「ふぐがこんなに美味しい魚だとは思いませんでした!」
というお客様からの声。
「店員の〇〇さんに『接客がとってもよかったよ』と伝えておいてください!」
というお客様からのお褒めの言葉。
「そんな温かい言葉を励みにしながら、ふぐ食文化を通じて人々を笑顔にし、明るく愛に満ちた社会を創っていきたい」
そう熱く語るのは、株式会社関門海 代表取締役社長 山口 久美子さん。
創業42年余りの歴史を持ち、ふぐの取扱高および消費量で日本一を誇る、ふぐ料理専門店のリーディングカンパニーである関門海。
そんな関門海を山口さんは2018年より社長として牽引されています。
関門海は、メイン事業である「とらふぐ料理 玄品」の国内外の店舗運営(全69店舗)の他、大手通販会社やECショッピングモールでのふぐ商品販売なども行なっており、長年の歴史がありながらもベンチャーマインドを忘れず、常に新しいチャレンジを続ける会社です。
「関門海はなぜ創業以来、厳しい飲食業界において常にふぐ料理専門店のリーディングカンパニーであり続けることができたのか」
今回はその理由を山口社長からお伺いしました。
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【インタビュアー/ライター】
ー伝えたいことを、伝えたい人に、文章で響かせる会社ー
株式会社ストーリーテラーズ
ストーリーライター 平澤歩
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業界のリーディングカンパニーである理由
関門海が厳しい飲食業界において、創業以来ふぐ料理専門店のリーディングカンパニーであり続けることができたのはなぜでしょうか。
その理由の1つは、「商品や店内環境に対するこだわりを、創業以来絶やすことなく持ち続けてきたからです」と、山口社長。
ふぐ料理店というと、一般的に高級で手の届きにくいイメージがありますが、「玄品」は「おいしいふぐ料理を手の届きやすい価格で提供する」というこだわりを大切にしてきました。
ふぐ料理店らしい上品な雰囲気がありつつも、敷居の高さを感じさせず、どんなお客様でも気軽に足を運びやすい店構え。
お客様にリラックスして料理を楽しんでいただけるよう、心を込めた社員やスタッフの接客。
そして、要となるふぐ料理については一切の妥協を許さず、独自のふぐ熟成技術・加工技術の特許を取得し、そのふぐを提供するための調理技術にも常に磨きをかけています。
関門海がリーディングカンパニーであるもう1つの理由は「会社や商品をさらに進化させるべく、社員たちが主体性を持って動いているから」だと、山口社長は言います。
「関門海の仕事の全方位360度のうち359度分は、社員のみんなが積極的に、主体性を持って行なってくれています。社長の私は残りの1度分を担っている。
うまく行かないことがあった時にも、みんなが焦らないようどーんと構えて、安心してチャレンジできるよう後押ししているだけなんです」と山口社長は笑顔で話します。
ふぐという高級食材を「最も美味しい状態でリーズナブルに提供する」という難しい課題に対し、社員が真っ向から挑み続け、アップデートを重ねている。
これが関門海がリーディングカンパニーであるゆえんです。
「ほんのわずかでも自信がない商品をお客様に提供することは『玄品』の名に恥じるという想いを、創業者である主人から強く受け継いできました。
今でも『うちの商品は一番や!』と社員全員本気で思っていますが、今後はさらに高みを目指して、『どれを食べても本当においしい』と思える商品を提供して行きたいです」
このように山口社長が情熱を燃やし、「玄品」の味を守り続ける背景には、ある大きな辛いできごとがあったのでした。
創業者の精神を引き継ぐため社長に
山口社長のご主人・山口聖二さんは、関門海の創業者であり先代の社長でしたが、2005年、交通事故により突然帰らぬ人となりました。
まさに青天の霹靂でしたが、山口社長は事故から約7年後の2012年に関門海に入社、そして2018年に社長に就任し、会社の指揮を執ることとなりました。
しかし、ご主人が亡くなった当初、社長業を引き継ぐ気はなかったと言います。
ご主人のお葬式の席で、当時お世話になっていた顧問の先生から突然「関門海はあなたが引き継ぐんですよ」と言われた山口社長。
当時は「会社のことは主人しか知りません。私は会社のことを十分に理解できていないので、引き継ぐなんて無理です」と、笑って返すことしかできなかったと言います。
しかし、ご主人が亡くなり数年が経っても、お葬式の時に顧問の先生が仰った「あなたが引き継ぐんですよ」という言葉が、ずっと頭の片隅に残っていた山口社長。
「数十年に渡って受け継がれてきた『おいしいふぐ料理をお客様に提供したい』という社風を、今後も守り抜いていくために、ずっと側で主人を見てきた私が、跡を継ごうと、覚悟を決めました」
社長就任と同時にコロナ禍に直面しましたが、店舗以外の新たな展開としてふぐの外販・通販事業を構築したり、夏場の対策として始めた「鰻料理」を社員と共に育て上げてきた山口社長。
社員が「自分の子どもを入社させたい」と思える会社の実現をめざして、関門海のさらなる飛躍に向けた土台づくりを着実に進めています。
42年以上にわたり、ふぐ料理専門店のリーディングカンパニーとして絶えず前進を続けている歴史の裏には、このような深い物語が秘められていたのですね。
食を通じて愛に満ちた社会を創る
42年以上続く老舗でありながら、現状に満足することなく、海外進出や他社とのコラボレーションなどの新たな取り組みに果敢に挑戦し、絶えず成長を続ける関門海。
その先にどのようなビジョンや夢を描いていているのか、山口社長にお伺いしたところ、このような答えが返ってきました。
「まず目指すは『100年以上続く企業に育てること』。現在、関門海は創業から42年余りですが、主人は『最低100年は続く企業にするんやで』と社員に常々語っていましたからね。
そのためには、『おいしい商品を提供すること』と『人が資本』という軸だけは絶対にぶらさず、それ以外は時代に合わせて柔軟に変化し、ふぐの新たな可能性を見出し続けることが大事だと考えています。
そのように会社を次の世代、その次の世代と進化させて、必ずこの関門海を100年続く企業へと成長させます!」
とらふぐの取扱量と消費量で日本一を誇る関門海が100年続くこと。
それは日本の水産業の発展に寄与し、その結果、ふぐ食文化のみならず、日本の食文化を守ることにも繋がります。
そして、最終的な夢は「ふぐ食文化を通じて人々を笑顔にし、明るく愛に満ちた社会を創ること」。
「創業者は、何事に対しても愛情を持つことを大切にしていた人で、企業理念にも『愛に満ちた社会を創造する』と掲げています。
我々の仕事は、美味しいふぐ料理や心のこもった接客をご提供することで、人々を笑顔にできる仕事です。
その輪を国内外に広げ、100年以上受け継ぐことができれば、『愛に満ちた社会を創造する』ことができると思うんです」と、熱く語ってくれた山口社長。
「100年以上続く企業に育てる」「食を通じて愛に満ちた社会を創る」
この壮大なビジョンを実現するため、山口社長はこれからも熱く頼もしい仲間達とともに走り続けます。
とらふぐの取扱量と消費量で日本一を誇る関門海が100年続く企業になる。
それは日本の水産業の発展に寄与し、結果として日本の食文化を守ることにも繋がります。
「でも、理想にはまだ、程遠いかな…」と謙遜しながら笑う山口社長。
「100年続く企業を作る」「食を通じて愛に満ちた社会を創る」
この壮大なビジョンを実現するために、山口社長はこれからも、熱い仲間達とともに走り続けます。