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センシングと人工知能を用いた個々人に最適化する研修システムを構築
リスキリングを推進する株式会社LiNew(本社:東京都渋谷区、代表取締役:西本 弘昌、(読み方:リニュー))は、芝浦工業大学(東京都江東区、学長:山田 純)と共にLiDAR技術※1を使用した研修システムの生成に向けた研究を今年6月から開始し、研究成果の論文が来年1月に開催される国際会議IEEE※2 CCNCに採録されることになりました。
【共同研究の概要】
LiDARと環境センサを併用し、芝浦工業大学に通う学生がカリキュラムを受講している時の姿勢や周囲の環境・心拍数などの身体の状態・動向を1年間分データとして収集します。行動周期、気温や気圧などによって学修効果の変化を測定し、仕事や学習の生産性を向上するシステムを生成します。
【共同研究の背景】
LiNewでは世の中のITエンジニア不足を解決するために未経験からエンジニア人材としてシステム開発が行えるようになるために、educure(エドゥキュア)※3 やストロン※4 といったサービスを提供してきました。
educureでは、業種や業態に関係なく、様々なプロジェクトで活躍できるレベルまでプログラミングのスキルを習得できるカリキュラムを提供しています。
ストロンでは、LiNewがプロジェクトオーナーとして入り、若手や駆け出しエンジニアのさらなるスキルアップをサポートしています。設計書の制作からはじまり、プロダクト開発の一連の流れを体感いただけるプログラムになっているため、エンジニア自身で考え、サービス開発を遂行できるレベルまで到達することが可能です。各企業様が開発したいシステムを題材に、ご希望のツールで開発することで、再現性高く自社プロダクトを開発できる人材を育成しています。
芝浦工業大学新熊教授は学習時に得られるデータを収集し、人工知能で解析することで学習効果の高い状態を推定、向上するシステムの研究をしています。今回の共同研究を通じて、より質の高いエンジニア教育の提供と、システム開発時のパフォーマンスを向上させる手法の創出を目指します。
【研究成果の概要】
芝浦工業大学工学部情報工学科・新熊亮一教授の研究室では、スマートシティの研究開発および社会実験に取り組んでおり、特に、センサネットワークで取得した三次元データをリアルタイムコンピューティングするエッジAI技術についての実績を有しています。
本研究開発では、オフィスでの研修や学校での教育環境において、三次元センサのみを用いて、学習効果を予測する技術に取り組んでいます。LIDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザーにより、図1のように、物体の三次元形状を点群データとして取得する三次元センサです。これを用いて、PCで学習を行っている学習者のデータを取得します。取得したデータは、姿勢や手の動きの時系列変化を特徴として含んでいるため、これをエッジAI技術で抽出し、学習効果と対応させることで、予測が可能になります。
三次元センサから学習効果を予測する研究は世界初であり、タイピングの文字数を推定することに成功した成果が2023年1月開催予定の国際会議IEEE CCNC ※に採録されることになりました(https://arxiv.org/abs/2211.09334)。
さらに、三次元センサのみから学習者の状態を推定する技術や学習後のテストのスコアを予測する技術についての成果を近々発表予定です。
図1.物体の三次元形状の点群データ
※1:LiDAR
Light Detection And Rangingの略称でライダーと読みます。人に無害なレーザー光を対象物に照射し、周囲の人物との位置や距離を点の集まりとして計測、集計、分析します。空間内の人物の顔などの画像・映像は認識せず、プライバシーを侵害することなく高精度な検知が可能な光センサ技術です。LiDARは、もともと航空機のレーダーや気象観測に使用されていました。現在は、自動車の障害物や周辺車両の検出、スマートフォンのカメラなどと組み合わせて写真撮影で効果的にピントをぼかすアシストや、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)のための技術として一部利用されています。
※2:IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)
アメリカ合衆国のニューヨークに本部を置く、世界最大の学術研究団体です。現在世界160ヶ国以上、42万人を超える会員によって構成されています。
対象となる範囲はコンピュータや持続可能なエネルギーシステム、航空宇宙、コミュニケーション、ロボット工学、ヘルスケア等多岐に渡ります。
※3:educure
https://lp.educure.jp/
※4:ストロン
https://stlaun.jp/
【新熊 亮一教授 プロフィール】
芝浦工業大学工学部情報工学科教授
2008~2009年 米国WINLAB客員研究員
2011〜2021年 京都大学情報学研究科准教授
2018〜2022年 STさきがけ研究員
2021年〜 KDDI総合研究所招聘研究員
大学発スタートアップ創業者および民間企業数社の技術顧問としての産業応用推進
米国IEEE Senior会員、電子情報通信学会Fellow
博士(工学)