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『自分の強みが活かせる分野で勝負したい。』。貿易SaaSを立ち上げる理由


こんにちは、CEOの一木です。2019年夏、日本の貿易物流の弱点を解消する『貿易SaaS』をリリースします。

「なぜ、貿易物流会社がSaas事業を始めるの?」

こんな質問を受けることが多くなってきたので、今日は新規事業を始めるにいたったストーリーをお話しします。私自身の職歴にも深くかかわっているので、そのあたりも触れていきたいと思います。

自分の強みを活かせる分野で勝負したい。

私のプロフィールは次のとおり。

2011年、専門商社に入社して1年間アシスタントをやり、翌年に貿易物流部門を立ち上げて取締役に就任。次の年に貿易物流事業を切り離しMBOすることになり、現在のSYNC LOGISTICS代表取締役に就任。

こう書くと、順調に起業への道を歩んだように見えるかもしれないですが、私自身は最初から経営者を目指していたわけではなく、流れに乗ったらここまで来た、というのが正直なところ。

私の選択に大きな影響を与えたのは、入社した商社で上司だったモンゴル人女性の存在です。プロ野球選手並みに稼ぐ本当に優秀な人で、一人で年間数億円の利益を出していました。

私もそれなりに実績をあげてはいたけれど、がんばったら追いつけるというレベルじゃない。そんなスーパースター級の上司の下で働いていると、逆に、セールスをやっていこうという気持ちにならなかったんです(戦意を失うというか)。

路線を変えよう。

そう考えて、当時の社長に「物流に特化した部門を立ち上げたい」と話しました。

貿易には大きく、物を売る「商流」と物を運ぶ「物流」の2つのセクションがあります。商流はブランディングや顧客との関係が大事、物流は効率が大事。私は無駄なことをやるのが嫌いなので物流は得意な領域かもしれない、自分が勝てそうな領域にいくべきだろうと考えました。

キラーファンクションは、顧客から教えていただいた

物流部門を立ち上げるにあたって、まずは一人でやってみようということになり、自分で電話線をひいて、机を一個置いて、銀行口座を開いて……というところから始めました。

勝てそうな領域……とはいったものの、とくに目論みはなくて、やったのはひたすら電話をかけるセールス。オフィスに一人しかいないので、営業に出てしまうと仕事が回らなくなるという事情もありました。

実績も経験もないので当然ですが、3カ月くらいは売上がゼロ。でも、不思議とくさらずにやっていました。

すると、あるタイミングで次々に取引が決まり出します。半年後には黒字化し、1年後にはMBOで独立。代表取締役として現在の貿易物流会社を経営するにいたりました。

売上が伸びた理由は2つ。

ひとつは、2012年当時、市場が活況にあったこと。アジア、アフリカといった途上国への物流のニーズがそもそも高まっていました。

もうひとつは、私が物流業者で働いた経験がなかったこと。どんなサービスを提供すべきかわからなかった。だから、電話した相手から、「こういうサービスがあったら使うよ」と言われたものを全部聞いて作っちゃっていました(便利な人だねって言われてました)。

そして、キラーファンクションはお客さんの声のなかにありました。

当時、ECがぐんぐん伸びて急速に規模を拡大する事業者と、従来の仕組みで運用している物流業者との間で話がかみ合わない状態が起きていました。そこに、

物流の仕事を明確に定義していない人間が、シンプルな解決策を提示したわけです

私は輸出事業の経験があったので、相手の仕事内容を理解していたことも武器になりました。

日本の貿易物流、なぜいまだにアナログなの?


