ブルーモ証券の吉岡です。
元々マッキンゼーで3年ほどコンサルティングを経験した後、ブルーモ証券の立ち上げに参画して早4年が経ちました。
学生、現役のコンサル、そしてコンサルを辞めた人と広く話していく中で、「結局コンサルで働くのってどうだったの?」という話になることがちょいちょいあります。
自分自身あんまりそれを深く考えることはなかったのですが、このタイミングで改めて考えてみました。
はじめに言ってしまうと、「コンサルでの経験はスタートアップで活きるのか」に対する私の答えはYesです。
コンサルティングでの経験は意味がないとか、早く辞めた方がいいとか、いろんなことを言う人がいますが、私からすればコンサルでのキャリアはAIにも負けない、どこでも活躍するために必要な大事なことをたくさん学べていると思っています。
コンサルでキャリアに悩んでいる人や、コンサルに行こうか迷ってる人にぜひ読んでもらえると嬉しいです。
コンサルの経験で学ぶこと
コンサルで実際何を学んだのか?これは多くの意見があります。
数年間コンサルとして学ぶと、(大小はあれど)一定の単位でイシューを整理して、ストーリーラインを書いて、分析・Synthesisをしてパワポに落として、デリバリーすると言う一連の流れが確立されてくると思います。
その過程でロジカルシンキングやエクセルでの分析、スライド作成、そしてプロっぽく話すようなスキルを身につけていくと思うのですが、これらは所詮補助的なものでしかなく、AI時代にこれらのスキルを頼みにするのはキャリアの可能性を大きく狭めてしまいます。
個人的に本当に大事なのは「自分でイシューを見つける(考える)」、「あの手この手で相手を動かす」、そして「正しく無理を効かせる」ことだと思っていますし、これらをAI時代だからこと大切にすべきだと強く主張したいです。
これ自体は本来的にはコンサル固有のものでも何でもないのですが、これをキャリアの初期のうちに短期集中的に積み上げていることこそが大きな価値であり、「究極のジェネラリスト」としてどこでも活躍できる人材になるための大きな資産となっています。
自分でイシューを考える
コンサルで働く時には呼び方はあれど息を吸うようにイシューを起点に仕事をします。特にジュニアのうちはなかなか全体像が見えず、気がついたらタスクをこなすだけになってしまい、「イシューは何?」、「何の課題を解いてるの?」というフィードバックを受けることが多いはずです。
これ自体は安宅和人氏の『イシューから始めよ――知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版)でも書かれているように、知的生産に共通する考え方であるわけですが、こうして書籍になり皆が思わず学びたくなるほど、身につけようと思ってもなかなか身につけられるものではないのだと感じています。
と言うのも、事業会社では日々いろいろな出来事が起き、集中して一つのものに取り組める時間が限られています(実際はマネージャー以上になると似たような感じだとは思いますが)。
朝は次の1年のプランニングをしていたかと思いきやお客さんからの問い合わせのエスカレーションが上がってきて返答をし、その後各種MTGをしてるうちに大量のレビュー依頼が回ってくるのでそれを捌き、時間ができたと思ったら差し込みの案件を振られる、みたいなことが当たり前に起きます。
特にAI時代では一つ一つの検討のサイクルが格段に早くなり、日々頭のスイッチを切り替えながら対応をすることになります。
そのような環境の中では条件反射的に意思決定をすることや脳みそのMPを消費せずにとりあえずタスクをこなすような瞬間が出てきます。こうした日々に初めから入るのと、プロジェクトに集中して一つの大きな問題解決をするのとでは働き方の習慣が変わってくるのだと思っています。
ただ与えられたタスクを実行するのではなくそもそも前提となる課題をしっかりと言語化して関係者と共通認識を持てること、課題を解決するために(ステップバックして)やることを決められること、そして何より日々変化する状況の中で解くべき課題を自分で見つけて解決に向けて動けること、これらを回せることは思った以上に重要だと、私もスタートアップに移ってから強く実感しています。
あの手この手で人を動かすムーブメントを作る
一般的にコンサルは「戦略を綺麗に描いて、会社がその通りに実行していく」仕事だと思われている部分もありますが、ご存知そんな綺麗にいくことはまずないですし、多くの問題解決は「いかにして共通認識を持っててもらい、組織・人を動かすか」になっていると思います。
