「僕らが目指すのは、嘘のない実力で勝ち続け全員が豊かになれる組織です」
株式会社PICKLIST代表の秋山は幼少期から自身の内面ではなく世界へ目を向け、社会課題の解決を志してきた。かつては「自分一人ですべて解決できる」と信じていた彼が、数々の失敗と修羅場を乗り越えたどり着いた組織の形とは。
独自のキャリアとそこから生まれた美意識を軸に、常識に囚われない挑戦を続けるPICKLISTの流儀に迫ります。
秋山 紳右衛門 / 代表取締役
東京都出身。セント・メリーズ・インターナショナル・スクールを経て、英国の大学へ進学し哲学・政治・経済を専攻。大学卒業後、コロナ禍のタイミングで帰国し、株式会社PICKLISTを創業。現在は年の3/4をアメリカで過ごし、現地企業のM&Aや投資活動など事業家としての活動に注力。PICKLISTにおいてはカルチャーの設計や中長期的な戦略策定に特化した経営を行っている。趣味はブラジリアン柔術と読書。
芸術に触れ哲学を愛し、社会への影響力を志す。言葉以上のものを読み取る感性が育まれた学生時代
──まずは、秋山さんのルーツについてお聞かせください。
父がパイロットで、幼い頃からヨーロッパによく連れて行ってもらっていました。そこで両親がロシアのバレエやオーケストラなど、本当に一流のアートに触れる機会を多く与えてくれたんです。
当時は子供でしたから、現地の言葉なんて分かりません。言葉が通じない環境に置かれると、人は自然と相手の表情や身振りを必死に見るようになるんです。舞台上の表現や、人々のちょっとした顔の動きから感情を読み取ろうとする。そうやって、言語化された内容だけではなく、その裏にある表情や空気感から人間が何を発しているのかを掴み取るような感覚が、幼少期に自然と養われた気がします。
──その後も、日本と海外の文化が混ざり合う環境で過ごされたそうですね。
はい。中高はインターナショナルスクールに通いました。そこには約50カ国の国籍の生徒がいて、バックグラウンドも文化も異なる人々と接するのが当たり前の日常でした。特定の常識に染まりきらない環境で過ごしたことで、物事を一つの物差しだけで測らず、常に一歩引いて客観視する視点が培われたと思います。
その後、イギリスの大学に進学しました。現地ではポロ部に所属して競技に打ち込む傍ら、学業では哲学や政治経済を専攻しました。もともと考えることが好きだったからです。今でも休日は、カフェに行ってひたすら分厚い本を読む時間を過ごしています。読むのは哲学書や政治、経済の本ばかりですね。それが一番落ち着く時間です。
▼大学時代、ポロ部で活躍していた秋山氏
──なぜ、そこまで社会のあり方や思考することに没頭されたのでしょうか?
幼少期から、自分だけの問題よりも社会や世界の問題に意識が向くタイプだったからだと思います。例えば、親からの愛が足りないとか自分にコンプレックスがあるといった、己だけで完結する内面的な悩みがあまりなかったんです。だからこそ、意識のベクトルが常に外側に向いていました。「なぜ世界はこうなっているのか」「今の国際情勢はどうあるべきか」といった問いですね。
そうした思考を深めていく中で、自分自身が社会に対して影響力を持ちたいという欲求が明確になっていきました。
──秋山さんが求める影響力とは、具体的にどのようなものでしょうか?
単に有名になりたいとか、ちやほやされたいという話ではありません。自分一人では解決できない、世界がお互いに依存し合って解決しなければならない課題に対して変化を起こせる力のことです。
例えば、経済が破綻して治安が悪くなるような国ではなく、人々が安心して暮らせる社会を作りたい。国という大きな単位であっても良い方向に導けるような提言がしたい。そのためには自分の発する声の重みを増す必要があります。
商売を通じて会社を大きくすることは、あくまでその手段の一つです。社会に対して投じる自分の一票の重みを最大化するために、僕は経営者という道を選んでいるんです。
理想と現実の狭間で。10以上の事業転換を経てたどり着いた組織という解
──そうして経営者としての道を歩み始めたわけですが、最初から順調だったのでしょうか?
