こんにちは。人事の曽根です。
日本の全人口の半数の住まいであるマンション。数年前から人口減少の局面に入った日本において、不動産業界は今大きなパラダイムシフトを迎えようとしています。
私たち晴耕雨耕は単なるマンション管理会社ではなく「総合生活サービス」を提供する会社として、人々の住まいを通して多面的な価値を提供しています。
今回の記事では代表の東良に、これまでのキャリアや感じてきたこと、不動産業界の変遷やマンション管理のあり方、今後の展望についてインタビューしました。
<プロフィール>
代表取締役社長 東良 隆
1955年生まれ。兵庫県出身。喫茶店のオーナーからキャリアをスタート。その後ワイン・調理道具の飛び込み営業を経て、30歳を節目に不動産業界に飛び込む。36歳に晴耕雨耕の前身企業であるタケツー・ライフサービス・コーポレイションに入社し、2001年に代表取締役社長に就任。2016年に第3者承継・社名変更により、晴耕雨耕株式会社のオーナー経営者に就任。現在晴耕雨耕株式会社は京阪神の独立系マンション管理会社の中でトップクラスの管理戸数を誇る。
目次
- エンドユーザーに直接触れられる喜び
- 阪神淡路大震災で分かったメンテナンスの重要性
- メンテナンスが重要な海外とメンテナンスが重要ではない日本
- マンション管理業界のパラダイムシフト
- マンション管理を通して「総合生活サービス」を提供する晴耕雨耕
エンドユーザーに直接触れられる喜び
曽根 社長のこれまでのキャリアについて改めて教えてください。
東良 学生時代からあまり会社員になる事を考えておらず、商売と飲食が好きだったので喫茶店を始めたのがスタートですね。ロイヤルホストなどの大手の飲食店がまだない時代で,「自分の力でやってみたい」という思いが強かったです。場所は兵庫県神戸市の六甲、神戸大学の学生などが集まるところでやっていました。莫大な利益は上がりませんでしたが、5年ほど経営を続けていました。様々な雑誌にも掲載されましたが、そこから更に発展させる能力が当時の自分にはなかったので、色々な方たち惜しまれながら店を閉めました。
その喫茶店のカウンター越しの接客を通して、エンドユーザーと触れる楽しみを知ったと思います。
縁があって次のキャリアに選択したのが、ワインの輸入販売商社。まだ日本国内にワインが普及していない時代だったこともあり、高級自動車販売会社とタイアップしてワインを売り歩いてましたね。
勤めていた会社が他社に吸収合併されたタイミングで、調理道具(鍋)のフルコミッション(飛び込み営業)を行う会社に転職しました。訪問販売で鍋を売るのですが、奥様方の料理に対する思いが強かったり、油を控えるなど健康管理に気を使い始めた時代だったこともあり、大阪〜神戸をかなり回って売り切っていました。
ワインも、鍋もそうですが、「高額商品でも良いものなら売れる。」と実感したのは、この辺りからだと思います。
アフターサービスで訪問したお客様が、たまたまハウスメーカー会社の副社長宅で、その方に転職を勧められて、建築も何も知らないまま、戸建の建築・販売に強い上場会社に営業として移ることにしました。扱う商材は、戸建の注文住宅から二世帯住宅まで。建築の知識を3か月でめちゃくちゃ勉強し、それ以後6年間営業成績は、ずっとトップでした。
喫茶店から始まり、ワインを扱い、鍋を扱い、辿り着いたのが「住まい」。住まいはBtoCにおいて究極のバイ(buy)であり、お客様にとって一番大きな資産となるもの。これを扱える楽しみを知れたと思います。
阪神淡路大震災で分かったメンテナンスの重要性
曽根 前身企業のタケツーに入社してから、これまでどんな事を感じてきたのでしょうか?
