1
/
5

創業ストーリー|最強のアートディレクター集団をつくる



ドットゼロ代表の高井 雅己です。今回はドットゼロの創業ストーリーについて話したいと思います。

私は高校時代に現代美術のアーティストになるため、東京藝術大学を目指し大阪の予備校でデッサンや色彩構成を学びならがら絵画も深く学びました。とくにリアリズムのアンドリュー・ワイエスやエゴン・シーレの強烈な個性に衝撃を受けました。
黒鉛に手を染めた日々でしたが、3浪しても東京藝大には受からず、専門学校 桑沢デザイン研究所に入学。私にとって藝大受験に失敗したことは大きな挫折となりましたが、4年間絵画を学んだことは、後のデザイン制作においてとても役立ちました。そして、入学した桑沢デザイン研究所ではバウハウスの思想を学んだことで、現代アーティストから商業デザイナーへ目標が変わっていきました。


デザイナー自身がデザインをプレゼンした方が説得力が上がるのではないか?

2001年に桑沢を卒業した後、渋谷にあったデザインプロダクションに新卒で入社。ここではデザイナーとして育てていただき、5年目にはデザインチームのリーダーとなりました。

当時、この会社はデザイナーがつくったものを営業がクライアントに提案するというスタイルでした。もちろんどのデザイン会社もそのスタイルは似通っているとは思いますが、デザイナーの私としては、デザインをつくった本人がお客様へプレゼンした方がより説得力も上がり、スムーズに制作進行できるのではないかと常に考えていました。
当たり前のことのようですが、意外とデザイナーがお客様と接しないデザイン会社は多かったと思います。また、営業が間に入ると伝言ゲームになり、お客様の意向からずれたものを作ることにもなりかねないと思うようになりましたし、実際にお客様のなかにもデザイナーの窓口を希望される方は多かったです。このような状況から、私はできるだけお客様と直接やり取りをするよう努めていました。

この頃から、お客様との窓口、進行管理、制作すべてを担うためにはアートディレクターというポジションが最適だという考えに至ります。そして入社一年目から独立願望があった私は、いずれは「アートディレクター集団をつくりたい」と思うようになりました。

デザイナーが「デザインフィーを知る」ことの大切さ

一社目の会社は、デザイナーの私も売り上げ目標を持っていましたし、どのデザイナーが稼いでいるのか、なぜ稼げるのかを常に意識していました。自分のつくったデザインがいくらで売れるのかという価値を知ることができるので、デザイナーが数字を持つことはとても良かったと思います。もちろんデザイナーですので、営業職のように売上のノルマを達成する必要はありませんが、最低限どのデザインがいくらで売れるのかを知るべきです。

実際そのおかげで、転職先の会社では見積り作成に苦労しませんでしたし、独立した際、適正なデザインフィーを設定することができました。もちろんドットゼロでも案件ごとのフィーは全スタッフに公開しています。

「デザインを売る立場」から「デザインを守る立場」へ

社会人になったばかりの私は、浪人した3年間を取り戻そうと躍起になっていました。誘われたらどのようなイベントにも参加し、デザイン業界でのコネクションを短期間で広げました。また知人とユニットを組み、イベントや展示会を主催するなど様々な活動を行いました。
そして、独立を真剣に考え出した頃、私がオーガナイズしたとあるデザイン関連のイベントで、ビームスのクリエイティブセクションの方と知り合い、そのご縁をきっかけにビームスのブランディングを司る部署へジョインしました。

一社目のプロダクションが「デザインを売る」立場に対し、ビームスでは「デザインを守る」立場に。ブランディングの観点で常にモノを見ることを覚えました。とくにビームスは新しいレーベルが増えていく時期で、それぞれがビームスらしさを踏襲しているか、定められたブランド規定から逸脱していないかを常に意識して制作に取り組みました。インハウスでの専門的なデザインの知識とともに、大きな組織に属する厳しさも同時に知りました。


起業への「大きな不安」に「かすかな希望」が勝った瞬間

ビームス在籍時には、母校の桑沢デザイン研究所から「タイポグラフィ」の非常勤講師へのお声がけをいただき就任しました。講師は5年間ほど続けましたが、集団相手に教えるということと、学生を高みへ導く経験は、自身のプレゼンテーションスキルの向上や意識改革に繋がりました。

ビームスへ移り2年が経とうといていた頃、独立したいという夢を捨てきれず、毎晩のように大量の自己啓発本や起業に関する本を読み漁っていました。そして、自分は組織に属するには向いていないと思う決定的な出来事があり、思い切ってビームスを退社し独立する決心をしました。ただ、一人で独立する勇気はなく、桑沢の学生時代の友人を誘いました。当時のことは鮮明に覚えていますが「独立への大きすぎる不安に対し、かすかな希望が初めて勝った」瞬間でした。

