeb上で直販の予約を受け付けることができるプロダクトです。
OPTIMAを開発した背景については、前回の記事に目を通してもらうとイメージが沸きやすいと思います。
現在の旅行者は、OTA(Online Travel Agent)と呼ばれるネット専門の旅行サイト(じゃらんや楽天トラベル等)を経由して予約することが多いと思います。
この比較サイト経由とは別に宿泊施設の公式ページからの予約することを”直販予約”と呼び、OPTIMAの立ち位置は、この直販予約を強化することができ、現在の施設予約の在り方やマーケットをひっくり返すことができるプロダクトです。
加えて、現在の宿泊施設様が抱える経営課題の様々な要因を解決できるプロダクトとなっています。
ー宿泊業界で起きている課題ー
私たちが認識している課題は大小様々なものがありますが、
が主たる課題であると考えており、私たちが最も向き合っている課題は、宿泊施設様の収益改善にも繋がる予約の”直販比率”です。
SNSの影響や、宿泊施設様が発信した情報をダイレクトに旅行者に届けられる時代にも関わらず、”予約”という手法はOTAが主流で、直販比率は11%と低い状況でした。
宿泊施設様は、OTA経由の予約の場合、宿泊料金の10%~20%程度手数料を支払う必要があります。
かつこの手数料率は年々上昇し、宿泊施設様の収益性を圧迫している要因にもなっています。
また、昨今のニュース等でも取り上げられているので、一部イメージもあるかもしれませんが宿泊業は日本の大切な観光資源にも関わらず、深刻な人手不足の状況です。
対して、デジタル化の遅れから業務量は変わらず、サービスの品質向上を目指すと余力がなくなってしまいがち。
宿泊施設独自の魅力やコンテンツ作りに励むものの集客は外部のOTA依存になっている。
前述した通りOTA手数料は年々増加しており収益性を改善することが難しい状況。
そのような状況下ですと人件費等への還元に繋がりづらく、人手不足の状況は依然として続いてしまう。
このような構造課題がありながらも宿泊施設様が集客をOTAに依存せざるを得ない状況が続いているのは、OTAに匹敵する”直販予約”が可能な強いプロダクトが世の中に無かったからだと考えています。
そこにOPTIMAというプロダクトを創り上げ、2020年にスタートさせました。
各宿泊施設様とお話をさせて頂く中で、OPTIMAはとても強いニーズを感じていますし、コロナ禍でローンチしたにも関わらず、わずか3年で2,000施設様にご導入頂き業界内でも認知形成ができつつあります。
ーコロナ禍のローンチ。それでも利用施設数が右肩上がりな理由ー
宿泊施設様が抱える課題のベクトルと合致したことと、UI/UXを徹底的に追及したデザイン性の2つの理由が大きいと思います。
OPTIMAはコロナ禍の2020年5月にローンチしたプロダクトです。
当時は、ニュースや記事などでコロナの話題を見ない日はないほど、社会の中心にコロナがあった時期ですよね。オリンピック需要やインバウンドの期待もありながら、緊急事態宣言などの行動制限がかかるなどコロナ禍で最も影響を受けた業界として出てくるのは、観光業や宿泊施設様のイメージが強いのではないでしょうか。当時は業界に関わるどの企業も苦しくて、宿泊施設様は特に大変な時期でした。
一方で、このコロナの影響は、宿泊施設様の「このままではいけない!今までの流れを変えよう」という強い意志を持つきっかけにもなりました。
宿泊者が減少した今しかできないことに目を向け、抜本的な収益の見直し、解決策を実行する動きが加速したことも導入施設が増えたことに大きく影響しています。
宿泊施設運営における「従来の”当たり前”」を見直すことで、通常運営では優先度が上がらなかったOTA集客への依存した体制の脱却、魅力の伝え方や自社会員プログラムの重要性に目が向くようになりました。
まさにOPTIMAが解決できることであり、宿泊施設様からも「これこれ!まさにこういうのを求めていたんだよ!」というお声を頂くことが多かったです。
OPTIMA開発に踏み切った当時の私たちの課題感と、業界低迷期の中でありながらも実際に宿泊施設様が抱えている課題のベクトルがズレていないことを確信した瞬間でしたね。
今までの業界の流れにとらわれずに、新しいことや本当に必要なものに投資を行う思い切った意思決定がしやすい環境もあり、OPTIMA導入の判断をして頂くことができました。
もう一つは、UI/UXを徹底的に追及したデザイン性です。
こだわってきたことでいうと、わかりやすさ、情報のみつけやすさ、宿泊施設様のブランドを傷つけないデザイン性。ここにこだわって開発して来ました。
