スピードと成果が求められるサイバーエージェントで経験を積んだ彼が、なぜスタートアップへ? グローバル市場を獲るための「戦略」と「共創」
新卒でサイバーエージェントに入社し、わずか数年で全社表彰を受け、新規事業の責任者、さらにはジュニアボードメンバーにまで登り詰めた彦坂氏。その輝かしいキャリアの途中で、あえてスタートアップ「BaseMe」への転職を決断しました。
現在、BaseMeでプロダクトマネージャー(PdM)を担当しつつ、ユーザーマーケティング、さらには経営陣の一員として採用や組織課題にも深く関与し、2026年1月からは執行役員(VPoP:Vice President of Product)に就任します。BaseMeの成長をミッションとし、「会社のためであったら何でもやる」というスタンスを貫きます。
なぜ彼はサイバーエージェントから、世界一のプロダクトを目指すBaseMeに飛び込んだのか。そのキャリアパスの軌跡と、BaseMeで実現しようとしている壮大な未来構想に迫ります。
コンテンツ発信から始まった「大きなもの作り」への渇望
インタビュアー(以下、Q):まず、現在のBaseMeでの役割と、これまでのキャリアについて簡単に教えてください。
彦坂氏(以下、A): はい。現在はBaseMeでプロダクトマネージャー(PdM)とユーザーマーケティングを担当し、さらに経営層として採用や組織課題にも携わっています。ミッションは会社の成長に尽きます。
私のキャリアのスタートは少しユニークで、大学生時代にタイの不動産で営業やWEBマーケティングのインターンをしたのが始まりです。そこで、海外で働く経験や、自分が作ったコンテンツが実際に人々に届くことに強い興味を持ちました。
WEBマーケティングにのめり込み、自分でブログやYouTubeを立ち上げて発信するうちに、自分のコンテンツが学生の方々の行動や考え方に影響を与えていることを実感したんです。
Q:「影響を与えていること」を実感したことが、後のプロダクト作りへの興味につながったのですね。
A: まさにその通りです。コンテンツを通じて影響を与えるだけでなく、「何かもの作りっていう観点で、より多くの人に影響を与えられるプロダクトを届けられたらいいな」と考え、サービス開発に興味を持ちました。
その後、インドでプログラミング留学をしてWEBサービス開発を経験し、ベトナムでクライアントワークを通じてITスキルを実務で試しました。その後は個人事業主としてWEB制作やSEOライティング、動画編集などを手掛けていたのですが、ここで一つの葛藤に直面します。
Q:どのような葛藤でしょうか?
A: 「自分一人の力だけだと世の中だったりとか、社会って大きく変えられないな」と感じたんです。そこで就職を考え始め、友人から勧められたのがサイバーエージェントでした。若手が生き生きと働き、大きなことを成し遂げている環境を見て、「自分もチームで大きいことを成し遂げたい」と強く思い、入社を決意しました。
新卒で入社したタイミングから、テクノロジー、デザイン、チームでのものづくりといった経験があったため、PMとしてミッションが決まりました。最初はAmebaブログのアプリPMとして様々なレイヤーのメンバーをマネジメントし、エンジニアやデザイナーと共通言語がない中で進めるのは難しかったですが、機能改善やPV向上に取り組みました。
特に2年目以降、データ活用やCRMを組み合わせた施策でDAUを向上させ、全社表彰をいただいたことが大きな転機になりました。そこから新規事業の事業責任者となり、プロダクト開発、マーケティング、P/L管理まで、事業を伸ばすために「何でもする」形で活動しました。最終的には、組織運営にも携わり、5年目にはAmebaLIFE管轄内のジュニアボードに抜擢していただきました。
BaseMeを選んだ三つの観点
Q:サイバーエージェントで活躍された中で、なぜ規模もフェーズも全く異なるスタートアップ、BaseMeへの転職を決断したのでしょうか。