東良 当時タケツーが作っていたマンションは、かなり個性的で、唯一無二の存在を生み出すことに面白さを感じて、36歳の時に転職しました。マンションのメンテナンスにも携わるようになったのもここからですね。
それまでは、日本の人口がどんどん増える一番良い時代で、建物の供給側に立ちキャリアを積んできました。ただ37歳の時にバブル崩壊のきっかけとなった総量規制。これまでのやり方が通用しない時代に突入しました。
当時のオーナー社長と一緒に海外を回り、向こうのマンションや資材を勉強したり、デザイナーズマンションの視察をしたり、健常者の老人ホームを勉強したり、この時点でもまだ「良いものを作りさえすれば売れる。」と確信していました。
大きく考え方を変えるきっかけとなったのが1995年の阪神淡路大震災です。
建物は、脆い。という事実。
天災の前で出来ることは、起きてしまったことの対応のために走り回ることだけでした。
ただし、絶対的に言えるのは「住居はきちんとメンテナンスをしていると早くリニューアル出来る」ということ。耐震設計の問題はありますが、復興してから震災前よりも良くなったマンションは、実はたくさんありました。
マンション管理は、供給側が生み出したマンションを守るための副産物的な業界でしかありませんでしたが、メンテナンスをしっかりと行うことがオーナーだけではなく、居住者にとっての資産形成につながり、また人の命を守ることにつながるのだと、確信しました。
メンテナンスが重要な海外とメンテナンスが重要ではない日本
東良 当時から人口減少は始まっていました。海外に視察に行くことで、日本と海外のマンション管理のあり方が全く異なる事を理解させられました。ヨーロッパは、石を使った建築物が多く、その風合いを残しながら丁寧にメンテナンスをしており、またアメリカでは、コンドミニアムのリニューアルを行ったりしていました。こうした管理が資産売却の際、売却金額に大きく影響を与えるのが、ヨーロッパ・アメリアと日本の違いです。
日本が今遅れているのは、物件価格の市場価値算出方法です。日本では現在販売価格と路線価をベースに計算します。重要事項説明書に管理組合の積立金の総計金額は書いていますが、管理の質には触れていません。かつ、この計算をもとに銀行融資の金額も決まってしまう為、すぐ様不動産業界・銀行業界がドラスティックに変化することは現実的ではありません。
ただ、動き始めているのは、災害発生時に保険金を支払う損害保険会社です。きっちりメンテナンスしているとコストを抑えられるのが彼らで、メンテナンスの質に応じて保険料を安くするインセンティブ方式が始まろうとしています。これは1つの先駆けだと考えています。
マンション管理業界のパラダイムシフト
曽根 これからのマンション管理業界についてどのように考えていますか?
東良 これまで述べてきたように、欧米諸国と比較すると、売るためだけのモノづくり戦略で、集合住宅の様々な問題を改革改善をしながら進めてこれなかったのが日本です。ウクライナとロシアの戦争やコロナ禍のパンデミックもありますが、このビジネスモデルの未来は、十二分に広がりもあり安定してて、人にも喜ばれる仕事と確信しています。
人口減少が加速していく中で、どこかで供給量が落ちること自体は、もう確定しています。海外では今ある建物をリニューアルすることが普通ですが、日本が掲げている、建築基準法の見直し等で、戸建の感覚と同じように、マンションもただ単に潰して、建て替えようと考えています。これは、供給者側の目線が強く、マンション管理という業務が副産物として生まれてきたことが大きいですね。
本来は、上手く現状の物件をメンテナンスしながら、オーナーや居住者と一緒に、次の建物全体のリニューアル工事又は、メンテナンススタイルを考えていき、コミュニケーションを作っていくのが、これからのマンション管理業界のあり方です。
例えば、借り手が付かなくなってしまった1ルームマンションをシニアビジネスとマッチングし、デイサービスの施設として利用したり、5〜10年後には必ず様々な形で、リニューアルの文化がマンションにも浸透していきます。
住まいは人がものを買う中で最大規模の資産です。それにも関わらず、自分の部屋だけをリニューアルしたり、リフォームしても資産価値が上がらないのが今の日本です。
先を見据えて、ここをいかに当社として、提案していくかというのがマンション管理の妙だと考えています。
マンション管理を通して「総合生活サービス」を提供する晴耕雨耕
曽根 そんな業界の中での晴耕雨耕のあり方について改めて教えてください。
東良 晴耕雨耕が提供しているのは「総合生活サービス」です。建物だけではなく直近では農業法人も開始しました。多岐に渡る事を、地域密着型で、色んなお客様に対して「住まい」を通したサービスを提供することが私たちの価値です。
私たちのようなマンション管理を行なっている会社は未だに国内に事例がない。
だからこそ、私たちは様々な経験を積んだ業界未経験の人材を積極的に採用しています。
ただ守るような仕事はしない、先入観を持たず、様々なアイテムを考えてお客様がどうやったら喜んでくれるのかを柔軟に考えられるかどうかが重要です。
必ず私たちのようなマンション管理が主体となる時代が来ます。色んな分野を経験して、こうしたテーマに興味を持ってくれる仲間を求めています。
私は、このビジネスモデルは無限の可能性があると思います。