いえ、全くです。むしろ周りの起業家と比べても遅咲きですし、失敗の数も圧倒的に多いと思います。実はPICKLIST以前にも、中高生時代から何度も起業に挑戦していました。イギリスにいる時にはスモールビジネスへの出資プラットフォームを作ろうとしたり、仮想通貨メディアを運営したり...。PICKLISTも最初はインド人向けのグルメアプリとして始まったんです。
──インド人向けのアプリですか?今の広告事業とは全く違いますね。
そうなんです(笑)。自分の好きなカフェやレストランをピックアップしてリスト化するアプリだったんですが、うまくいきませんでした。
今振り返ると、完全に理想が先走っていたんです。目の前の顧客が何を求めているかを見ずに、100km先にあるような「あったらいいな」という需要を追いかけてしまっていた。そこから本当にいくつものアイデアを試しては、「これは違う」「求められていない」と事業転換を繰り返しました。現在の広告事業を始めてからも、最初の2年くらいは本当に水に顔をつけて息継ぎなしで泳ぎ続けているような、ギリギリの状態で試行錯誤していました。
──その苦しい時期を、どう乗り越えられたのですか?
ただひたすらに、死に物狂いで生き延びました。周りがうまくいっているように見える中で自分たちだけが成果が出ない焦りもありました。でも、その水面下でもがき続けた期間があったからこそ、ふと顔を上げた時に競合がいなくなっていたり、独自のポジションを築けていたりしたのだと思います。安易に諦めず、市場に残ることで勝機を待つ。それが結果として生存戦略になりました。
──多くの失敗と試行錯誤を経る中で、ご自身の心境に変化はありましたか?
自分一人ですべてを支配しようとするのをやめたことですね。これが最大の転機でした。
以前は自分ですべて解決しようとしていましたが、それは自分の能力が高かったからではありません。むしろ逆です。
何者でもない自分が生き残るためには、自分の手足を動かして愚直に一つひとつの課題をクリアしていくしかありませんでした。リソースも組織としての仕組みもない中で、ただ会社を存続させるために全身全霊でコミットし続けることしかできなかったんです。
そこから、自分より優秀な人を採用し、彼らにとって最高の環境を提供することで組織として勝つという思考に完全にシフトしました。誰か特定の個人に依存することなく、会社が成長していく仕組みを作ることこそが経営者の本当の仕事だと気づいたんです。
代理店から事業家へ。磨き上げた売る力を武器に、D2C・人材領域で1000億円企業を目指す
──現在の事業内容と、その戦略について教えてください。
メインはAIを活用した動画広告事業です。それに加え、現在はその売る力を武器にD2C事業にも注力しています。具体的には、女性用の育毛剤や口臭サプリメントなどを自社で開発・販売しています。
私たちにはこれまでのクライアントワークを通じて培ってきた売る力があります。美容・ヘアケア商材などのマーケティングを徹底的に行い、商品を長期間売れ続けさせる実績を作ってきたからこそ、その市場での勝ち方を完全に理解している。また、自らリスクを取って事業を伸ばしていくからこそ、クライアントに対しても机上の空論ではない生きた提案ができる。
単なる代理店ではなく同じ事業主としての視点を持つことで、より精度の高い提案ができることが私たちの強みです。
──今後の事業展望についてもお聞かせください。
次は人材領域を攻めたいと考えています。人材紹介×広告マーケティングは非常に相性が良く、私たちが持つノウハウを転用すれば勝てるという仮説を持っています。
会社としては5年以内に年商1000億円を目指しています。現在は年商20億円規模ですが、ここからさらに桁を変える非連続な成長をするためには、受託の広告事業だけでは限界があります。既存の延長線上ではない未来を変えるような事業を一緒に創ってくれる仲間を求めています。
──秋山さんは現在、年の3/4をアメリカで過ごされています。現場との連携やご自身の役割はどう変化しているのでしょうか?