A: ありがとうございます。転職には大きく三つの観点がありました。
一つ目は、「自分軸」、つまり自己成長と思想の一致です。私自身、サイバーエージェントに入って「仕事ってこんなに楽しいんだ」と感じました。また、自分の発信で人の価値観やキャリア感が変わることも経験しました。BaseMeの事業ドメインは、まさに「ワクワクして働ける人が増えると、もっともっと日本の社会が良くなるんじゃないか」という私の原体験や思想と合致していたんです。
二つ目は、「時間軸」です。27歳という年齢で、今後10年、15年のキャリアをどこに投じるのかを考えたとき、「まだまだ解かれていない難易度の高い課題に向き合っていきたい」と思いました。日本の労働人口減少や、長年変わらない就活市場の難しさという、課題の大きさや深さにやりがいを見出しました。
そして、リスクを取るなら今しかない、という考えもありました。BaseMeは社員数15名程度(当時)の小さな組織です。これは「十分な安全網がない環境にあえて飛び込み、そこからいかに自分の力で這い上がっていくか」という、極めてリスクの高いチャレンジです。若いタイミングでこそ、このリスクを取って挑戦すべきだと考えました。
三つ目が、「会社を主語にしたオーナーシップ」です。サイバーエージェントでの経験は非常に貴重でしたが、組織が大きいがゆえに、「会社を主語にしたオーナーシップ」を持ちづらい構造的な部分を感じていました。私はPMだけでなく、経営レイヤーとして会社そのものを大きくすることに貢献したかった。BaseMeでは、「会社を起点に本質的に事業や組織を運営できる」環境でチャレンジしたいと思ったのです。
これら三つの観点が重なり、BaseMeへの参画に至りました。
Q:先ほど言っていた「社会を大きく変えたい」というモチベーションの源泉はどこにあるのでしょうか?
A: 原点にあるのは、幼少期の経験です。そこから強い承認欲求が生まれ、「目立ちたい」「誰かに認められたい」という思いが大きくなったと思います。地道な努力で信頼を勝ち取り、辛い経験から脱却した成功体験によって、「自分自身が努力をし続ければ、周囲に影響を与えられる」という自信がつきました。
次第に、その影響力を、コミュニティレベルから社会レベルへと広げたいという欲求に変わっていきました。カンボジアで、ゴミ山の中を足を傷つけながら、わずかな収入になるものを探し回る子どもたちの姿を目の当たりにしました。その光景を前に、何もできない自分の無力さを痛感すると同時に、「自分自身が成長し、その力を社会に還元したい」という強い動機が芽生えました。
BaseMeで実現したいのは、「自分は何者でもなかったが、情熱を注げば変われる」ということを私自身が証明したように、そういった人たちを増やすための仕組みやプロダクト構造を作ることです。
グローバル市場を獲るための「戦略」と「共創」
Q:BaseMeでのミッションは、キャリア領域でのグローバルNo.1プロダクト開発と、強い組織作りだと伺っています。この大きな目標に対し、CEOの勝見とはどのように連携されているのでしょうか。
A: CEOの勝見は、大胆で壮大なビジョンを掲げ、そこに突っ走るタイプの人間です。彼の印象は、「昭和の経営スタイル」「シリコンバレーの起業家マインド」、そして「Z世代のピュアな素質」の三面性が融合したユニークな人物です。
一方で、私はかなり慎重派で、ネガティブリスクを想定し、準備を入念にする、緻密な戦略を練る思考性があります。
Q:大胆なビジョン(勝見)と、緻密な実行戦略(彦坂)という対照的な強みが補完し合っているのですね。
A: まさにその通りです。勝見が抽象的なビジョンを掲げたとき、私が「緻密な勝てる戦略」を作り、その「山の登り方」を具体的に示します。そして、詳細まで整合性を合わせ、それをチームとして引っ張っていくのが私の役割です。この役割分担がBaseMeの成長を加速させると感じています。
Q:プロダクト開発において、ユーザーとの関わり方で特に意識されていることはありますか?