クラウドが普及している現在にあって、じつは、日本の貿易物流はいまだに電話とFAXが主流。しかも国際物流って、10くらいのステークホルダーが関わりながらひとつのコンテナを動かしている。なんとも恐ろしい状況ですね。

たとえば、10社のステークホルダーのうちの1社で何らかの情報が変わった場合、残りの9社に連絡しないと船積みにトラブルが起きる可能性がある。これを伝えるのに、いまだにペーパーベースで大量の紙を使ってやり取りしているんです(驚いていただけましたか?)。

物流事業を伸ばしていくなかで、この業界の手続きが本当に非効率っていうところにすぐに気づきました。私は何度も同じことを聞かれるのは苦手だし、効率が悪いことを続ける気もないから、自社用に情報共有システムをつくりました(だから、うちは電話があまり鳴らない)。

世の中では一般的になりつつある情報共有システムですが、貿易物流にはステークホルダー間で連携できるシステムが存在しない。これには貿易物流の仕組み自体がとても複雑なので、実業をやっていないと的確なシステムをつくれないという事情があったと思います。

私が自社用につくった情報共有システムは、ひとつのコンテナを動かすのに必要な情報をすべてリアルタイムで可視化できるようにしています。もちろんドキュメントの共有もできるし、エビデンスを見ることができるという工夫もあります。

このシステムを見た会社さんから、「うちでも使えるようにしてほしい」という要望をたくさんいただきました。

明らかに業界の問題がわかっていて、しかも自分たちは解決できる。さらにマネタイズできるんだったら事業としてやらない理由がない。そこでいよいよ、このシステムをバージョンアップしてサービス提供を始めることにしたわけです。

貿易物流がスムーズになると何が変わるのか


正直に言うと、貿易物流会社を起業したのも事業を伸ばせたのも、明確な目論みが先にあったわけではなく、偶然の出会いやラッキーが重なったからです(もちろん、真剣に取り組んでいるけれど)。

ですが、貿易SaaS事業の立ち上げには明確なビジョンとパッションを持っています。

日本の企業がいくら商品力やブランド力を持っていても、物流業者がボトルネックになっていたら国際競争には勝てない。たとえば韓国やシンガポール、香港など、人口が少なくても物流リテラシーが高い国は貿易における優位性が高い。

物流効率が悪いということは、商品の価格に影響して競争優位性を失うということ。日本のモノが流れにくくなる。日本はすでに貿易アドバンテージが下がりつつあるんです。

私は、誰かのボトルネックになるような事業をやりたくない。

貿易SaaS事業には、日本の国際物流をスムーズにして貿易事業者の商機をサポートするという明確なビジョンがあります。その仕組みを提供する事業をつくる。そう考えたら、私はめちゃめちゃテンション上がりました。

目標は5年以内にシェア40%。顧客とつながる意味

貿易SaaSは2019年夏にリリース予定です。目標は5年以内にシェア40%獲得。このくらいやらないと貿易物流は変わらないし、急を要する課題だからです。

でも、私が今SaaS事業に取り組みたいのは、世の中に必要な仕組みであり課題を解決できるっていうニュアンスだけでなく、顧客とのつながりをつくっておくことが重要だと思っているから。

たとえば、このSaaSで日本の船積みが滑らかに回り始めたとしましょう。データが蓄積され、私たちは日本の貿易のボトルネックは何か、定量的に判断できるようになります。ニーズも拾いやすいし、課題アプローチの精度とスピードが上がります。

私は今32歳。10年後、20年後まで事業をグロースさせるには、今、顧客とのつながりをつくる必要があると思っています。

最後に。一緒にマーケットをつくる「仲間」を募集!

SaaS事業を一緒につくっていく仲間を募集しています。

物流事業とSaaS事業では、仕事の性質がまったく違います。物流事業は目の前にすでに答えがあるので、それにすぐに対応できるスピードが大事。

SaaS事業は、ホワイトスペースを開きにいく仕事。だから、世の中がほしがるものをつくるのが好きな人や、マーケットをつくることに興味がある人に向いていると思います。

仕事では、私はあんまり事細かな指示を出しません(自分も言われるのが苦手だから)。参謀ではなくて、上下の関係でもなくて、一緒につくってくれる仲間がほしいです。会社で私のことを社長と呼ぶ人はいないし、それがいい。

興味を持ってくれたら、ぜひ一度遊びに来てください!

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