「利益を最大化することが私たちの目的ではありません。既存のビジネスでは見過ごされてしまう課題を拾い上げ、社会の土壌そのものを耕すこと。それが、私たち『エコシステムガーデナー※』の仕事です」
大手旅行会社出身の鎌田奈緒美さん、そして化学素材メーカーを歩んできた五郡大輔さん。ONBOARDに辿り着いた二人が語るのは、具体的な仕事の異質さです。国の省庁と議論を重ね、プロジェクトの枠組みを自ら提案するところから始まる仕事の進め方。大企業の元副社長やCTOクラスの有識者と日々プロジェクトで向き合う中で研ぎ澄まされていく言葉の重み。
その土台にあるのは、「儲けなくていい」という代表・大山の判断軸から生まれる、収益性のフィルターに縛られない行動の自由です。現場を泥臭く走り回るエコシステムガーデナーの具体的な仕事術について、お二人に話を伺いました。
※エコシステムガーデナーとは:多様なステークホルダーをつなぎ、持続可能な「生態系(エコシステム)」を育む役割を指す。海外では「エコシステムビルダー」という類似の概念が広まりつつあるが、 ON BOARDは管理・推進にとどまらず、人と人の関係性を「耕す」ことを本質と捉え、「ガーデナー(庭師)」という言葉を用いている。
「仕様を待つのではなく、共に創る」── 異業種から飛び込んだ二人が見たON BOARDの異質さ
── まずはお二人が、どのような経緯でON BOARDの環境に辿り着いたのか、その背景から伺えますか。
鎌田:私は新卒以来、大手旅行会社の法人営業、企画担当として、様々なプロジェクトに携わってきました。旅行業の枠を超えた社会貢献にやりがいを感じていましたが、コロナ禍で業界は激変しました。それを機に、自分のスキルを別の土俵で試したいと考え、まずは副業としてON BOARDに参画しました。
当時は転職まで考えていませんでしたが、ここで触れた「社会の動かし方」が既存のビジネスの常識とはあまりに異なっていて......気づけば元の会社を「自己成長休業」という制度を使ってお休みし、ON BOARDにフルコミットする道を選んでいました。
五郡:私は理系出身の技術営業として、デバイスや化学素材メーカーを数社渡り歩いてきました。代表の大山とは以前の仕事を通じて交流があり、彼女が持つ圧倒的なネットワークと、ビジネスの枠を超えた高い視座に惹かれたのが参画の理由です。現在は、他社の正社員とON BOARDの正社員という、二つのフルタイムの役割を同時に担う「兼業正社員」というスタイルで活動しています。この柔軟な関わり方を許容する組織の懐の深さも、ON BOARDの特質だと感じています。
── ON BOARDの仕事の進め方はどう映りましたか。
鎌田:一番の衝撃は、プロジェクトの入り口の作り方です。通常のビジネスでは、国や企業から降りてきた仕様に基づき、いかに精度高く実行するかが問われます。しかしON BOARDでは、代表の大山が各省庁の担当者と「日本は今、こういう方向へ進むべきではないか」という本質的な議論を重ね、プロジェクトの枠組み、つまり仕様そのものを共に創り上げるところから始まります。
降りてきた仕事をこなすのではなく、対等なパートナーとして社会の実装に関わっていく。この視座の高さは、既存の組織では決して得られないものでした。自分のスキルが目の前の顧客だけでなく、その先の社会の仕組みに直結しているという感覚。それが私の仕事に対するOSを、劇的に書き換えてくれた最初の気づきでした。
── 五郡さんはこれまでもPM経験があったと思いますが、ON BOARDでの仕事にギャップはありましたか。
五郡:ええ。メーカーにおけるPMのゴールは明確で、自社の製品をいかに売り、利益を出すかという点に集約されます。いわば特定のアウトプットに向けて周囲をコントロールする役割です。一方で、私たち『エコシステムガーデナー』は、社会課題を起点にして、最適なステークホルダーをどう繋ぎ、その土壌をどう耕すかを考えます。
大山はよく「儲けなくていい」と言いますが、これはビジネスを否定しているのではなく、収益性のフィルターだけで判断すると削ぎ落とされてしまうような社会課題に対し、純粋な利他の精神で向き合うことを指しています。既存の企業OSでは収益化が見込めないと判断された領域でも、お客様の定義を問い直すところから始め、社会課題の解決に向けて動くことができる。資本主義の論理に縛られていたPM時代にはなかった、真の意味でのクリエイティビティを感じています。
「日本のレジェンドたちと本気で対話する」独自のネットワークがもたらす圧倒的な成長
── 『エコシステムガーデナー』としての活動を可能にしている、ON BOARDの強みがあれば聞かせてください。
五郡:やはりそれは、独自のネットワークです。ネットワークの質と距離感には、入社してとても驚きました。大山がこれまで築いてきた信頼関係によって、普通なら何重もの壁があるはずの大企業の元役員やCTO、あるいは元副社長クラスといった日本の産業界のレジェンドたちと、驚くほどラフな距離感で本質的な意見交換ができてしまうんです。
