今すぐ業務改革すべき理由
私はRPAの導入支援を3年くらいやってきました。自動化の依頼を受ける多くはバックオフィス業務です。経理・人事・総務などの部門がメインですが、営業職をはじめとしたフロントオフィス部門にも請求書のやりとりや定型的な連絡作業などバックオフィス業務が存在しています。
これらの業務を自動化ないしは効率化していくことで、コア業務に注力できるようになったり残業が減ったりします。そのため業務改革はコスト削減の為だけでなく、売上増加にも繋がる重要施策です。
ダメな業務改革
RPAが良い。iPaaSが良い。SaaSが良い。業務改革のキーワードは沢山あります。
しかし、とりあえずやってみようで始める自動化は基本的に失敗します(最速で失敗して学びを得るというコンセプトなら悪くないですが)
基本的に日本企業のオフィス業務は属人化している傾向にあります。上長が部門で行われている業務を把握しきれていない状態です。その状態で業務改革をスタートしようとすることは、目をつむったまま車を運転するようなものです。
巷で言われる業務改革ソリューションは基本的に薬です。薬は処方する前に体のどこが悪いのか判断する必要があります。業務も一緒で何かソリューションに手を出す前に業務のボトルネックとなっている箇所を探し出すことが必要です。
6つのステップ
ゼロからの状態でも業務改革をスタートできる6つのステップを記載しました。
①完璧に業務把握
まずは業務把握からスタートです。対象部署で行われている業務を洗い出し、ボトルネックとなっている箇所を特定します。
手軽に始められる手順としては、1人1人に日々行っている業務(なぜ、誰が、何を、どのように、いつ、どれくらい)のヒアリングを実施して業務洗い出し表にまとめます。
この段階で全ての業務に対して詳細な手順まで調べようとすると大変なので、”どのように”に関してはざっくりで問題ありません。
ヒアリングが大変であればプロセスマイニングやタスクマイニングなどをつかって自動で業務洗い出しができるようにすることもできます。
②問題原因の分析と評価
洗い出した業務の中から、業務量が多いものをピックアップして問題の分析と評価を行っていきます。
具体的には担当者が実際に作業を行っている様子の観察やヒアリングを実施し、業務フローチャートとして可視化していきます。マニュアルが整備されている場合はそれも参考にしましょう。
③問題の解決策一覧を出す
可視化した業務に対して、効きそうな施策をブレストします。一般的なところとしては、
・システム化
・特化型SaaS
・RPA
・iPaaS
・Excelマクロ
・BPO
・社員教育による生産性UP
・業務廃止
などなど
こちらも参考に
④実施する施策の選定
ブレストした施策から、実際に実施する施策を選定します。選定の基準は多岐に渡りますが、難しいこと考えずに進めたいなら単純に費用対効果で測るのがスタンダード。
施策の実施によって年間削減されるコスト - 施策実施にかかるコスト =費用対効果
削減されるコストは正確な算出が難しいため推定で、実施後に効果測定して今後の見積りに活かしましょう。
他にも定性的な効果や成果がでるまでのスピードとか社内政治的なところとか、費用対効果以外にもいろいろ判断基準はありますのでお好みで加えましょう。
⑤解決策を実行する
解決策を実行しましょう。
※失敗する業務改革は最初にここからスタートしようとします。
⑥定期的な健康診断
施策を実行したら効果測定をして評価をしましょう。良さげであれば他業務や他部門にも横展開できそうです。
そして市場が変化する限り業務も常に変化します。本来であれば日々業務の改善を行い「業務改革」が必要でない状態が理想です。
ゴミ屋敷になるまで放置してから一気に大掃除するより、毎日ちょっとずつ掃除してキレイな部屋を保ったほうが良いですよね。業務も同じで、業務が汚れたままだと企業の競争力もダダ下がりです。
特に最近は自動化技術の進歩が著しく、半年前には不可能であったり予算的に難しかったことが今はできるということも珍しくありません。
なので、1回きりのプロジェクトで終わらせるのではなく日々業務モニタリングと改善活動を続けることが重要です。
おわりに
ちゃんと業務把握してみたらRPAとかより、キーボードショートカット覚えてもらう方が何百倍も良かった!とかざらにあるとおもいます。
この手順踏めば社内だけでやっても頓珍漢なプロジェクトにはならないし、失敗したとしてもPDCA回せるのでぜひお試しあれ