地方創生について考える中で、私がずっと感じていたことがあります。
地域には、企業がある。
人材がいる。
産業がある。
観光資源がある。
自治体の政策がある。
金融機関や商工会、士業など、地域を支える専門家もいる。
それなのに、
「地域全体を一つの経営体として見る仕組み」がほとんどない。
企業であれば、売上、利益、人員、顧客、営業状況などを数字で把握します。
ところが地域になると、情報が行政、企業、金融機関、商工会などに分散してしまう。
そこで私たちが考えているのが、
「AIダッシュボードによる地域経営の可視化」
です。
企業を見るとき、私はまず「人・物・金」を見る
私たちは企業のAI導入を支援するとき、いきなりAIを入れることから始めません。
最初に行うのは要件定義と現状の棚卸しです。
「人」は、組織、人材、採用、教育、配置、評価。
「物」は、商品、サービス、顧客、営業、設備、業務プロセス。
「金」は、売上、利益、原価、キャッシュフロー、投資。
さらに、それぞれを現在どんなシステムやExcel、紙、人的作業で管理しているのかを整理します。
すると、
会社の現在地が見えてくる。
その情報をAIダッシュボードへ集約し、経営判断につなげていく。
これが、私たちの考える「AI企業OS」の基本です。
そして私は、この考え方を企業だけではなく、地域そのものに応用できるのではないかと考えました。
「会社経営」から「地域経営」へ
例えば、一つの自治体を一つの会社だと考えてみます。
人口はどう変化しているのか。
どんな企業が存在するのか。
どの産業が地域の雇用を支えているのか。
後継者不足の企業はどれくらいあるのか。
人材が不足している業種は何か。
地域外からどんな企業や人材を呼べるのか。
観光客や関係人口はどれくらいいるのか。
自治体にはどんな政策や予算があるのか。
こうした情報を一つの画面から俯瞰できれば、地方創生の考え方は大きく変わります。
「何か地方創生をやりましょう」から、
「この数字を変えるために、このプロジェクトをやりましょう」へ。
地方創生を「イベント」から「経営」へ変えていく。
それがAIダッシュボードの役割だと考えています。
AIダッシュボードは「見るための画面」ではない
私たちが作りたいものは、きれいなグラフを並べただけのダッシュボードではありません。
重要なのは、その先です。
例えば、
「この地域では製造業の人材不足が深刻です」
というデータが見えたとします。
そこで終わらない。
AIに地域企業の情報、人材情報、自治体制度などを組み合わせて考えさせる。
すると、
「都市部企業との人材交流ができないか」
「地域活性化に関する制度を活用できないか」
「地域人材へAI・DX研修を行えないか」
「地元企業の業務をAI化して、生産性を高められないか」
といった次の打ち手につなげられます。
つまり、
可視化 → 課題発見 → 仮説 → アクション
までを一つにつなげる。
私たちは、そこまで含めてAIダッシュボードだと考えています。
地域の「埋もれた資産」を発見する
第2話で、
「地方には資源がないのではない。つながっていないだけだ」
と書きました。
AIダッシュボードは、その「つながっていないもの」を発見するための地図にもなります。
例えば、ある町に素晴らしい加工技術を持つ小さな製造会社がある。
別の地域には、その技術を必要としている企業がある。
都市部には新規事業を探している企業がある。
自治体には企業との連携制度がある。
金融機関には地域企業とのネットワークがある。
専門家には事業承継や財務の知識がある。
今までは別々だった情報です。
しかし、これらをAIで整理し、つなぐことができれば、
一つの新しい事業が生まれる可能性があります。
だからAIは、人を減らすためだけの技術ではありません。
私はむしろ、
「今まで出会わなかった人たちを出会わせる技術」
としてAIを使いたいと思っています。
全国約1,700自治体の「地域カルテ」をつくれないか
私たちが将来的に目指している構想があります。
全国の自治体について、
人口・産業・企業・人材・観光・財政・地域課題・官民連携の可能性などを整理し、
自治体ごとの「地域カルテ」のようなAIダッシュボードをつくること。
そして、その地域に、
「何が足りないか」だけではなく、
「すでに何を持っているのか」
を見えるようにする。
さらに、地域同士を比較するだけではなく、
「この地域と、この企業をつなげたら?」
「この地域と、この人材をつなげたら?」
「この自治体と、この自治体が連携したら?」
とAIと一緒に仮説を考える。
ここまでできれば、AIダッシュボードは単なる分析ツールではありません。
地域と企業と人をつなぐ、新しい地方創生のOS
になっていくと考えています。
私たちが募集したいのは「AIを見る人」ではなく「AIで動かす人」
だから今回のプロジェクトで探しているのは、単なるAIエンジニアだけではありません。
自治体の話を聞ける人。
経営者の話を聞ける人。
地域を歩ける人。
課題を整理できる人。
データを見て仮説を立てられる人。
AIを使って企画を形にできる人。
そして、人と人をつなげられる人。
AI × 経営 × 地方創生。
この3つを組み合わせた仕事は、まだ完成された職種ではないと思っています。
だからこそ、私たち自身でつくります。
地方創生を「想い」だけで終わらせない。
地方を元気にしたい。
地域に仕事をつくりたい。
若い人が戻ってくる地域をつくりたい。
その想いは、とても大切です。
しかし、事業として継続するためには、
数字と仕組みが必要です。
地域の現在地を数字で把握する。
目標を決める。
プロジェクトを動かす。
結果を測定する。
改善する。
そして、成功したモデルを次の地域へ展開する。
企業経営では当たり前に行われていることを、地域でも行う。
そのための道具として、AIダッシュボードを使う。
地方こそ、最高のステージだ。
私が目指しているのは、AIダッシュボードそのものを売ることではありません。
その先にある、
人が育つ。
企業が強くなる。
新しい仕事が生まれる。
地域に人が集まる。
そして地域が自分たちで成長できる。
そんな仕組みをつくることです。
AIは、そのための新しい武器です。
そして地方には、その武器を使ってまだ発見されていない価値を生み出せる余白がたくさんあります。
AIで、地方に新しい未来をつくる。
私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。
次回は、この「地域経営」を実際に動かすためのもう一つの仕組み、「自治体×企業×人材。新しい官民連携モデルをつくる」について書きたいと思います。