例えば、大企業の一線で活躍してきた方々が、アドバイザーや取締役として普通にプロジェクトの場にいらっしゃる。それも会議室で形式的に会うのとは質が違い、プロジェクトの最中に「じゃあ、この人に意見を聞こう」とその場で繋ぎ、深い知見を直接インストールしてもらえます。このスピード感と密度の濃さは、他の環境では絶対に経験できないものです。
── そのようなトップ層の方々と日々向き合うことは、ご自身の成長にどう影響していますか。
鎌田:レジェンドと呼ばれる方々は、驚くほど低姿勢で、私たちの話も真摯に聞いてくださいます。私たちが知らないことを丁寧に教えてくださる知見の塊のような存在です。そんな方々と日々触れ合っていると、副業から本業に戻った時に、自分の言葉の重みや視座が劇的に変わっていることに気づきました。
一方で、凄い人たちの中に身を置くからこそのモチベーションもあります。常に社会の最前線で動いている人たちの中にいるので、漫然としていたら置いていかれます。そんな良い意味での緊張感が、日々自分を磨き続ける原動力になっています。知識を蓄えるだけでなく、一言一言の重みをどう鋭くしていくか。そのOJTが日常的に行われているのが、この環境の凄みだと思います。
「自分を優先しない」という行動指針 ── 収益を超えた「利他」の精神が耕す新しい土壌
── 利益を優先しないという指針について、具体的なアクションにはどのように現れるのでしょうか。
鎌田:ON BOARDには、「自分を優先しない」という明確な行動スタイルがあります。通常のビジネスであれば自分たちの利益や自分の成績をまず考えますが、ON BOARDでは相手が何を欲しているかを徹底的に確認し、エコシステム全体(プロジェクトや関わる人すべて)が良くなることを最優先します。相手の要望を聞き、それに対する動き方を複数提示して、最も全体最適に近い道を選ぶ。この「共感力」と「利他の姿勢」こそが、不確実な課題を解きほぐす鍵になります。
また、社会課題に向き合うプロジェクトは、最初から正解があるわけではありません。だからこそ、走りながら考え、解像度を上げていくことが求められます。この泥臭くも純粋なプロセスにコミットできるのは、自分を優先しないという指針が徹底されているからこそだと思います。
── 五郡さんは、この利他の精神を踏まえ、ご自身の業務ではどういった部分をモチベーションに変えていますか。
五郡:私のモチベーションの源泉は、自ら職務を設計し、新しい知見を獲得していくことにあります。他社であれば決められた枠の中で動くことを求められますが、ON BOARDでは「日本をこう変えたい」という大山のビジョンに共鳴しつつ、その解決策を、自分のやり方でプロトタイプとして形にしていける。
自由度が高い分、責任も伴いますが、自分たちが投げ込んだ一石がプロジェクトを動かし、産業の形を再デザインする手触り感は何物にも代えがたいです。儲けを度外視してでも解決すべき課題、つまり収益性のフィルターで削ぎ落とされてしまうような「もったいない」領域に光を当てる。その大義があるからこそ、高い専門性を持つ人々がこの場所に集まり、自発的に動いているのだと感じます。
「まずは、1つのプロジェクトから」 ── 既存の枠に収まらないプロフェッショナルへの招待状
── 最後に、ON BOARDの門を叩こうと考えている方へメッセージをお願いします。
五郡:もし、今の組織で自分の能力を持て余している、あるいは「もっと社会のために本質的な仕事ができるはずだ」とくすぶっている人がいたら、ぜひ一度、ON BOARDという不確実な環境を覗いてみてほしいです。
いきなり正社員として飛び込むことに躊躇いがあるなら、私のように兼業という形もありますし、「まずは1つのプロジェクトだけ、月に数十時間手伝ってみる」というラフな入り口から始めてもいい。自分に合うかどうかを、実際に仕事をしながら確かめられるのも、ON BOARDの懐の深さです。
「ふわっとしていて何をやっているか分からない」とよく言われますが、この仕事は実際に中に飛び込んでみないと分からない凄みがあります。自分がこれまで積み上げてきたスキルが、ビジネスの枠を超えて「社会を耕す力」に変わっていく感覚を、ぜひ体感してほしいですね。
鎌田:私も最初は副業からのスタートでしたが、この世界にフルコミットしたいと思えるようになっていました。五郡さんのような、既存の型を壊して新しい繋がりを創る突破力が、これからの『エコシステムガーデナー』には必要です。
日本のレジェンドたちの背中を見ながら、まだ誰も解決策を持っていない課題に挑む。そこには、一般的な会社員としての日常では決して味わえない「成長の実感」があります。型にハマるのではなく、自ら土壌を耕し、新しい生態系を創ることに喜びを感じられる方。そんな方と一緒に、これからの日本を耕していけるのを楽しみにしています。