メタジェンセラピューティクス株式会社(以下、MGTx)で働くメンバーの入社のきっかけや、事業にかける思いをお届けします。今回は、CMC部門で治験薬製造施設の立ち上げや製造・品質保証を担う友國建のストーリーです。
★友國建プロフィール★広島県立大学大学院(現・県立広島大学大学院)修士課程修了。急性骨髄性白血病の治療につながる化合物探索および作用メカニズム解析を行う。大学発ベンチャーにて乳がん検査キット開発に携わったのち、武田薬品工業や外資系企業でGMP製造業務を経験。現在はMGTxにて、治験薬製造施設の立ち上げから技術移管、製造体制の整備、品質保証まで幅広く担う。
研究も製造も、幅広く経験
大学院では、急性骨髄性白血病の治療につながる化合物探索や作用メカニズムの解析を行っていました。白血病細胞を無害な成熟細胞に分化させる物質を探し、その働きをタンパク質の発現解析などで確認していく研究です。細胞培養や評価試験を地道に繰り返しながら、再現性や条件差を一つひとつ検討していました。
新卒では、乳がん検査キットを開発する香川の大学発ベンチャーに入社しました。ガレクチンというタンパク質を大腸菌で生成し、回収する業務などを担当していました。限られたリソースの中で、どうすれば新しい価値を形にできるのか。そのスピード感や、自分で考えて動く姿勢は、この時期に学びました。
その後武田薬品工業に入社し、最初の11年間は研究技術職として、安全性評価や毒性試験に携わりました。候補化合物を大量にスクリーニングし、in vitro試験で発がん性などの特性を評価する仕事です。ハイスループットスクリーニングの自動化にも関わり、高度な技術と効率化を徹底的に追求する経験を積みました。
大きな転機になったのは、組織変更をきっかけに研究から製造部門への異動です。山口県の工場に単身赴任し、ワクチン製造現場でGMP業務を担当。研究とはまったく違う世界でしたが、医薬品を患者さんに届けるためには、製造現場での管理や品質保証がどれほど重要かを肌で学びました。その後、外資系製薬企業では固形製剤の充填・包装工程のオペレーション責任者を務め、製造指図記録書の確認やGMP文書の改訂、CAPAの立案など、現場運営と品質管理の両方に深く関わってきました。
研究から製造まで幅広く経験してきたことが、今の自分の強みになっている気がします。
先進医療を、自らの手でつくる
MGTxに興味を持ったのは、先進医療や治験薬をこれから作り上げていくフェーズに、大きな可能性を感じたからです。私はこれまで、創薬の上流である研究と、医薬品を安定して作るためのGMP製造の両方を経験してきました。その二つは本来分断されがちな領域ですが、MGTxのように治験薬を一から形にしていく段階では、研究の意図を理解しながら、実効性のある製造工程や品質体制に落とし込んでいく力が必要です。
単にGMP業務だけを行うのではなく、研究開発的な要素も含めて関われる。自分のこれまでの経験をかせる環境だと感じました。
もちろん、スタートアップに対する不安もありました。新卒で入ったベンチャー企業は今はもう存在していないですし、事業の安定性や業務量の多さについては心配でした。ただ実際に入社してみると、良い意味で裏切られました。困ったときに相談しやすく、一人で抱え込むことがありません。社員だけでなく業務委託の方々とも協力しながら、チームで前に進めていく文化があります。これまでのキャリアの中でも、かなり働きやすい環境だと感じています。
施設だって、ゼロからつくる
現在は、川崎の治験薬製造施設を中心に、製造体制の構築、設備・機器のバリデーション、品質保証、SOP作成、記録管理、資材管理、生産スケジュールの作成など、幅広い業務を担当しています。治験薬の出荷判断や品質イベントの管理も重要な仕事です。
川崎では、鶴岡の施設から送られてくる凍結原材料を受け入れ、製造、品質試験、製品化、出荷までを行っています。治験薬製造に必要な工程を備えた、開発の最前線に近い施設です。現在は初期的な製造段階ですが、開発フェーズが進めば、製造方法や品質試験、SOPも変わっていきます。決まった手順を淡々と守るだけではなく、変化に合わせて最適な運用を作り続けることが求められます。