独立当初は渋谷の事務所を間借りし、個人事業主として業務を始めました。エディトリアルデザイナーのパートナーと「Cream」という屋号でデザイン案件を受けていましたが、パートナーは雑誌のデザインが主で、一緒に仕事をする機会があまりなく、双方のメリットもなくなったので解散しました。Creamという屋号はパートナーが引き継ぎ、私は屋号もなく一人での再スタートとなりました。
余談ですが、共同経営というスタイルで上手くいった組織を私はあまり知りません。事業方針の違いによって解散しているのがほとんどのような気がします。

間借りしていた事務所との契約も解消し、自宅だった杉並区浜田山のアパートで「ドットゼロ」として事業を再スタートすることになりました。デスクも古びた勉強机で、とても手狭だったことを覚えています。この頃は仕事を継続的に獲得できるか不安でしたが、前職のビームスからお仕事をいただいたり、一社目のプロダクション時代のお客様が、私が独立するのを待っていてくださったりとお仕事に恵まれました。独立直後にお仕事をくださった方々には感謝しかなく、今でも公私共に親交があります。

屋号を「ドットゼロ」として始めた一年間は、がむしゃらに仕事を受けては捌いていきました。どんな案件も断らず、気付くと一人で抱えきれない仕事量になり、知り合いのデザイナー数名に案件を振ってなんとかこなしていました。
今考えると到底一人で受ける物量ではなかったのですが、同時に複数のプロジェクトの中心となりチームをめたこの時の経験が、今の組織をつくる礎を築いた気がします。


今こそ、望んだアートディレクター集団をつくる時

睡眠や食事の時間を削っての日々、いかなる状況でも妥協しなかったことは「お客様の側に立つこと」。お客様へはよく「私をあなたのチームのPRだと思ってください」という言葉をかけていました。受けていた案件はデザイン業務でしたが、それらはすべて会社のPRに繋がると考えていたからです。どんな小さな案件でもブランディングの観点で捉え、その企業をPRし、成長させるというマインドで挑んでいました。

事業開始から一年が経過しようとした頃、想定以上の売り上げとなり、経理(実父)から法人化を薦められました。一人での限界を感じていた私は法人化と同時に「今こそ、私が望んだアートディレクター集団をつくる」と心に誓いました。
そして拠点を新宿区神楽坂のマンションへ移し、2009年 9月7日に「株式会社ドットゼロ」を資本金300万円で設立しました。独立から法人化まであっという間で、正直会社をつくったという実感はあまりありませんでした。


「お客様の半歩先を行く」潔い意志を

事業は順調に推移し、2010年には資本金を1,000万円に増資し、スタッフも雇い始めました。私がこの事業をするうえで大切にしているのは「お客様の半歩先を行く」こと。一歩では先に行き過ぎているが、半歩先を歩むことは、お客様の表情も見えてちょうどいいんです。
半歩先からお客様をエスコートする。そして、ただ頼まれたデザインをするのではなく、お客様の立場となり、俯瞰でモノゴトを捉え、時にお客様のPRやブランディングにダメ出しをする勇気も必要です。自分ごとと捉え、本気でお客様の企業やブランドを良くしていくという気概は、今でも誰にも負けないと自負しています。このマインドは弊社のディレクターにはとくに意識して欲しいと思います。

会社も渋谷区恵比寿へと拠点を移し、スタッフも20名となり、ブランディングをはじめ様々な案件をいただくようになりました。会社の成長とともに私の目標も常にアップデートしています。

私は、デザイン会社を設立するというひとつの目標を達成しましたが、今はまた新しい夢に満たされています。人は常に貪欲であり、新しい夢へ向かって前進する生き物であると思います。47歳になった今でも、20代に負けない野心を抱いていますし、日々失敗と学びの連続だと考えています。

今の私の目標は3年後にはドットゼロをデザインプロダクションからブラディングカンパニーにすること。少しでも共感していただける方とともに前進していきたいと思います。


FROM CEO | 東京都のホームページ制作・Web制作会社|株式会社ドットゼロ
東京都のホームページ制作・Web制作会社「株式会社ドットゼロ」のリクルートサイトです。グラフィックデザイン、Web、映像、パッケージデザイン、スペースデザインの制作及び企画をご提供いたします。
https://www.dotzero.jp/recruit/ceo/


株式会社ドットゼロ's job postings

Weekly ranking

Show other rankings
Invitation from 株式会社ドットゼロ
If this story triggered your interest, have a chat with the team?