【Golden Hourの流儀】顧客のCMOとして「事業の最終利益」まで責任を負う。次世代の事業家を輩出するためのコンサル論
コンサルティングや広告運用の世界において、「ハンズオン」や「成果コミット」という言葉は、今や一つのスタンダードになりました。しかしその実態は、現場での実行が伴わない改善施策の提案や、管理画面上の数字を追いかけるだけの運用業務に留まっているケースも少なくありません。
いかなる市場であっても、事業全体を動かすためには、単なる広告や施策の枠を超え、ビジネスの構造そのものに深く踏み込んだ支援が必要不可欠です。表面的な数字の調整で終わるのではなく、経営のレバレッジがどこにあるのかを特定し、泥臭く実行し切る。その積み重ねの先にしか、事業の本質的な成長は存在しないからです。
Golden Hourが掲げる「コンサル論」とはどのようなものか。そして、なぜその経験が次世代の事業家を輩出することに繋がるのか。代表の小木曽と、取締役の萬関が、現場の実態と私たちが大切にしているスタンスについて語り合いました。
戦略がコモディティ化した時代に求められる、成果への責任
ーーまずはお二人に、現在のコンサルティング業界を取り巻く環境をどう見ているか伺いたいです。
小木曽:ひと言で言うと、「方針や方向性を提示するだけのコンサルティング」は価値が急速に薄れてきていると思います。
かつてはフレームワークに基づいた分析や改善提案を出すこと自体に対価が支払われていました。しかし今は、そういった情報はインターネットにもAIにもいくらでも転がっています。戦略の“正しそうな答え”を提示すること自体は、もはや希少ではなくなっています。
だからこそ今問われているのは、その戦略によって具体的にどの変数が動くのか、そしていつ・どの程度の利益に結びつくのかまで踏み込めるかどうかだと思います。
言い換えると、「正しいことを言う」だけではなく、事業の結果に責任を持てるかというところが、コンサルティングの価値基準として強く求められるようになってきていると感じます。
萬関:そうですね。市場側の目線もかなりシビアになってきています。
企業側は「その提案で本当に利益が生まれるのか」という現実的な視点で支援内容を見極めるようになっている。一方で、支援側のスタンスがそこに追いついていないケースも多いのが実情だと思います。
たとえば、「コンサルタント」と名乗っていても、実際にはPLを読み解く力がなく、広告運用の一部の数値だけを見て議論しているようなケースも少なくありません。
つまり、施策単位では語れるが、事業単位では語れないという状態ですね。
ーーそんな今の時代にコンサルタントが生むべき「真の価値」とはどこにあるのでしょうか。
小木曽:「クライアントより高い事業視点を持ち、ユニークネスな示唆を出せるか」。この一点に尽きると考えています。
コンサルティングという仕事には、専門情報・判断軸を提供するアドバイザーから作業を伴う伴走型まで様々な役割が存在しますが、どの役割に身を置くのであれ、共通して求められるのは事業視点です。
経営者と同じ、あるいはそれ以上の事業視点を持って実戦に臨む。そこまで踏み込んで初めて、プロとしての価値が成立するのだと思っています。
萬関:だからこそ、僕らは「クライアントの成果」を、どこよりも重く捉えたい。単なる評論や代行業として数字をいじるのではなく、コンサルタントとしてのプライドを持って事業を前進させることに責任を持つ。その泥臭いコミットメントこそが、今の時代に求められているコンサルタントの姿ではないかと考えています。
ドクターの「迷い」を消し、ユーザーの「負」に向き合う
ーーGolden Hourが一歩目として注力している、美容医療というマーケットについて教えてください。
小木曽:美容医療マーケットの最大の特徴は、ドクターが職人的プレイヤーでありながら「経営者」も兼ねている点にあります。
