今回は、先日リリースしたHOTEL ORIGOの公式サイトをめぐる、『目標との向き合い方』についてです。
まずは簡単に自己紹介です。弊社は、20室程度のホテル(自社ブランド)と1軒の古民家ホテル(他社ブランド)の受託運営をしつつ、別事業としてDX支援を行っている、福岡にある5期目(2026年現在)の会社です。の、社長が書いています。
はじめに:1stリリース完了、そして「評価の紛糾」
先日、私たちのホテル公式サイトの1stリリースがありました。メンバーたちは最後まで投げ出さず、期限ギリギリまで、文字通り泥臭いハードワークでなんとか無事にリリースへと漕ぎ着けてくれました。私自身、企業の代表として、その「何が何でもやり切ろう」とする強いコミットメントには心から感謝しましたし、嬉しく思いました。
しかしその直後、プロジェクトの事後評価ミーティングの場は、紛糾することになりました。
メンバー側からすれば、「限界までエネルギーを注ぎ込んで、約束通り100%の成果物を出したのに、なぜ手放しで評価されないのか」とモヤモヤした部分もあったはずです。私がそこで伝えたのは、このような言葉でした。
「キミたちのコミットメントは本当に素晴らしい。けれど、もっと仕事の本質をすり合わせないと、私たちは同じような『モグラ叩き』の苦労を永遠に繰り返すことになる」
私が求めている「目標への挑戦」とは、期日ギリギリの力技やハードワークで辻褄を合わせることではありません。今回は、私がなぜ「力技による100%完了」を良しとせず、どのような思想で高い目標に向き合おうとしているのか、その『仕事のサイエンス』についてお話ししたいと思います。
1. 「数値目標」の責任は負わせない
まず、ORIGO JAPANにおける「仕事と目標」の定義についてお話しします。
実は、"今の"ORIGO JAPANでは、メンバーに対して売上やコンバージョン数といった厳しい「数値目標」に対する直接的な責任を課していません。これには明確な理由が2つあります。1つは、まだ創業期のフェーズであり、明確なビジネスプロセス(KPI)が固まりきっていないので「これさえやってればOK」という感じではないこと。そしてもう1つは、「過度なプレッシャーをメンバーにかけて、縮こまった仕事をさせたくない」からです。
仕事のレイヤーは、以下のように4つに分類されます。
- Task:何をするか(例:Webサイトを制作する)
- Output:何を作ったか(例:サイトを世に公開する)
- Outcome:その結果、何が変わったか(例:お客様の不安が解消され、予約が増える)= KPIへの貢献
- Business Impact:会社にどんな価値を生んだか(例:ホテルの売上増加、ブランド構築)= KGIへの貢献
私がメンバーに徹底して求めたいのは、「責任を持つ範囲は、自分が100%コントロールできる範囲(Output)まででOK。しかし、考える範囲は事業成果(Business Impact)まで」というスタンスです。
つまり、「数値目標を追わなくていい=言われたもの(Output)だけを作ればいい(ライスワーク)」ではなく、「このアウトプットは、最終的にどんなビジネスインパクト(Business Impact)を生み出すのか?」という上位目的にまで、自らの思考の範囲をストレッチしてほしいのです。
今回のサイト制作でも、ただ「期日までに形になったから100%達成です」と自己評価して思考を停止させてしまったことが、プロジェクトの本質的な問題でした。
2. 「投入時間」ではなく「変換効率」をハック
高い目標を前にした時、投下する時間やエネルギーを限界まで増やして気合で解決しようとするのは、プロとして最も避けるべきアプローチです。 なぜなら、私たちが投入できるリソースや体力には、物理的にも健康的にも必ず上限(制約)があるからです。
仕事は、基本的には以下のようなシンプルな数式で成り立っています。
アウトプット = 投入時間(量) × 変換効率(質)
投入時間を無限に増やせない以上、私たちが成長し、高い目標を突破するためには『変換効率』を高めていくしかありません。そして、その変換効率を決める「変数」は、大きく4つに分解されます(他にもいろいろあるとは思いますが)。
- 思考力:論点設定力、判断力、問題解決力、など
- 作業スピード:必要な品質を保ちながら、どれだけ短い時間でアウトプットできるか(例:普通なら5時間かかる資料を2時間で作れる、など。)
- スペシャリティ:一人ひとりが持つ固有の専門性や強み
- 仕事の設計:そもそも「仕事の進め方」をどうデザインしているか