新規事業をやっていこうとすると「他部署の説得材料が欲しい」と言われたり、営業プロセスの見直しに現場の偉い人が反対をしてたり、またある時はクライアントだけじゃなくてチームメンバーがパフォーマンスに悩んでいたりなど、とにかくいろいろな動きが起こっています。
それらに対して時にはド直球にロジカルに考えをぶつけ、また時には共感したメンバーだけで物事を動かして小さな成功事例を作りにいき、そして時には自分がお手本としてやってみせ、といったことを泥臭くやっていきます。
もちろんこれらも事業会社で起こっていることとそんなに変わらないのですが、クライアント起業の外の立場としてプロジェクトに関わっているからこそ、イシューを起点により幅広い手を考え、実行できているのだと思っています。
正しく無理を効かせる
コンサルでも、スタートアップでも、というかどこに行っても一番頼りになるのは「無理が効く人」だと思っています。
必要だと思えば自分の業務領域を飛び越えて物事を進め、会社・チームとしてやることが変わっても柔軟に対応し、そして本当に必要なことがあれば時には睡眠時間を削って戦うことができる。会社・チームとしてこういう人がいるといないとでは全然違います。
そして、こうした人はコンサルに限らず他の会社にも当然います(うちの会社にもいます)。ただ、やっぱり周りを見渡した時にコンサルで働いていた人達にはそういった人が多く、また無理の効かせ方が健全だと感じています。
「無理の効かせ方が健全」ってなんだ?って言う話ではありますが、無理を効かせるにしてもそのやり方がズレるとただただストレスを抱えるだけになってしまいます。
例えばこんな感じです。
- 全てに対して100%の全力投球をしようとして仕事が終わらずに疲弊したり、また他の人の仕事に納得ができずに不満を覚えてしまう
- イエスマンになってしまい、会社・組織の視点で見た時にこうした方がいいという提案ができず、結果として色々抱え過ぎてしまう
- コミュニケーションを取らずに進めてしまい、やってることは間違ってないのに他の人を困らせてしまう
もちろんコンサルタントの中でもそういう人はいるのですが、イシューを起点に必要なことを考える、80:20で優先順位をつける(手を抜くところを見極める)、必要なことは立場を問わずしっかりと主張することが当たり前な環境で修行を積んでいるからこそ、コンサル出身者の中には無理の効かせ方がうまい人が多いなと思っています。

右から2番目がマッキンゼー時代の吉岡
これがスタートアップにどう活きるのか
コンサルでの仕事は意味ないとか、Unlearnしないとスタートアップではやっていけないと言う人がいますが、私自身は上に書いたようなスキル・経験をうまく活かすことを考えて欲しいと思っている派です。
大前提としてスタートアップも一つの事業会社のあり方なので、根本的にはコンサルが相手にするような大手企業と変わりません。ただ、スタートアップはコンサルや大手企業とは違って持たざるものであることが前提になります。
私が挙げるとするならばそんな中で認識しておくべき違いは会社としての尖り方、スピード感、組織の土台といったところです。
- 会社としての尖り方
- 基本的にスタートアップはこれまでの価値の提供のされ方を変えるところを前提として始まるかと思っています。そのため、今の時点で優れた会社がやっていることに目を向けるよりも、正解のない、他の会社がやっていないようなことを本気でやることが前提になります。そのために新しい市場を作り、時には法規制に対してチャレンジをして、前例のないことをやっていくことで成長を実現します。
- スピード感
- 大手企業の意思決定は個人の感覚として正しさ>>>>>スピードなことが多い中で、スタートアップではスピード>>>>>>正しさです。基本的に正解がわからない中でどれだけ手を打ち、学び、次に繋げられるかが勝負になります。これはただ早く行動するとかそういった話だけではなく、スピードと引き換えに一定程度リスクをとる、またやらないことを決める意思決定をするところだったり、それを前提に社内外の人を動かすことだったり、種々の仕掛けが重要になります。
- 組織の土台
- スタートアップの場合、当然ながら大手企業と比べて人員も少なく、物事の検討を進める人事労務・総務、法務といった人たちもいませんし、人事制度なども存在しないところから始まります。組織の成長に合わせて制度や部署をどう整えていくか、ですら意思決定の一つになるところから始まりますし、社内の前例や知見がないところからそれらを考えていくことになります。
こうした環境の違いがある中で、冒頭に述べたようにちょっとロジカルにものごとを考えられるとか、小綺麗なパワポを作れるとか、そういったことは重要ではありません。
