新卒5年目でマネジャーとして活躍をする北中建。失敗から多くのことを学び、自らの成長の糧としてきました。クライアントのためになることを突き詰めて考え、向き合う原動力は何なのか。学生時代の話まで遡りお伺いしてきました。
<インタビュアー:渡邊>
北中建/メディアソリューション本部 データマーケティングチーム マネジャー
2017年度新卒入社。メディアプランナーとしてキャリアスタート。
課題に沿ったメディアプランニングや運用型広告のPDCA設計を実行後、運用部へ異動し、プロダクト開発やリエンゲージメント広告の運用を経験。 2020年からソリューション本部データマーケティングチームへ就任。 1st Party dataから3rd Party dataを軸に、顧客課題の定義や施策評価を実施している。
祖父から学んだ「仁義」と「筋を通す」大切さ。
渡:本日はよろしくお願いいたします。北中さんについて様々伺わせていただきます。
北中:よろしくお願いいたします。
渡:早速ですが、幼少期を振り返るとどんな子でしたか?
北中:おじいちゃん子でした。週1で祖父の家に行っては仕事をしている風景を見たり、話をしたりしていました。よく自論を語られていましたね笑
渡:週1だとかなりの頻度ですね。
北中:数だけ聞くとそうですが、同じ区域に住んでいたので割と近い距離だったんです。そのため家に遊びにいく回数も自然と多くなっていきました。
渡:(うちも親族が同じ区域に住んでいるから何となくわかるな。気軽に遊びに行く感じ)
北中:会う回数が多かったので祖父の影響は強く受けていると感じています。社会人となった今でも得た学びは大切にしています。
渡:具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?
北中:「仁義」と「筋を通す」ことです。祖父が電工会社の経営をしており、自身も営業をしたり工事をしたりしていました。色々な方との付き合いや実績で仕事を取るタイプだったので、信頼や人付き合いは大切にしなさいとよく言われていました。
渡:人と人との繋がりを大切にされていたんですね。
北中:そうですね。取引先を家に呼んで楽しく話している場に僕もいまして。何となくですが雰囲気を感じとっていました。
祖父は、背中で語る古風なタイプだと思います。それを見てかっこいいなと思っていたのを今でも覚えています。
渡:そこまで近い距離ですと、後を継いでほしいなど話しになりましたか?
北中:実はなりまして…。ただ自分が電工業務をしている姿が想像つかないため、今まで断ってきています笑
社会人としてはもちろん尊敬はしています。ただ、仕事のイメージが付くかつかないかはすごく大切だと僕の中では思っていますね。
不安を抱きながらの異動。突き付けられた「現実」と得た「学び」。
渡:先ほど会社を継がないと話しにありましたが、改めてD2C Rに入社を決めた背景をお伺いしてもよろしいでしょうか?
北中:はい。就職活動では広告代理店とSIerを中心に受けていました。就職活動という限られた短い期間で収集した情報のみで40年以上働く企業を決めることは危険だなと当時考えていました。
そのため、BtoB事業を展開している広告代理店やSIerであれば様々な企業と触れる機会があり、関わった業界の理解も深まるのではないかと考え2つの業界に絞りました。
渡:やりたいこと、興味関心が優先されがちな就活で深く考えて行動されていたんですね。
北中:慎重だったのもあると思います。結果的にSIerにも内定をいただきましたが、広告ってそもそもどのような仕事があるか理解しきれていなかったので、グループで様々な機能があり研修後希望の会社(部署)に行ける魅力も感じ、D2Cグループに入社を決めています。
渡:入社後の業務をお伺いしてもよろしいでしょうか?
