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「陰キャ」だった私が、営業でMVPをとれた理由

営業の中には知識がなくても容姿やキャラだけで成果をあげてしまう人がいる。「なぜこんな能天気なのに、そんなに売れるのだろう」と思う人が、みなさんの周りにも一人くらいはいるのではないだろうか。ただ、誰もが「ノリ」や「雰囲気」だけで契約をとる、いわゆる“キャラ売り”ができるわけではない。かつて営業だった私も無理だった。

私は容姿に自信があったわけでも、キャピキャピとした「陽キャ」だったわけでもない。新人の頃は全く契約が取れず苦労したものだ。しかし、そんな私でも愚直に仕事に向き合った結果、MVPをとることができた。なぜキャラ売りできない私が営業で結果を出せるようになったのか。本記事では不器用な私が営業として評価されるまでに何をしたか、赤裸々に綴っていきたい。

漠然とした理由で、リクルートの代理店に入社

広告業界に憧れていた私は大学卒業後、2016年にリクルートの代理店に求人広告営業として入社した。学生時代から「就職先は広告業界」と決めていた私だったが、特にデザインセンスがずば抜けて高いわけではなく、恥ずかしながら専門知識やスキルも身につけていなかった。そのため、センス・知識・スキルが問われる制作系の職種は最初からあきらめていた。そこで目をつけたのが営業だった。

もともと「まぁ新卒で就ける職などほとんど営業だろう」という先入観があったのと、「広告営業をしておけば将来制作職に就くときに有利になるかも」という下心もあった。そして人並みにコミュニケーションスキルはあるものの、陽キャではない私にとって「営業は若いうちでなければできない仕事」という考えもあったので、広告業×営業職での就職活動をはじめた。

広告業に絞ったとしても100件以上はざらにある営業職の求人。そのなかでリクルートの代理店での営業職を選んだ理由は2つだ。

1つ目は、集客対象がはっきりしていて介在価値の高そうな仕事だと思ったから。いわゆる一般広告と異なり、求人広告は「採用」というゴールが明確化されているため、人材に関する顧客の課題解決に向けて、顧客から頼られる面白みがありそうだと私は考えた。また、自分が手がけた求人広告をきっかけに求職者が人生の大きな決断を下し、顧客の経営存続のための一員となることに、やりがいもありそうだと思った。

2つ目は「認知度の高いリクルートの商材を扱うことで企業としても安定している」と思ったから。自分自身も大学生時代にタウンワークでアルバイトに応募した経験があり、求人広告のなかでも身近な存在だったということ。そして誰もが知るリクルートの商材を扱っているのであれば、会社としても潰れることはないだろうという考えがあったからだ。今考えると代理店だからこそのしんどさもたくさんある中で、後の苦労を考えずに本当に漠然とした考えで選んだなぁと思う。

キャラ売りできなくて悩んでいたあの頃

リクルートの広告代理店に入社してからは8人の同期に囲まれて、営業生活がスタートした。最初は「タウンワークをみれば毎週あんなに多くの会社が求人を掲載しているのだから、一生懸命営業すればすぐ受注できるだろう」と思っていた。しかし、ふたをあけてみれば全くといっていいほど売れず、初受注でさえ同期内で最後から2番目だった。

来る日も来る日も1日60~100件ほど架電をしたが、アポ取りすらままならない。周りの同期は次々と初受注を上げるなかどうしてなのか。焦りが募るなか同期のトークを盗み聞きすると、「新人だからご挨拶に伺いたい」と可愛らしく、フレッシュさを武器にキャピキャピとお客さまと楽しそうに喋っていた。

当時の組織的にも明るくハキハキした女性社員が多く、他代理店をみても女性営業が多かったように思う。その理由はなんてことはない、女性営業だと売れやすいからだ。ある程度のコミュニケーションスキルとかわいい笑顔さえあれば、新人でも比較的そこまで苦労せず受注ができた。

