1. 出発前に抱いていた印象と現地でのギャップ
「危険な国だと思っていました。」
カンボジアに来る前の、正直な気持ちです。
みなさんご無沙汰しております。
現在APEXにて海外研修を行っております、谷です。
今回は、3か国目となるカンボジアでの3か月間についてお伝えします。
滞在したのは、首都プノンペンで1か月、そして観光都市シェムリアップで2か月。
この3か月は、仕事の理解が深まった時間であると同時に、
「自分がどれだけ知らなかったか」を突きつけられた時間でもありました。
カンボジアと聞いて、明るいイメージがすぐに浮かんだかと言われれば、そうではありませんでした。
日本で目にするニュースには、「特殊詐欺」「国境付近の緊張」「誘拐」など、強い言葉が並びます。
渡航したのは、タイとの国境付近での停戦合意後、少し落ち着いていた年始明けの時期。
それでも、不安がゼロだったとは言えません。
出発前日、「本当に大丈夫だろうか」と家族にこぼしたことも覚えています。
しかし実際に足を踏み入れてみると、その印象は大きく覆されました。
最初に訪れたシェムリアップは、穏やかで、どこか時間がゆっくり流れているような街でした。
空港を出た瞬間に感じた、熱帯特有の空気と静けさ。
観光地として整えられた落ち着きがあり、日本で見聞きしていた情報が、にわかには信じられないほどでした。
人々の表情は柔らかく、観光客を迎える姿勢も温かい。
ホテルスタッフの何気ない一言や、ガイドの細やかな気配りから、
この街で観光を支えている人たちの誇りを感じる場面が多くありました。
ある日、現地スタッフからこんな言葉をかけられました。
「どうして私たちの国は、悪いニュースだけが広がるんだろう」
その言葉に、すぐに返す言葉が見つかりませんでした。
同時に、自分自身もまた、そのイメージを無意識に受け入れていた一人だったと気づかされました。
2. カンボジアの実情
滞在中は、プノンペン・シェムリアップの両都市で、内戦の歴史に関する施設や情報に触れる機会が多くありました。
わずか50~60年ほど前の出来事とは思えない現実。
自分が想像していた「カンボジア」とは、まったく異なる側面を目の当たりにしました。
首都プノンペンでは、高層ビルが立ち並び、高級車が走る。
通勤時間帯には渋滞が発生し、日系スーパーや小売チェーンも進出しています。
想像していた姿とのギャップに、驚かされるばかりでした。
一方でシェムリアップは、ビルこそ少ないものの、観光業を中心に街が成り立っています。
多くの人が英語を話し、アンコールワットを抱える街としての誇りを感じます。
しかし、少し郊外へ足を運ぶと、また違った現実があります。
ゴミ処理が行き届かず積み上がる廃棄物。
簡素な造りの住居。
建設されたまま使われていない施設。
教育現場では、教員不足や予算不足も深刻です。
こうした光景は、実際にその場に立たなければ実感できないものでした。
だからこそ、
「現地のリアルを伝えること」そのものにも価値があると感じるようになりました。
また、「少しでも力になるような活動をしたい。」という思いを基に少しずつ社内でプロジェクトを前に進めています。
プノンペンの高層ビル群
村内で散見される「ごみ」捨て現場
市内を離れると広がるのどかな風景
3. プノンペンで学んだ「伝える仕事」
前半の1か月はプノンペンで勤務し、写真撮影やデザイン、資料作成を担当しました。
これまで私は、用意されたものを「使う側」でしたが、
それを一から「作る側」として学ぶことになりました。
例えばホテルの写真一つでも、
・部屋の広さが伝わるか
・光の入り方は適切か
・実際の利用シーンを想像できるか
といった視点が求められます。
また資料作成では、フォントや色使いによって、信頼感や印象が大きく変わります。
同じ内容でも、「どう見せるか」で価値が変わる。
ツアーは、内容が良いだけでは選ばれません。
その魅力が正しく伝わって、初めて選ばれます。
現場の裏には、こうした“見えない準備”が積み重なっています。
この工程に触れたことで、「現場だけが仕事ではない」という視点を持つようになりました。
4. シェムリアップでつながった「仕事の全体像」
後半の2か月はシェムリアップで、ツアーケアに加え、見積作成や手配業務にも携わりました。
これまで“点”として捉えていた業務が、
一連の流れとしてつながって見えるようになりました。
ツアーは1〜2年前から準備が始まり、
多くの調整を経て、ようやくお客様の体験として実現します。
ツアーケアは、その最終工程です。
もし最後にトラブルがあれば、それまでのすべてが評価されなくなる可能性もある。
一方で、満足していただければ、その先につながる可能性もある。
その責任の重さを、現場で強く実感しました。
時には一人で全体を任されることもあり、
ガイドやドライバーと連携しながら、その場で判断を下します。
その経験を通じて、
「任されている」という実感と責任感が、自分を大きく成長させてくれました。
トンレサップ湖の夕日
5. 3か国4都市を経て感じたこと(半年間のまとめ)
この半年間で、マレーシア、ベトナム、カンボジアの3か国4都市で働く機会をいただきました。
それぞれの経験は、業務の違いではなく、
「仕事への向き合い方」の変化そのものでした。
マレーシアでは、仕事の全体像を理解する段階。
ベトナムでは、自分で考え行動する段階。
そしてカンボジアでは、その流れ全体を自分で担う段階へ。
点だった業務が線となり、
その線を自分自身で描く感覚へと変わっていきました。
振り返るとこの半年は、
受け身から主体へと変化していく時間でした。
この変化を実感できたことが、この半年で最も大きな収穫だったと感じています。
国が変われば、常識もスピードも異なります。
同じ正解が通用しない場面も多くありました。
それでも共通していたのは、
どの場所にも、本気で仕事に向き合っている人がいるということです。
そしてもう一つ。
私たちは、知らないものを、簡単に決めつけてしまうことがあります。
しかしその場所には、
日々働き、生活し、誇りを持って生きている人がいます。
海外で働くということは、
ビジネスを学ぶこと以上に、
その国の人と向き合い、自分の価値観を問い直すことなのだと感じました。
次はインドネシア・バリ島での研修が控えています。
これからも、「知らないこと」と向き合い続けること。
そして、自分の目で見て、考え続けること。
それを忘れずに、一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。