北中:初配属はD2C Rの広告プランナーになります。クライアントのデジタル広告プロモーションにおける「月々の媒体選定」「広告効果の報告」「今後の打ち手」をまとめて報告することが主な業務です。
新卒ほやほやだったので、KPIやCPA、CPCなどデジタル特有の単語を覚えることと、因果関係をまとめてクライアントに報告できるようになる、といった二軸の自己学習が結構大変でした。向き合う担当者の方がロジカルな方が多く、上司に時間を貰って何度も報告内容をブラッシュアップいただいたことを強く覚えています。
渡:社会人のスタートとしては負荷がかかった環境だったのではないでしょうか。
北中:振り返るとそうですね。ただ自分の中で、広告代理業はある程度労働時間が長くなることやハードになることを想定していたのでギャップを感じることはあまりなかったです。
やっと慣れてきたというタイミングでART DMP事業を展開する部署に異動となりました。
※ART DMP:https://www.d2cr.co.jp/artdmp
渡:数ヶ月で異動ですか?
北中:そうですね笑 当時、その部署は立ち上げに関わっていた責任者の方と僕の二人しかいなく、そのうえ社内でほとんど会話したこともなかったんです笑 正直業務に慣れてきたタイミングでもあったので、不安でいっぱいでしたね。
渡:不安を抱く中での異動。当時思い出に残っていることはありますか?
北中:僕が関わっていたARTDMP事業は、リエンゲージメントに関するプロモーションを業務領域としていました。リエンゲージメントはアプリの行動ログを取り扱えないと細かく設計することができません。
そのため、クライアントにプロダクトを使ってもらうことを前提にプロジェクトが進んでいました。そのような中、当時の上司に機会をいただいて、とあるクライアントに提案に伺うことがありました。提案はまったく響かず「現状必要ないんだけど」と一言だけ言われて終了したことを強く覚えています。
渡:一言だけですか‥。
北中:はい。提案を振り返ってみると、提案先企業になぜ必要と思えるプロダクトなのか、どう活用すればプロモーションがうまくいくのかの観点はまったく話せていなかったんです。僕がプロダクトの特徴を一方的に話していた残念な提案の場でした。
この提案をきっかけに学んだことは、代理業ビジネスはクライアントニーズによって成り立っていることです。どのような課題があり、何を解決する必要があるのか。その上で僕がどう関われるのか明確にし、パートナーとして伴走することを考えないといけないと痛感しました。その基本概念は営業担当のようなフロントサイドでも、システム開発担当のようなバックエンドでも変わらないと思います。現在はクライアントと近い距離で業務をすることは減りましたが、クライアントのことを常に考えて業務をすることを心がけています。
渡:当時は苦い思い出ですが、振り返ると気づきを得たタイミングでもありますね。
北中:そうですね。今でも振り返るとあの時は本当に0点提案をしてしまったなと思っています。異動後の大きな思い出としては、もう一つあります。当時の上司と、上司の友人で事業責任者をしている方からとある格言や考え方を教えてもらう機会があって、今でも大事にしています。
渡:詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?
北中:もちろんです。上司の格言は「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というビスマルクの言葉でした。自身の経験から学べることは限りなく小さいので、周りの人の経験や思想をできる限りインプットして、意思決定の際に検討要素とすることを強く意識したきっかけになりました。
また上司の友人から教えていただいたことは、仕事は「ビジネス」「ワーク/ジョブ」「タスク」に因数分解できるという言葉です。会社間での取り組み(ビジネス)から派生して機能(ワーク)が生まれ、ワークに対してジョブが決まり、そこから派生をしてタスクが生まれるといった考えです。ワークを生み出せずに生まれた作業(タスク)だけこなすのは事業貢献度が低い、と捉えることができます。当時社会人として一年しか働いていない自分が、タスクをこなすだけの人間にならないために何を学習し考えるべきか、といった思考と行動をする際の礎になっています。
全く想定していなかったマネジャーに抜擢。
渡:人とのコミュニケーションで多くの学びを得てきたと思いますが、その中でも大きなキャリア転換のタイミングはありました?