施設の立ち上げは、本当にゼロからのスタートでした。川崎の協業型研究施設JSR BiRD内にスペースを借り、剥き出しの状態から、部屋のレイアウト、機器の選定、配線計画、クリーンルームの要件確認まで、自分たちで考えて決めていきました。黒田部長と一緒に施設選定や交渉を進め、当初はほぼ一人で担当していた時期もあります。その後、製造、品質管理、品質保証の担当者が加わり、少しずつ体制が整っていきました。
一番大変だったのは、工事業者との調整です。GMPを知らない方々に要件を説明しながら、治験薬GMPとしてどこまで厳密に求め、どこから現実的な運用に落とし込むのかを判断する必要がありました。自分自身がGMP施設で働いてきた経験をもとに、コンサルタントの力も借りながら、何度も議論して形にしていきました。ストレスフルな時期ではありましたが、施設が少しずつできあがっていく過程には、大きな手応えがありました。
▼空っぽだった空間に、イチから施設をつくりあげました
同じ画角のBefore・After。何もない場所に施設が立ち上がる感動を味わいました
仕事の先に、患者さんがいる感覚を
MGTxで働く一番のやりがいは、これまでにない新しい治療法に関われることです。私たちが扱っているのは、便由来の原材料を加工し、最終的にはカプセルとして患者さんに届ける治験薬です。パーキンソン病やがん、潰瘍性大腸炎など、さまざまな疾患に対する可能性があります。
順天堂での先進医療FMT製造に携わった際、自分が作った製品が、実際に患者さんへ投与される場面を見学する機会がありました。その後、患者さんに効果が見られたと聞いたとき、自分たちの仕事は本当に患者さんにつながっているのだと実感しました。製造や品質保証の仕事は、普段は記録や手順、設備と向き合う時間が多いですが、その先には必ず患者さんがいます。その感覚は、今も大切にしています。
▼MGTxで製造した治験薬
医薬品開発全体に関われる
MGTxでは、製造、品質管理、品質保証、創薬、薬事、臨床開発など、さまざまな部門と密に連携しながら仕事を進めるため、医薬品開発全体の流れを理解できるようになります。
大手企業では、どうしても自分の担当工程だけを見ることが多くなります。一方でMGTxでは、原材料の受け入れから製品の出荷まで、さらに開発フェーズの変化まで含めて、全体を見ながら判断する必要があります。自分の専門性を持ちながら、やろうと思えばどこまでも仕事の範囲を広げられる環境です。
今後は、製造工程だけでなく品質試験の領域にもさらに理解を広げ、製造から品質まで全体を見られる人材になりたいと思っています。また、人材育成や訓練プログラムの整備にも力を入れていきたいです。GMP未経験の方にも、患者さんに製品を届ける仕事の責任と面白さを伝えられるような育成体制をつくっていきたいです。
こんな人におすすめ!
MGTxに向いているのは、決まったルールの中で動くよりも、自分たちでルールや仕組みを作っていくことにやりがいを感じられる人です。自分の専門性を軸にしながらも、専門外のことにも柔軟に挑戦できる人。変化を負担ではなくチャンスと捉えられる人。そういう方にとっては、とても面白い環境だと思います。
またMGTxは、役職や部門に関係なく相談しやすい会社です。入社当初は社員が10人程度だったこともあり、社長や経営層との距離も非常に近く、今でもフラットに話せる雰囲気があります。優秀で個性的な人が多く、それぞれが専門性や仕事以外の興味を持っているところも面白いです。まっとうだけれど、少しぶっ飛んでいる。そんな人たちが集まっている会社だと思います。
治験薬製造は責任の大きい仕事。でもその分、自分たちが作った工程や品質体制が、将来の医薬品開発につながり、患者さんに新しい選択肢を届けることにつながっていきます。まだ完成されたものを守るのではなく、自分で作り上げていく。その面白さを一緒に感じられる方をお待ちしています!