A: BaseMeでは、ユーザーの解像度を上げるため、開発を「ユーザーとともに作る、共創する」というスタイルをテーマにしています。
従来のユーザーインタビューやフィードバックを得るだけでなく、インターン生を含むユーザーを巻き込み、アイデアを出してもらい、実際に自分たちで欲しいプロダクトを考えてもらう体験を提供しています。毎週のDemoDAYや、ローンチイベントでユーザーにフィードバックをもらう機会も設けています。
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Q:「共創」というアプローチは、日本のtoCプロダクト開発において非常にユニークな試みだと感じますが、これにこだわる理由は何でしょうか。
A: AI技術の発展により、今後はプロダクトの供給量が爆発的に増え、普通のプロダクトはすぐに真似されてしまう時代が来ると予想しています。そうなったとき、ユーザーが何を選ぶかというと、プロダクトへの「愛着」や、それが「どういう思想のもと作られているのか」という点が軸になると考えています。
ユーザーと一緒に作り上げることで、「BaseMeのことを本当に好きなユーザーのコミュニティ」が生まれ、そこからユーザーのリアルな声を吸い上げて改善していくことで、他社が参入できない競争優位性になります。単なる機能だけでなく、「温かみがある」「血が通った」と感じられる、温度感の違うプロダクトを届けたいです。
また、キャリアという複雑な領域の課題を解決するためには、デジタル(プロダクト)の力だけでなく、オフラインでの体験(イベントや職業体験)をデジタルと接続させ、自己理解を深めてもらうことも不可欠だと考えており、その設計にも注力しています。
Q:グローバル開発チームとの連携において、どのようなコミュニケーションを意識されていますか?
A: BaseMeの開発チームはグローバルメンバーが中心で、彼らのテクノロジーのキャッチアップ速度は圧倒的です。特に良いのは、PMが要件を決める前に、エンジニアが「こういうの作りました」と、AIエージェントなどの新しい技術をすぐに試して見せてくれるカルチャーがあることです。この自発的なチャレンジを、私は絶対に潰したくないと考えています。
その上で、グローバルメンバーに戦略を正しく理解してもらうため、Visionや戦略を構造化して、「今やっていることがこの全体像のどこにつながっているのか」を視覚的に分かりやすく丁寧に伝えることを意識しています。これにより、スピード感のある実行が無駄にならないように方向性を定めています。
また、エンジニアをユーザーDemoDAYなどに参加してもらい、ユーザーが実際に触っている状況を見てもらい、ユーザーとの距離を近くする工夫もしています。
求める「次世代の仲間」とは
Q:BaseMeで働く上で、特に重視されるカルチャーや、今後入社してほしいメンバー像についてお聞かせください。
A: まず、BaseMeの根幹にあるカルチャーは、「提案から入るんじゃなくて、実行から入る」という点です。とにかくまず作って試してみる。プロトタイプができてから提案が来る、という順序が当たり前になっています。このスピード感と主体性を持てることは必須です。
さらに、今後のAI時代に成功するために重要なのは、「アート思考」です。誰も真似できない芸術作品のようなプロダクトを作る仲間が必要です。
これは単にユーザーの課題を解決するだけでなく、ユーザーの「細かい使い心地の部分やここを押したらこんな風に返ってくるというUXについて徹底的にこだわれるか」というカルチャーがあってこそアート思考が成り立ってくると思います。
Q:「アート思考」とは、ユーザーに強い情緒的な体験を提供することにもつながりますか?
A: その通りです。本当に私たちが目指しているのは、ユーザーに「BaseMeというプロダクトを使ったことが、自分の人生の原体験になった」と感じてもらうことです。
機能的な価値だけでなく、使っている中での情緒的な体験や、深い思いのある体験を価値として提供できること。
BaseMeは、キャリアの意思決定や価値観の発見に大きく影響を与える、「血の通ったプロダクト」を一緒に作り、社会を変えていける仲間を求めています。この思想に共感し、カオスを楽しみ、実行力のある方と、キャリアの領域でグローバル市場のトップを取っていきたいと考えています。