日頃、部屋の中で仕事をしていると季節感に疎くなりがちです。まして通勤のないテレワークだとなお更に、季節感どころか温度感も乏しくなりやがて自然の変化すら関知しなくなります。果たしてこれは人として健全と言えるのか?と問われると「否」だと考えています。
家にずっと居ると動く範囲が狭まり運動量も減ることで肥満傾向となる。そして心身の健康に悪影響が出ることにつながるというシンプルな話です。なのでフルテレワークを続ける当社でも声を大にして「とにかく外へ出よう」「自宅最寄りのコワーキングにも積極的に出向こう」と促すもテレワークに慣れた社員の腰は重く、この施策は今一つ有効化しません。
※テレワーク卒業すりゃいいじゃん、という話はもっともかもですが、この話はまた別の機会に。
仕事は、業務効率を上げ生産性を上げなければなりません。ゆえに判断や意思決定も、論理性や有効性或いは経済的合理性を基準にし「どう感じるか」といった自分の感覚は排除する傾向にあります。しかしこの合理性追求の果てに自身の体調を崩す可能性が待っています。テレワークに寄りすぎると身体に不調を来すのもこの例です。これは「仕事をしたい人」にとっても本末転倒な末路と言わざるを得ません。
私が若いころに熱中して読んだ、吉川英治氏の小説「宮本武蔵」のこんなシーンを思い出しました。小説なので基本「創作世界」ではあるのですが、とても示唆に富む良いエピソードと思いご紹介します。武蔵が自身の畏敬する柳生石舟斎に試合を挑んだ際、気負けし身動きひとつ出来ず、道場の床に無様に転がされたことがありました。試合後、内省と自責に苦しむ武蔵に対し石舟斎が放った言葉が
「今日この場に来るまでに、そして試合の最中、貴殿は、鳥の声、風の音、水の音をきいたか?」「剣の腕ばかりを磨いても、その道は究められないことを知った方が良い」でした。
自分は人であることを忘れないようにしたいと思います。
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