かつては露出の量さえ確保すれば勝てるマーケットでしたが、美容クリニックの事業者数が急増した今、単なるインフルエンサー起用や広告投下だけではまるで通用しません。「どこで、どう戦うか」の”市場と武器”の取捨選択が不可欠なフェーズに移行していますが、ビジネスキャリアを踏んでいないドクターが全経営判断を担うのは負荷が大きく、そこで足踏みしてしまうことが業界共通のボトルネックになっています。
加えて、ユーザー側の心理も極めて特殊です。高額な投資であり、自分の体にメスを入れる決断ですから、そこには「失敗への恐怖」や「ダウンタイムへの不安」といった、強烈な負の感情が介在します。こうした悩みを持つユーザーは非常にリテラシーが高く、表層的な見せ方だけでは納得してくれません。こうしたドクター側の迷いと、ユーザー側の複雑な心理が絡み合う業界だからこそ、業界への「圧倒的な解像度」が重要になります。
ーーそうした難易度の高い業界において、Golden Hourはどのようなスタンスで対峙しているのでしょうか。
小木曽:僕らが大切にしている柱が3つあります。
まず一つ目は、「エンドユーザーとしての視点」です。口コミやネット情報を眺めるだけでなく、自らがサービスを体験することで、ユーザーの段階的な心理変化を捉える姿勢を大切にしています。そのための支援として、メンバーが希望すれば高額な施術であっても会社が費用を負担する仕組みを整えているんです。 私自身も含め、実際にユーザーとしてサービスを享受した経験を持つメンバーが多いため、情報の非対称性が大きいこの業界において、患者様がどのプロセスで悩み、どこで納得するのかを実感を伴って理解できています。
二つ目は、僕らがコンサルティングだけでなく、自らも実際にクリニックを運営している「事業主」であることです。私たちはアドバイザーという安全圏に留まるのではなく、自らもクライアントと同じビジネスモデルを動かしている当事者なんです。だからこそ、経営者が直面する課題を同じ目線で捉えることができています。経営判断に伴うプレッシャーを理解した上で、共に事業の変数を動かしに行く。この実戦を通じた解像度があるからこそ、クライアントに対しても、より核心を突いた提案ができるのだと思っています。
そして、これらすべての土台となり、僕らが最も重要だと考えている三つ目の柱が、「全体最適の視座」です。管理画面上のCPAを合わせることは、僕らにとって目的ではありません。究極的には、人件費や固定費まで含めた「最終的な営業利益」を増やすために何をすべきか。そこに対して誰よりも責任を持つのが僕らのスタイルです。
マーケティングのKPIだけを追うと、必ずどこかに歪みが出ます。だからこそ、必要であれば広告施策の枠を超えて、組織図やオペレーションの変更にまで踏み込む。この「全体最適」を実現することこそが、プロとしての真の価値だと考えています。
萬関:僕らは自分たちの役割を単なる外部パートナーではなく、「外部CMO」だと定義しています。広告予算がいくらあるかを聞くのではなく、この事業を動かし、利益を残すためにいくら使うべきかを提示する。ドクターが「経営のことはGolden Hourに任せておけば大丈夫だ」と確信し、本来の価値である技術に専念できる状態を実戦で作る。そこまでやり切るのが、僕らのスタンスですね。
PLベースの現状把握から「勝てる投資戦略」を導き出す実務フロー
ーー具体的な業務内容についても伺いたいです。「外部CMO」として現場に入った際、まず何から着手するのでしょうか。
小木曽:スタートラインは、徹底した「事実の現状把握」です。多くのマーケターは広告の管理画面から見始めますが、僕らはまずクライアントのPLを読み解くことから始めます。施術ごとの売上構成はもちろん、原価、人件費、販促費など、すべての変数を把握し、どこに「効率的な利益の源泉」と「ボトルネック」があるのかを特定します。
例えば、かつてご支援した共立美容外科様の「わきが治療」の事例が分かりやすいかもしれません。独自開発された非常に優れた治療法があったのですが、当初はその価値が十分に成果(売上)に結びついていないという課題がありました。
ーー優れた技術があっても、それだけでは数字は動かない。どこにボトルネックがあったのでしょうか。