デザイン性というと表面的な話に聞こえるかもしれないですが、
僕自身も体験としてあるのは、公式ページは凄くきれいで洗練されているのに、収益の柱であるはずのWeb予約ページに遷移した途端、「昭和」に戻ってしまう古いUIになっていたり(笑)
わかりづらくて予約が進まない、という苦い経験もあります。
直販のプロダクトを提供するのはかなり責任があることだと思っています。宿泊施設様の直販予約は、OPTIMAの良し悪しで結果が大きく変わることになる。
私たちは、宿泊施設で働く方々が新たな試みにチャレンジし、おもてなしの心を込めた多彩なサービスを用意し、お客様を迎えようとしていることを知っています。
魅力ある取り組みが認知され、ユニークユーザーとして”1”を稼ぎ出すために宿泊施設様の努力や汗があります。
待っているだけで来るわけではなく、施設様の多くの工夫で磨きに磨いた結果、僕らOPTIMAに1ユーザーとして遷移される。
この”1”の重みを僕は大切にしたい。
UI/UXは徹底的にこだわって、エンドユーザー視点でいけば、誰もが簡単に予約ができるっていう観点と、宿泊施設様の視点では、どの宿泊施設からも自分たちが届けたい情報を適切に届けることができ、価値を生み出すことができる。
というエンドユーザーの目線と宿泊施設様の目線で、この二軸を絶対的に大事にしている。これができない予約システムは存在価値がないと思っています。
だからこそUI/UXを徹底的に追及して、宿泊施設様がOTA依存の状態から、安心して直販へシフトできるように価値あるプロダクトを届けたいです。
ーGoogle社とパイロット版の共同開発ー
今は、OTAを使わなくてもGoogle検索で価格を比較することができる。
このGoogle検索での価格比較について、実はOPTIMAも絡んでいたりします。
取り組みの事例の一部をお伝えします。
Google検索で直販予約とOTAの価格が比較できるPaid Adsという有償広告枠に加え、2022年にFree Booking Linksという無償枠が実装されました。画像のようなイメージです。見たことある方も多いのではないでしょうか。
直販価格には、一般価格と会員価格があり、会員価格がベストレート(最安値)になることが多いです。そのため、会員価格を上位に表示できた方が訴求力がありますし、ユーザーとしてもメリットが大きいです。
加えて、宿泊施設様にとっても会員獲得や直販の強い金額(ベストレート)を打ち出すことができる。
しかし、当時は一般価格しか表示できていなかったので、Google社との様々な機能に関して協議をする中で、課題の一つではないかと提唱しました。
当時、OTAはクーポンを利用して、安い金額に見えるように掲載している時期もありました。
本来、エンドユーザー視点から見ても、宿泊施設様から見てもそこに会員価格があった方が価値がある、という考えで協議を行い、Google社とパイロット開発した。そのような事例になります。
ーパイロット開発にあたりGoogle社との接点はー
他社に先んじて、Free Booking LinksやPaid Adsなど、機能の一部をOPTIMAと連携する話をアプローチしていたことと、いくつか既に実現していた実績がありました。
Google社の担当者とコミュニケーションを取る中で、様々な課題抽出を行う場面があり、その一つに会員価格が出ていない点を挙げたことから取り組みが始まりました。
当社のPrice Acuuracy Scoreがとても優秀であることも評価頂いていて、一緒に協議が進んだこともあります。
このPrice Acuuracy Scoreとは、簡単にイメージしてもらうと、
「500円で安い!と思い広告をクリックしたが、実際は3,000円かかります。」というようなユーザーに良くない影響を与えてしまう場合はスコアが低くなってしまいます。
OPTIMAではベストレート(最安値)になることが多い会員価格を表示することができるため、最高水準のPrice Accuracy Scoreを実現しています。
嬉しいことに、日本国内に限らず、アジア圏でもかなり優秀なスコアだと聞いています。
このような背景もあり、OPTIMAを通すことによりGoogle広告に上位表示することができます。
Webサービスにおいて、これらの実績による強みと効果は大きく、他社製品と比較するとCV数が約7倍となった実績もあります。
OPTIMAというプロダクトを通して、Googleからの集客、D2C強化にも繋がることで、手数料をかけることなく「直販への集客」を実現する仕組みを提供しています。
株式会社エス・ワイ・エス's job postings