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漢方が「未来の医学」である理由

私が「わたし漢方」を立ち上げてから、このサービスについて人に話すとよく聞かれる質問があります。

もう21世紀だというのに、
なんなら平成も終わりだというのに、
今さらなぜ「漢方」なのか。

その質問に一言で答えるとすると、「漢方は未来の医学であるから」。

そう答えると、たいていの人が「は?未来?中国4千年の歴史が?」という顔をします。

そんな人たちにうまく説明するために、考えをまとめてみました。

漢方が未来の医学である理由①
漢方は「予防医療」の思想でできている

今の「病気なってから治す」医療はもう限界です。

色々なところで色々な方が説明されているので、ここに敢えて長くは書きませんが、日本の保険医療制度はもうそろそろ限界です。

少子高齢化の影響で、経済成長よりも大きな速度で日本の医療費は増え続けています。
このペースだと財源がなくなり、保険医療は破綻します。

これまでは、
「病気になってから」
「病院に頼って」
「高額な疾病治療をする」
というのが日本の当たり前でした。

でもこれってものすごくお金がかかります。

健康診断で数値も悪いし、なんとなく体調が悪いけど、結局そのまま放置して病気になる。病気になったら病院で高額の治療を受ける。病気は既に慢性化しているため、高額な薬を一生飲み続ける。

「ヘルスケア」というよりは「シックケア」。
国としても自分としてもお金はかかるし、既に病気になっちゃってるので結局不健康だし、誰も幸せになりません。

病気は未然に防いで、病院に行かずに済むほうがいいに決まってる。

「健康なうちに」
「自分自身で」
「疾病を予防する」
といった本来の「ヘルスケア」、すなわち予防医療のあり方のほうが、お金もかからないし、自分も健康でいられるし、みんなハッピーなはずなんです。

中国の古典に登場し、漢方をはじめとした東洋医学で大切にされている言葉に、
上工治未病(名医は未病を治す)
というものがあります。

未病というのは「病気になる手前の状態、少し不調がある状態」を指します。

漢方では、未病のうちに病気を未然に防ぐという「予防第一」の思想が重要視されています。

例えば、現代医療で「冷え性」って治療対象ではありませんよね。でも漢方では「冷えは万病のもと」と捉え、それ以上の病気にならないように、漢方薬でしっかりと治療します。

冷え性だけでなく、生理不順、便秘や肩こりといった体からのちょっとした不調のサインも決して見逃しません。不調を放置せず、本来あるべき健康な状態に戻し、健康な状態を保つことを目指すのです。

昨今その重要性が認識されはじめたばかりの「予防医療」の考え方を、漢方ではもうずっと前から取り入れているのです。

漢方が未来の医学である理由②
漢方は患者の個性に合わせる「個別化医療」

現代医療では、病名が決まれば治療法が明確に決まります。

何百人、何千人の患者のデータの平均から、最善とされる治療が決まり、ガイドラインとして定められます。
そのガイドラインに規定されているやり方に沿って治療するので、同じ病名であれば、全員基本的には同じやり方で治療することが求められます。

ようやく最近になって、平均のデータだけをみるのではなく、患者さんや病気の個性を捉えることの重要性が認識され始め、遺伝子検査等の結果次第でひとりひとりに合った薬や治療法を使い分ける「個別化医療」のアプローチが取り入れられ始めてきました。

一方で漢方は、同じ症状・病名であってもその人の体全体の状態から判断し、ひとりひとりにあった最適な治療方法を探すやり方が基本です。

例えば先述の「冷え性」に使われる漢方だけでも非常に沢山の種類があります。
漢方は患者さんの体の状態によって、その人ひとりひとりにあったアプローチを採用する、「個別化医療」を昔から実践しているのです。

漢方が未来の医学である理由③
漢方は人知を超えた「複雑系の医療」

漢方は人体にどのように働きかけ、なぜ効果があるのでしょうか。
実はそのほとんどは、謎のベールに包まれたままでまだ明らかになっていません。

でもそれは漢方は迷信だから、なんかではなく、「今の人類には複雑すぎて理解できないから」なんです。

現代の医療では、基本的に薬はマンツーマンで働きます。
標的が1つに決まっていて、それを撃墜するミサイルのように働くので、メカニズムはきわめてシンプル。

一方で漢方は、様々な生薬が入り混じったチームプレーです。
最近の研究で、漢方は私たちが考えている以上に複雑な作用の仕方をすることが明らかになってきています。

例えば、インフルエンザの治療を例にとってみます。

インフルエンザと診断されると病院で出される薬の代表的なものの1つとして「タミフル」があります。
インフルエンザウイルスは、感染を拡大する際に、次の細胞に乗り移ろうとして、今いる既に感染した細胞の中から飛び出す際、最後のプロセスで自分自身を切り離すためにハサミのようなものを利用します。

タミフルは、このハサミを邪魔することでウイルスが細胞から飛び出すことを防ぎ閉じ込め、さらなる感染拡大を食い止めます。

では、漢方の世界ではどのようにインフルエンザを治療するのでしょうか?