小木曽:この治療は「目に見える変化(ビフォーアフター)」はなく、解決するのは匂い(情緒・自己実現価値)であるというのと、コンプレックス商材であるためユーザー自身がSNSで発信する心理インセンティブもないという、プロモーション上の構造的な難しさがありました。そこで僕らが最初に行ったのは、徹底したユーザー理解への投資です。わきがという深いコンプレックスを持つ方が、日常のどんな瞬間に悩み、どんな言葉を求めているのか。インサイトを深く掘り下げ、機能的な説明以上に「深く共感し、納得できる医療コンテンツ」を作り込む戦略を立てました。
萬関:こうした戦略を立てた上で、次は「投資戦略の策定」に移ります。広告予算をいくらもらうかではなく、この事業を最大化させるためにいくら使うべきかを僕らから提示します。単なる認知拡大に予算を投じるのではなく、ユーザーが情報収集するタイミングでいかにドクターブランドやクリニックの得意分野、症例など様々な角度でユーザーに情報を示せるか。クライアントの状況に合わせてリソースをどこに集中させるか予算配分を設計します。
ーー「予算を配分して終わり」ではなく、その後の「実行」に真髄があるとお聞きしました。
小木曽:まさにそうです。共立美容外科様の事例でも、CPAが改善し始めた後に、新たなボトルネックが見つかりました。それは、「院ごとの成約率(治療実施率)のバラつき」です。どれだけ良い集客ができても、カウンセリングの質や現場のオペレーションに差があると、最終的な営業利益は安定しません。
普通の広告代理店なら「あとは現場の責任です」となるところですが、僕らはそこからが本番だと考えています。現場のデータを分析し、成果の出にくいポイントがどこにあるのかを特定する。その上で、「成約率の高い特定の院にカウンセリングを集約させる」といった、組織のオペレーション変更にまで踏み込んだ提案を行いました。
戦略を絵に描いた餅にせず、PL上の数字を動かすために現場の仕組みまで変えに行く。これこそが、僕らが定義する実戦力であり、外部CMOというスタンスの実態です。単に管理画面の数字をいじるのではなく、経営者と同じ視座で「どうすれば利益が残るのか」という問いに、泥臭く向き合い続けています。
支援者の枠を超え、自ら商売を創り出す事業家集団へ
ーーこうした現場での深い経験は、個人のキャリアにどのような変化をもたらすのでしょうか。
萬関:私は、クライアントの事業を自分事として動かした経験こそが、将来どこでも通用する「事業家」としての確かなスキルに繋がると確信しています。クライアントの予算を預かり、自らの判断でクライアントと数字を動かす実感を積み重ねることは、自分で事業を立ち上げる力に直結します。単なるマーケターで終わるか、事業全体を動かせる存在へとステップアップするか。その分岐点は、こうした「責任ある意思決定」をどれだけ経験したかにあるんです。
小木曽:Golden Hourを支援会社で終わらせるつもりはありません。美容医療という難易度の高い一歩目で圧倒的な実績を出し、そこで培った事業感覚を武器に、自らも新たな事業を次々と創り出していく。そんな事業家集団でありたいと考えています。
ーー支援事業そのものが、次世代のリーダーを生むためのエコシステムになっているのですね。
小木曽:その通りです。事業の全行程を勝たせる経験を積み、自ら考えて動ける仲間が集まれば、必然的に新しい面白い事業が生まれます。クライアントを勝たせながら、同時に自分たちも事業家として進化し続ける。そんなソリッドなベンチャーであり続けたいと思っています。
萬関:今の仕事が「大きな仕組みの中の歯車」のように感じて、物足りなさを抱えている人ほど、私たちの環境は刺激的だと思います。綺麗な資料を作るだけではなく、自ら収益構造を動かし、事業の本質に触れる。その手触り感こそが、この仕事の本当の面白さですから。
いつか対等な立場で、共に新しい事業を創り出せる仲間を待っています。本気で事業を動かせるようになりたいなら、これほど刺激的な環境はないはずです。