実際に同時期に入社した男性営業も初受注は遅く、スキルがつくまでは業績構築に苦労していた。先輩の女性営業から“新人を武器にできるのは今のうちだから”と注意と称した脅しを受けることもあった。同期も例に漏れずスタイル抜群で、愛嬌も兼ね備えた美人営業。反して、特段容姿に優れているわけでもなく、緊張しやすい性格で、たどたどしい会話やぎこちない笑顔をふりまく私。同期のように女性を武器にしたキャラ営業は私には無理だった。

なんとか上司にサポートされながら入社3ヵ月目に初受注したが、私の頭の中は「向いてない、辞めたい」でいっぱい。なんとか踏ん張れたのは、「大学に行かせてもらったのに、新卒3ヵ月で転職なんて職歴に傷がつく」という思い。ただそれだけだった。そこで私は「せめて1年は生き残ろう」と決め、自分が営業として生き残るための戦略を考えた。

不器用だった私なりの生存戦略

私がキャラ売り以外で営業として生き残るために考えた戦略は次の通り。

新規開拓は紹介に絞る

関係性がまったくない新規獲得を狙うのは、時間もメンタルも費やすことになる。それであれば、既存顧客との関係性構築に注力することで、新たな顧客の紹介を受けることが最も効率よく、また受注率も高い営業活動となる。

得意な顧客(担当者)を見極める

顧客(担当者)のなかにもさまざまなタイプがある。熱意や想いが強いタイプや数字のデータが全てというタイプ。とにかく営業を見下すタイプや、友達的な距離感で何事も相談したいタイプ。自分はどんなタイプの顧客(担当者)が得意なのか考え、苦手は理由をつけて担当者の変更を願い出たり、連絡頻度を減らすなどして徹底的に排除。そうすることで、自分に合うお客さまの実績を伸ばすことに成功した。

PDCAサイクルを徹底してまわし、こまめに顧客フォローをする

営業であれば基本のPDCAサイクルだが、忙しさを理由に意外とできない営業が多い。そんな営業との差別化で私はタスク管理を徹底。スケジュール表に細かく事前に決めた顧客ごとの接触日やフォロー内容を記し、行動管理を継続した。たとえ効果が悪かったとしても、粘り強く伴走の姿勢を見せたことで私への信頼は厚くなった。

提案するときは数字ベースの会話を必ず入れる

丁寧な顧客フォローだけではなく、きちんと効果予測の根拠となるデータを提示。データをもとにした仮説だてやその対策を論理的に提案することで、関係性だけではなく、営業としてメイン業務である提案に注力した。

担当者の社内での設定目標を確認。評価が上がるよう伴走する

採用に悩む目の前の担当者は、何を期待されていて何を目標とされているのか。担当者自身の評価のポイントをヒアリングし、社内での地位向上ができるよう伴走した。

例えば、応募数、面接数、採用数、入社数など、担当者が追っているKPIを確認。兼任の場合は人事もしくは担当者のかわりとなる人材採用の提案を、担当者と共に社長に提案した。もちろん、年間予算の増加や新規拠点のオープンに向けて応募の集まりやすい立地や、媒体選定、年間予算の策定まで入り込む。その結果、1社で1000万円以上売上を伸ばしたこともある。担当者の評価をあげることで、唯一無二の信頼関係を築くことができた。

上記を徹底しながら地道にテクニックを磨いたことが功を奏し、結果的に社内での営業クラス別ランキングでMVPを獲得することができた。リクルート全代理店の営業クラス別ランキングでも2位を獲得し、最終的には拠点の数字を担う営業リーダーを任されるほどに。目標の1年勤続は優に超え、6年間勤めたことには正直自分でも驚いている。

突出した「何か」がなくても売れる営業になれる

「営業に興味があるけど自信がない」「自分は営業に向いていないのではないだろうか」もしかすると今あなたはそんな不安を抱いているかもしれない。しかし、安心してほしい。専門スキル、コミュニケーション能力、容姿がなくても、やるべきことに向き合えば誰でも売れる営業になれると、私は思う。

人はそれぞれ得意なものが違うのだから、「自分の武器」を見つけ、自分のスタイルとして型化し継続すればいい。そうすればきちんと結果は伴ってくる。今営業として売れずに悩んでいる人、スキルや容姿に自信がなくキャラ営業ができないことに悩んでいる人は、ぜひ私の生存戦略を参考にしてほしい。

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。

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