インフルエンザでよく使用される漢方薬は「麻黄湯」。
これはたった4種類の生薬から構成される、きわめてシンプルな構成です。

しかし、最新の研究で、実はこの麻黄湯、
・煎じて煮出してみると300種類以上の成分が含まれている
・体内で代謝されて、さらに多くの新しい成分が体内をかけめぐる
・それぞれの成分が、炎症を鎮めたり、痛みをやわらげたり、熱を下げたり、免疫反応を調整したりと多種多様なはたらきをする
ということがわかっていて、極めて複雑な働きをして総合的にインフルエンザの辛い症状を和らげているようなのです。

その結果、タミフルのような現代の抗ウイルス薬と、2千年程前から使われている麻黄湯は、熱を下げたり辛い症状を緩和したりといった治療効果に関しては同等レベルであることも、臨床研究で示されています。

すごすぎるぞ、漢方。

たった4種類の生薬からなるシンプルな麻黄湯ですら、こんなに複雑な働き方をしているのですから、いわんや他の漢方をや。
(例えば、産後の女性に良いといわれている芎帰調血飲第一加減という漢方は、21種類もの生薬で構成されています・・・)

漢方のはたらきの仕組みを解明したいと思っても、現代の科学は基本的に1:1の関係を解明するので精一杯です。
成分が何百種類となってしまうと複雑すぎて、今の科学技術では全く太刀打ちできません。

今後ビックデータの処理・分析技術が発展し、もっと生物学で応用されるようになることで、その効果のメカニズムが少しずつ解明されるのだろうと思います。

漢方は未来の医学

今回紹介したように、漢方は、

・現代社会に不可欠な「予防医療」の考え方を重要視
・最新の医療アプローチである「個別化医療」を実践
人類がまだ理解できないほど複雑で、ビッグデータ分析の対象

と、歴史は古いものの、その思想や学問領域としてはまさに未来の医学なんです。

だからこそ、すごく面白い。

こんな漢方をうまく活用することで、人々が自分自身で、未然に病気を防ぎ健康なからだを手に入れることができる。

そんな社会を実現するために、スマホひとつあれば、LINEのチャットで、漢方の専門家に自分に合った漢方を選んで自宅に届けてもらえるサービス「わたし漢方」を運営しています。

拡大期を一緒に走ってくれる仲間が必要

医療に関する、人の健康にかかわるサービスなので、不完全なままむやみやたらに手を広げるのではなく、しっかり着実に質の良いサービスをつくりたい。そんな考えから、紹介のみでひっそりと運営してき、最初は自分含めて2人体制でこぢんまりと漢方相談をはじめていましたが、スタッフも増えてきて少しオフィスが賑やかになってきました。
この試験運転の間にも、相談に来てくださる多くの方に漢方薬の良さを実際に体で感じてもらうことができ、長年悩んでいた原因不明の不調が良くなったという声も増えてきました。

また、ありがたいことに、ご家族を紹介してくださる方が患者さんがとても多い。健康にかかわる医療サービスですから、「家族にもすすめられる」というのは、漢方薬と私たち薬剤師への大きな信頼の証です。
サービスを利用いただいている患者さんに実際に高く評価してもらえている、これはきっともっと多くの人に喜んでもらえる。そんな確かな手ごたえを感じ、チーム体制もようやく整ってきた中で、そろそろ一般公開をして多くの方に広く利用いただけるようにしたい。そう考え始めました。
これから「わたし漢方」を多くの人に知ってもらいたい。もっと多くの方、特にSNSを頻繁に利用する世代の女性にこのオンラインサービスを利用してもらいたい。
それなのに私自身は、日々患者さんのケアやサービス・プロダクト改善で手一杯。スケールするための活動には、どうしても私一人では手が足りません。
そこで、こんな私を助けてくれ、サービスの拡大フェーズのビジネスサイドをリードしてくれ、一緒に二人三脚で「わたし漢方」を育ててくれる仲間を、今真剣に探しています。

ヘルスケア・医療にパッションがあり、人を健康にしていくこと、新しい医療の形を作っていくことに喜びを感じていただける方からのご応募をお待ちしてます!

漢方は女性の不調との親和性が特に高いため、チームにも女性が多いです。また、実際に「わたし漢方」のユーザーのほとんどが女性ですので、女性大歓迎です!

(こちらの記事は、創業者水沼による記事の転載になります)

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