物理的な距離はありますが、チャットやオンライン会議で頻繁にメンバーと話しているので、現場との距離は全く感じていません。
現在、現場の指揮は役員の村瀬に任せています。彼は現場の解像度が非常に高く、マーケティング領域に関してもとても優秀ですから。その分、僕は会社のカルチャーや価値観のチューニングに徹しています。組織が大きくなると、どうしても嘘や形式が生まれやすくなる。だからこそ、僕が一歩引いた場所から客観的に組織を見つめ、軌道修正する役割を担っています。
全員が勝つ組織。愛とは他者の魂を大切にすること
──PICKLISTはどのような組織カルチャーだと捉えていますか?
一言で言えば、ロサンゼルス・ドジャースのようなチームです。世界中からスター選手が集まり、それぞれが自分のポジションで最強のパフォーマンスを発揮する。個人の能力が極めて高く全員がプロフェッショナルとして自立し、互いにリスペクトし合っているからこそ、チームとしても最強であり雰囲気も最高に良い。そんな集団を目指しています。
──個の力や成果を重視する一方で、秋山さんがメンバーと向き合う上で根底に置いているスタンスは何ですか?
社員を数字として扱わないということです。
僕は、綺麗事のように愛とか絆とか、そういう言葉を使うのは好きではありません。ただ、あえて僕たちの関係性を言葉にするなら、他者の魂をまるで自分のものかのように大切にすることだと思っています。
ビジネスである以上、数字には厳しくコミットします。でも、それ以上に人間としての尊厳は絶対に守る。目の前の人間を騙したり、駒として扱ったりするような真似はしたくない。その美意識が根底にあるから、厳しい環境でも信頼関係が崩れないのだと思います。
──個人の尊厳を守るためには、会社に守ってもらうのではなく個人そのものが強くある必要があるようにも聞こえます。
その通りです。だからこそ、PICKLISTでは人間として強くなることをカルチャーとして掲げています。僕が定義する強さとは、三つの要素で構成されています。
一つ目は経済的な強さ。自らの市場価値を高め、資本主義社会で誰にも依存せずに勝ち抜く力です。
二つ目は知性。単なる業務知識ではなく哲学や歴史、芸術から学び、物事の本質を見抜く教養のこと。
そして三つ目は肉体的な強さ。健全な精神と、ここぞという時のハードワークを支えるための体力です。
この三つを高い次元で兼ね備えて初めて、真の意味で自由で誇り高い個になれると考えています。
──そのような組織には、どんな方に仲間になってほしいですか?
ヤングリッチになりたい人。つまり、自分のポテンシャルを最大限に解放し、若いうちから経済的にも人間的にも豊かになりたい人です。
人生において、自分の可能性に蓋をしてほしくないんです。実際に今のメンバーの中には以前の環境では評価されていなかったけれど、PICKLISTに来て才能を開花させ年収が数倍になったり、インターン生ながら5人の部下を持ってマネジメントしていたりと、劇的な変化を遂げた人間がたくさんいます。
──採用基準として重視しているポイントはありますか?
スキル以上に、性格が良いこととバイタリティがあることです。
性格が良いというのは、単に優しいという意味ではありません。他者のミスを許せる寛容さを持っていることです。優秀な人ほど他人の失敗を責めず、カバーする度量を持っているものです。
そして、運が良いことと体が強いこと。笑われるかもしれませんが、ベンチャーで勝ち抜くには理屈じゃないエネルギー量や運を引き寄せるポジティブなオーラが不可欠です。
──最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。
PICKLISTは巨大な組織の歯車の一つとして働く場所ではありません。自分の手でビジネスを動かし、自らの人生を切り拓きたいと願うならこれほど純粋に実力が試される環境は他にないはずです。
人口減少や暗いニュースも多い日本で、99%の人が無理だと思うような未来を、僕たちがひっくり返す予想外の1%になりたい。自分の可能性を信じて僕たちと一緒に見たことのない景色を見に行きましょう。