北中:4年目でマネジャーに任命いただいたことですね。正直マネジャーになりたいと考えていなかったので、自分でも驚きでした。ただ組織を大きくする中で、マネジャーは必要だと感じていましたし、立ち回りなども学べると思いポジティブに捉えていました。
渡:4年目でマネジャーは世間的に見ても早い抜擢だと思います。なぜキャリアの転換のタイミングだと感じていますか?
北中:要因としては、二つあります。一つ目は、同時期に組織統合があって組織の業務領域や人員が倍ほどに膨れたこと。二つ目は、マネジャーとして部長レイヤーの方々と組織の今後について密にコミュニケーションを取るようになったことです。
そんな中でプレイヤー視点では組織管理や業務進行を両立するのが最初は全くできなくて笑
「組織内の他者との意思疎通」「共通認識/合意形成」「ポジション別の業務整備」がいかに大事かを思い知り、僕だけでできる限界を知ったことで、以前より人に頼ることができるようになったタイミングでもありました。
渡:物事の見方や見え方が変わったタイミングですね。
北中:そうですね。メンバー全員の意思を集約した形での「組織としての意思」を持たないと、各メンバーの活動方針にブレが生じます。スキルや経験にもズレが生じ、個々のレベルアップにもばらつきが出ます。結果として組織、個人ともに成長しきれない環境になり悪循環を生み出してしまうと考えています。
組織貢献の拡大、個人のスキルアップのためにも、個々の意思を集約し適宜組織方針を是正するマネジャーというジョブが必要不可欠だと気づきました。
渡:コロナ禍のタイミングでマネジャー任命だったと思いますが、メンバーの意思を集約する上で意識していることはありますか?
北中:二点あります。「いかに意思や想いを言語化し共通認識を持つか」「いかに簡素的な文章にまとめるか」です。コロナの影響もあり、口頭補足ができない環境が続いています。テキストコミュニケーションでも意思の言語化や共通認識は必要不可欠です。
認識の齟齬がありそうだな、上手く言語化できていないな、と感じた場合は、〇〇な意味で合っている?と細かく確認するようにしています。
チームの存在意義を明確に。D2C Rとしての武器を創出したい。
渡:ここからは、少し将来の話しも交えて伺えればと思います。所属組織をグロースさせる上で、課題に感じていることはありますか?
北中:データを取り扱う専門的な部署だからこそ、自部署のバリューや活用方法が社内外へ浸透しづらい一面があるなと感じています。
例えばクライアントに近い営業担当の方に、僕達の存在意義を明確に訴求していかないと、提案の一要素として組み込まれることも難しいと思っています。そのためデータ活用がプロモーション課題の解決の一手法であると、しっかり啓蒙していきたいと思っています。
渡:そのために何か取り組んでいることはありますか?
北中:「分析手法のジャンル分け」「分析手法のメニュー化」「ジャンル/メニューに基づいた分析事例の整理」などを通じて、パターン的にデータソリューションを認識できるように取り組んでいます。
また、グループ全体で分析基盤を持っているのですが、基盤設計や所持データについてはやや属人的になっており、拡張に関する意見がしにくいように感じています。そのため、透明性の担保や一元管理ができるように、グループ間連携を図っています。
渡:使えるリソースが大きい分、一元管理できるようになるとより提案はしやすくなりそうですね。
北中:そうですね。その上で、データソリューションはあくまで意思決定や課題設計、施策評価における手法の一つでしかないことは認識していますが、どういったデータ/環境があれば「どのような課題を定義できるのか」「何の手段を実行できるのか」といった内容に解が持ち、様々なマーケティングに貢献できるようになりたいと考えています。
4年目でマネジャー任命と聞くと、順調なキャリアを歩んでいるように見えます。
しかしそこには大きな失敗があり、その都度学びを得て成長があるからこそ実現をしているとインタビューをしながら感じました。
データ領域における重要性は日に日に増しています。ぜひデータを軸にプロモーションに関わりたい方は、エントリーお待ちしております。