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「自分がしてきたことを誇れる会社に」これからの社会課題をIoTで解決するベンチャー企業株式会社IoTBank代表・曲亮インタビュー

現場で見つけたビジネスチャンスを逃さず、失敗を恐れず突き進んだ起業時代

ーー株式会社IoTBank創業までのキャリアを教えてください。

大学入学前に中国から群馬県へ来て、大学4年間は経済学を学んでいました。リーマンショックで就職難という時代背景もありますが、もともと「両親にマイホームを買ってあげたい」という想いがあり、稼ぐなら事業家になるしかないとも思っていたので、卒業後は就職せずに、会社を作る準備と何の事業をやるかを研究しながら、時給の良かった秋葉原の家電量販店で携帯販売員のアルバイトをして生活費を稼いでいました。当時はソフトバンクがVodafoneを買収してiPhoneを売り出したばかりで、店頭では、iPhoneが売れていました。売り場でその様子を見ていましたが、iPhoneを買う人は多くても、ケースやケーブルといったアクセサリーの販売業者がすごく少なかった。「これはビジネスチャンスだ」と思い早速、中国のシリコンバレー深センに行って、アクセサリー製作を請け負える工場を探し出し、日本でOEM、ODM事業をスタートしました。それが、IoTBankよりも先に2009年に創業した、フューチャーモデル株式会社という会社創業のきっかけです。

ーー会社はその後、どのように成長していったのでしょうか。

第2期か第3期くらいで売上が1億円を超え、以降売上が倍増して最も売上げた時は約28億円を超えていました。運がよかったこともあるかもしれませんが、モバイルインターネット(スマートフォンの普及)の到来という時代の追い風を受け、急成長を遂げることができました。それから、アクセサリーの製造に関する情報をいち早く得ることができたのが功を奏したのだと思います。当時、日本ではiPhoneの情報を得ることがむずかしい時代でした。ケースを作るにはiPhoneの雛型が必要ですが、その情報が入手できない。その頃、中国は日本よりもiPhoneの情報については得やすい状況だったので、我々の会社が同業他社よりは一歩先に動くことができたんですね。

ーー一部のベンチャー企業が成長を遂げることができる理由について、どうお考えですか。

一番の理由は、これからの社会はどうなるかを常に考え、新しいもの、情報を事細かに収集し、時代の技術革命のチャンスを握ったからだと思います。

ちなみに、以前調べたことがあるのですが、ベンチャー企業の失敗率は約99%だそうです。100社のベンチャー企業の内、だいたいが7~5年以内でつぶれてしまい、残るのは1%未満。なぜ生き残れるのかというと、生き残る会社は他社と違うことを考えて行っていたからではないかと思います。異色なものが運よく一発で当たることは稀ですし、失敗しながらどんどん変えて、成功に近づけていくことが大事なのではないでしょうか。

私が会社を作った時、まわりの友人知人からは「え、会社作るの?大丈夫?」ととても驚かれました。でも、私にとっては、実行しないことの方が怖いんです。何もしなければ、何も起きませんから。リスクは考えなければいけませんが、失敗を恐れずに常にチャレンジしていく方が重要だと思っています。だからこそ、PDCAをまわしたり、逆算したり、脳みそがちぎれるくらい常に考えて、目指すゴールにコミットメントするために走り続けています。

5G到来の時代、IoTビジネスで世の中の課題を解決するためにIoTBankを設立

ーーフューチャーモデルは、スマートフォン、タブレットのアクセサリーや周辺機器の総合商社として現在も事業展開中ですが、2019年に2つ目の会社として創業されたのがIoTBankですね。

今は、ちょうど4Gから5Gへの切り替えの時代です。この切り替えによって私達の暮らしは、劇的に変化します。例えば、5Gなら自動運転やドローンなどの操作がリアルタイムで遅延なくできるといわれています。iPhoneは登場するやいなや、あっという間に普及して私達の暮らしに浸透しましたよね。3Gから4Gに変わった時、急速に私達の生活の方向性が変わりました。この5Gの到来で、同じような革命が再び起きると思っています。

通信の変化は、デバイスにも影響します。5G については、速度が最速の通信とLPWA(Low Power Wide Area)という通信の二極化が注目されています。LPWAは通信速度は遅いのですが、電力消費が少なくバッテリーの持ちがよいというメリットがあります。この通信と新しいデバイスを使ったIoTビジネスで世の中の課題を解決できないかと思ったことが、創業のきっかけです。別会社としたのは、単体事業としてIoTビジネスを専門的にできるようにするための基盤を作りたかったからです。将来はIPOを目指して、時代を先読みした結果、別会社という選択が適していると考えました。