ただ、一歩抽象化した時に「起こってる課題を見極めること」、「正解が見えない中でも仮説を持って前に推し進めること」、「必要なものをやり切ること」こそがスタートアップで求められる事業推進の土台になっていると感じています。
実際、最近ファームをやめてスタートアップに移った人たちと話してた時に、「今の方が自由だよね」と言う話をしていました。上に述べたようなスタートアップの環境は、裏を返せば必要であればなんでもやっていいし、自分の思う形で組織を作っていけるし、前例のないことにも果敢にチャレンジしていいという、ファームでの学びを自由に活かせる場になっているのだと思っています。
とはいえ、スタートアップで成果を出すために必要なこと
そうはいっても、ファームで学んだ後でも、当然スタートアップに順応していく必要があります。
自分の経験も踏まえて言うと、当たり前だと思っている基準は全くもって当たり前ではなく、賢いThinkerから不器用なDoerになる必要があります。
- 共通言語・様式を作るところから始まる
- まず、これはスタートアップに限らずですが、イシューベースで考えるとか、クライアントファーストとか、ファームでは当たり前とされていた共通言語、価値観がスタートアップに移るとなくなります。そのため、最初はその共通言語・様式を作るところ、また自分を合わせるところから始まります。私自身も日々動いてる中で半分くらいは会社としての行動様式をいかに引き上げるか、いかにしてそれを組織の血肉にするかを考えています。これまでの考え方を半分はリセットしつつ、もう半分はどうやって基準を上げるためにこれまでの働き方を落とし込み、実践するかが重要になります
- 異なるモチベーションの源泉を理解する
- 自分の感覚としてコンサルタントは「自分自身が成長したい」という多いと思っています。そういう人が多いからこそフィードバック自体がカルチャーになっていると思いますが、外に出てみるとそれらは全然普通ではないということを認識する必要があります。(良い意味で)良いプロダクトを作ることとか、事業をとにかく成長させたいとか、モチベーションは様々です。もちろん、採用を通じてそういった人を採用していくことがとても重要なのですが、さまざまなバックグランドの人が活躍できるように仕事の振り出しやフィードバックを合わせていく必要があります。
- 不確実な中でもまずやる、大事なところは外さないけど小さくミスを重ねる
- 先にも述べた通りスピード>>>>>>>正しさです。
そして、プロジェクトをひとつこなすのとは異なり、日々活動してる中でさまざまな課題・業務が舞い込んでくる、社内外にしっかりとした情報ソースもないという圧倒的ハードモードです。そんな中でもスピードを出すためには考えるよりもまず行動する必要があるし、行動をして小さく失敗して、学んでいくのが何よりも重要です。材料が揃ってない中で行動をする、前例がないことをそれでもやることには気持ち悪さを感じることもあるとは思いますが、それでもやらないと置いてかれてしまいます。
- 先にも述べた通りスピード>>>>>>>正しさです。
細かいことを言うとまだまだたくさんあるのですが、この3つをしっかりとわかっておくことが重要ですし、上にも述べたように何よりコンサルを経験していることの強みはとてつもないので、それを理解しておけるかが大事だと思っています。

ブルー証券で活躍するメンバーたち
コンサルキャリアを考えてる人、現役の人へのメッセージ
最近は起業・スタートアップを意識してコンサルで働く人も少なくないと思います。
また、なんとなくそれらの興味はあるものの、「コミットできるかわからない」と言う感覚で一歩を踏み出すのに躊躇している人もよく見かけます。
ここまでにも述べたように、コンサルでの経験は皆さんが思っている以上に貴重ですし、思ってる以上に強いです。
そして、少し矛盾はしますが、大手企業の経営企画やファンドといったポストコンサルのキャリアがある中でスタートアップへのキャリアは早くから開かれてるとも思っています。
この記事を読んでブルーモ証券でのキャリアを考えてくれる人がいれば嬉しいですが、少しでもファーム外の機会やスタートアップでのキャリアがいればぜひ話しましょう。
コンサルに残ってさらに上を目指すも良し、いますぐスタートアップに移るもよし、ファンドなどにいくもよしですが、私自身コンサルの経験でたくさん学んできた中で、少しでも皆さんの役に立ちたいと思っています。
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