コロナ禍を機に、一気にスタンダードになった「Zoom」などのオンライン会議ツール。GODAIでは、このオンライン会議ツールを活用した非対面形式の「オンラインレッスン」にチャレンジしています。
この日は、GODAI港北の後藤真哉ヘッドコーチのオンラインレッスンがあるというので、お邪魔してきました。
決まった時間にそのスクールに通って、対面でレッスンを受ける。40年以上もの間、そのテニススクールのレッスンの形は大きく変わっていません。
オンラインレッスンは、そんなテニススクールの「ノーマル」を変えていくのでしょうか?
コーチの熱量が、画面越しに伝わる
「ここでストレートに打つと、ボールが右にそれてアウトすることが多いですよね。このミスの主な原因は何だと思いますか、〇〇さん?」
「えーと……振り遅れですか?」
「そうですね。正解です!ミスの原因の8割は、打つ前の準備不足なんです。
普段のレッスンでは、コーチは皆さんの打ちやすいところにボールを返してくれますが、試合では、相手は皆さんの時間を奪うことを何かしらしてきます。強いボールを返したり、速いテンポで打ってきたり。だから、テイクバックや打点への入り方など、打つ前の準備が大事なんですよ」
GODAI港北の会議室に入ると、後藤コーチの熱を帯びた声が響いていました。
この日受講していたのは、後藤コーチの初中級クラスに在籍する4名のお客様。「試合で勝つためには」というテーマで、ダブルスのポジショニングや試合中のメンタルの整え方などの講義が行われていました。
真剣にメモを走らせる方もいれば、講義が終わった直後に立ち上がって素振りを始める方も。後藤コーチの熱量が、パソコンの画面越しのお客様にも伝わっていたようです。
普段のレッスンではできない話をじっくり伝えられる
90分間の“レッスン”を終えた後藤コーチに、話を聴いてみました。
――お疲れ様でした。オンラインレッスンって正直どうなのかな?と思っていたのですが、皆さんかなり熱心に受講されていましたね!
ありがとうございます。この日のお客様は、試合イベントでまだ勝ったことがない方々です。勝利の体験をぜひ味わわせてあげたいと思って、僕も熱が入っちゃいましたね。
――その後藤さんの熱量が受講者の皆さんにもパソコンやスマートフォン越しに伝わったようで、皆さん真剣に聞き入っている様子が見ているこちらにも伝わりました。
普段のレッスンではやっぱり球数を打ってもらうことが大事なので、ポジショニングやメンタル、打つ前の準備などの話は時間をかけて細かく伝えることができません。それらのテーマをじっくり伝えることができたのは、こういう形式のレッスンならではでとてもよかったと思います。
――逆に、オンラインレッスンで難しかったのはどのような点ですか?
そうですね……。やっぱりリアルレッスンに比べると皆さんの表情が見えにくくて。いま話した内容がちゃんと伝わったかどうか、反応を読み取るのが難しかったです。
普段のレッスン以上に、ロジカルなコミュニケーション力が重要に
――もともとどういう経緯でこのオンラインレッスンをやってみようと思ったのですか?
今年の4月、5月にスクールが休業を余儀なくされました。そのときに、GODAI港北のコーチたちで一度オンラインレッスンをやってみたことがあるんです。ただ休業するだけでなく、僕たちコーチもお客様のために何かトライしてみようと思って。
実際にやってみて、いくつか課題も得られました。オンラインに適したテーマの選び方とかホワイトボードの使い方とか。それらの課題を見直した上で今日のレッスンを企画しました。
――密かにPDCAを回して改善されていたんですね。でも、大げさでなく、新しいレッスンの可能性がみえた気がします!
ありがとうございます(笑)。それでも、課題はまだたくさんありますよ。たとえば上級のお客様になると基本的なポジショニングやフォーメーションの話をしても「そんなの分かってるよ!」となるので、実際の試合の映像をみて分析、解説するようなレッスンも面白いかもしれません。
――試合の映像分析などは、コアなテニスファンのお客様にはニーズがありそうですね。
それと、オンラインレッスンができるコーチを増やしていくことも今後の課題ですね。
普段のレッスンでは、ジェスチャーやデモンストレーションなど非言語のコミュニケーションが占める割合が大きいのですが、オンラインレッスンではそれに頼ることができず、言語コミュニケーションが中心になります。言葉でロジカルに伝える技術が、リアルレッスン以上に必要になってくる。自分のそこのスキルを高めるのはもちろんですが、他のコーチ陣のスキルも伸ばしていきたいですね。
オール「3」より、ひとつでも「5」を見出して伸ばしてあげたい
――たしかに、コーチの武器であるラケットが使えないわけですから、論理的に説明する技術は必要になりますね。
ただ、普段のリアルレッスンでは、理論に偏りすぎるのはよくないんです。お客様はあくまでテニスを楽しむためにスクールに通っているので、先ほど言ったようにある程度球数を打ってもらうことが大事ですし、ゲーム性を出して盛り上げることも必要。「テニスを楽しんでもらう」というレッスンの基本からブレないよう、理論を押し出しすぎないことを心がけています。
――後藤コーチは、GODAIのヘッドコーチとして後進のコーチを育成する立場でもありますね。コーチを指導する上で心がけていることはありますか?
なるべくそのコーチの「いいところ」を見つけて、それを伸ばしていきたいという考えがベースにあります。
オール「3」でソツのないコーチもいいのですが、平均的にできるコーチは、そのコーチの強みがわかりにくいんですね。逆に「1」があってもこれだけは負けないという「5」を持っているコーチのほうが、その「5」の要素でお客様に支持されるんです。
仕事や家庭など、忙しい日常の合間を縫って、お客様はGODAIに通ってくださいます。だからこそ、コートでは思い切りテニスを楽しんでもらいたい。コーチ一人ひとりの強みを見出して、伸ばして、お客様に提供する「楽しさ」に変換する。そのサポートをしていきたいですね。
※後藤コーチから聞いたところでは、この日受講された初中級クラスのお客様は、その後の試合イベントで上位の中級クラスの方と対戦し、負けたものの4-6など接戦を演じられたそうです。オンラインレッスンの成果が出ているかも!?初勝利の日は近いですね!
※「GODAI note編集部」より転載