ーー現在、IoTBankではどのようなサービスを展開していますか。

IoTの領域は広範囲に及びますが、弊社では主に位置情報ソリューションとセンサーソリューションの2つのサービスを展開しています。BtoCのサービスとして提供しているのは、子どもとシニア向けの見守りGPS「まもサーチ」です。これからの超高齢化社会において、特にシニアの見守りは大きな課題となってきます。この社会課題をIoTの力で解決ができると信じ、高齢者向けのサービスを開発し、国内で今、様々な実証実験を行っています。

ーーどんな会社づくりを実現されていますか。

IoTBankには、「IoTの力で人々を笑顔に」という理念があります。我々が目指しているのは、単にこれを作れます、あれを作れますというような技術バカではなく、確実に人々の暮らしに役に立つIoTの商品、サービスを提供できる企業です。これからも引き続き、自分だけではなく、自分の子孫でも誇れる事業を展開していきたいと考えています。例えば、見守りサービス事業の製品の一つが、小学校の入学準備品の3種の神器的なものになったりすればいいですよね。「それを我々が作ったんだよ」と胸を張っていえる、そんな社会貢献と自己実現ができる会社づくりをしていきたいと思っています。



何もしないことこそ最大のリスク。経営に必要なのは、常に挑戦し続ける志と姿勢

ーーIoTBankが掲げる経営理念、ビジョンを教えてください。

企業理念は、「IoTの力で人々を笑顔に」というのを掲げています。「IoTの力」というのは、新しい通信(5G、LPWA)、AI、クラウドを活用し、すべてのモノ、人を通信でつながることによって、より円滑なコミュニケーション、もっと高い利便性やコストパフォーマンスを実現すること。そしてその結果、お客様、家族、仲間の幸せや自己実現を叶えるという意味です。

ビジョンは、「人々から必要とされるIoT企業」です。企業にとって、売上の利益やサービス利用者数というのは重視すべき指標ですが、一番大事なことは企業として必要とされているかどうかということだと思います。人の役に立って必要とされる企業を目指していくことが、弊社のビジョンであると考えています。

ーーそうした理念やビジョンを実現するために、どのような経営戦略を進めていますか。

まずは、自社ブランドのIoTデバイス開発と販売の経験実績を基盤に、ニーズに合った商品をスピーディーに開発展開していきます。その上でさらに、ビジネス向け一括管理コンソールの提供や蓄積データ、解析ロジックなどのAPI提供、運用PFビジネスへと事業領域を拡大させ、他の事業者と協業した水平分業から垂直統合へと成長を図りたいと考えています。そして今最終的に目指しているのは、ビックデータを活用した情報プラットフォームへ事業領域を拡大させ、ユーザーに還元していけるビジネスモデルを構築することです。

ーー経営を行う上で、大事にしていることは何ですか。

IoTBankにしかできないことをIoTBankにしかできない方法で行っていくことです。そのためにも、弊社の掲げるクレドの中でも重視しているのは、「挑戦」「逆算」「スピード」「コミットメント」の4つです。

IoTは、スマートアクセサリー事業の何百倍も大きな、将来性のある市場です。参入していくためには、先行者メリットを持つ必要があります。事業をやるなら、何をどういう風に実現するのか。それをまず逆算して考えなければいけません。そのためにも、弊社としては最速でIoT情報、ニーズ、技術をキャッチアップしていくことが重要だと考えています。

弊社は最初にGPS製品を作りました。製作にあたって何が一番難しかったかというと、これまでのノウハウでデバイスは作れても通信に関しては未着手の分野でわからなかったことです。誰がどうやって作れば製品が完成するのか。それこそ挑戦ですよね。常に課題に対する解決策を模索し、高速PDCAをまわして失敗を繰り返しながら進めていきました。

ーー今後の目標を教えてください。

IoT稼働デバイス(LPWA)における日本のNO.1を目指しています。これは、自社やお客様のサービス、ToC、ToBでも、我々と関係のある商品やサービスを利用することで、各業界のお客様がコスト削減、効率向上などを実現できるようにしていきたいと思います。

――どんな人にメンバーになってもらいたいですか。

少子超高齢者社会になっていく中、IoTBankは世の中のニーズをいち早く捉え、「まもサーチ」をはじめとする、2Cと2Bに対応できる見守りIOTサービスを中心に展開していきたいと考えています。そんな方向を目指す我々と同じ志を持って、新しいこと挑戦し、試行錯誤をしながらも最後までやり遂げていける方に、ぜひ仲間になっていただけたらと思います。

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