期日直前の猛スパートで完成させたメンバーは、「限界まで時間とパワーを投入する(力技)」ことで無理やりクリアしてしまいました。 しかし、私がストレッチ目標で本当に求めていたのは、「どうしたら一見無理ゲーに思える目標を達成できるのか、という試行錯誤」だったのです。 伸ばすべきはマンパワーの量ではなく、変換効率です。ここを見失うと、どれだけ頑張っても組織は疲弊する一方になってしまいます。
3. 今日から動かせる変数としての「仕事の設計」
個人のスキルや専門性を伸ばすには、どうしても地道なインプットや時間がかかります。しかし、4つの変数のうち「仕事の設計(仕事の仕方)」だけは、意識とやり方を変えれば、今日からでも変えられます。
例えば、以下のような「地味な設計の工夫」を積み重ねることが大切です。
- ECRSの実行:不要な工程をなくせないか(Eliminate)、まとめられないか(Combine)、順番を変えられないか(Rearrange)、簡単にできないか(Simplify)。
- 20%段階でのレビュー:最後まで作り込んでから見せるのではなく、20%の仮説段階で上長に見せて手戻り(やり直し)を防ぐ。
- 不確実性への先手:いきなり全体に着手せず「見積もり期間」を設け、難しい部分、後から変えるほどコストが高くつく部分から先に小さく検証する。
- 選択肢を持って相談する:困ったときに「できません」と丸投げせず、「納期を守るならスコープを削る」「両方やるなら追加支援が必要」など、上長が意思決定できる選択肢を提示する。
高い目標を突きつけられた時、ただ「時間が足りない」と嘆くのは思考停止です。 制約条件(動かせない変数)を正しく見極め、その中で「どの変数なら動かせるのか(スコープ、品質の濃淡、プロセスの順序、ツールの活用、他者の支援など)」を能動的に設計し、組み合わせをサイエンスし、ハックすること。これを大切にしていきたいです。
4. 「社長だからできる」で思考を止めない
今回の目標に対して、プロジェクトの開始当初、メンバーから「社長だからできるって思うんですよ。」という本音が出ました。
これ自体は、経験やスキル、情報量、判断速度に差があるため、半分は正しい事実です。 しかし、「だから自分には無理」で終わらせてしまっては、そこがあなたの成長の天井になってしまいます。
「社長ならできる」を、「思考速度の差なのか」「判断に迷ったときの手戻りの少なさなのか」「周囲の巻き込み方なのか」といった具体的な要素にまで分解してみる。 差を特定できさえすれば、それはあなたが次に身につけるべき『具体的な成長テーマ(改善すべき変数)』に変わります。 能力差は、目標を諦める理由ではなく、自分自身をアップデートするための絶好の材料なのです。現状と理想の差分を解消していく。それがすべての仕事の本質です。
そもそも、手なり(余計な意図や細工をせず、状況や手順の自然な流れに任せて行動・処理すること)で達成できる仕事を目標に設定したりはしません。一見、乗り越えることが難しいほどの高い壁に対し、階段や梯子を作っていく必要があります。従って、高い目標を与えられた時の反応は、「できる・できない」ではなく、「どうしたらできるか」という思考からスタートさせましょう。
高い目標に挑戦するから成長するのであり、目標達成のために創意工夫することが仕事を楽しむためのコツであることを忘れてはいけません。
おわりに:「昨日より、少しうまく仕事をすること」を楽しむ
会社という場所は、すべてを事細かに仕様化して「書いてある通りにだけ動けばいい」という、契約書だけで成り立つ無機質な組織ではありません。 そんな仕事は、これからのAI時代に真っ先に淘汰されてしまいます。
私が求めるのは、明文化された最小限のルールと、会社の「上位目的」から自分で合理的に判断し、自分の頭で変数を動かすプロフェッショナルとしての誇りであり、オーナーシップです。
ストレッチ目標に挑み、結果として100%に届かないことはあります。 しかし、「本気で考え、新しい方法を試したか」「周囲を適切に巻き込み、学びを残したか」という『挑戦の質』を高め続けられたなら、私はそれを全力で評価し、あなたの成長を心から応援します。
- 単に言われた作業をこなすだけの「労働」から脱却したい
- 限られた時間を、自分の工夫とサイエンスで大きな事業価値へ変える力を身につけたい
- ぬるま湯でも恐怖でもない、お互いの「変換効率」を高め合える強いチームで働きたい
そんな、自分の人生と仕事のオーナーシップを本気で握りたいと考えている方と、私たちは出会いたいと願っています。あなたの「挑戦したい」という熱意と意志に、ORIGO JAPANは全力の「支援」で応えることを約束します。 ぜひ、私たちのバスに乗り込んで、一緒に次の時代の木を植えていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。