こんにちは、リアルアキバ・コミュニケーションズの倉光です。
エンタメの現場の「裏側」を覗くこの連載、第3回のテーマは 「企画書」 です。
Vol.02では「アイデアの探し方」を聞きましたが、どんなに面白いアイデアも、企画書で伝わらなければいけません。
私が「企画書の一枚目を書く前に、何を考えているのか」をお話しします。
企画書は「読み物」じゃなくて「動かす道具」
企画書を書き始める前、最初に何を考えるか
まず一つだけ自問します。「この資料は、誰の、どの決断を動かすためのものか?」です。
企画書って「企画の説明書」だと思われがちなんですが、僕の定義は違っていて。企画書は読んだ人が次の行動を起こすための道具なんです。上司の「GO」かもしれないし、取引先の「予算を出す」かもしれないし、クリエイターさんの「この案件、受けたい」かもしれない。
動かしたい相手と決断が決まっていない企画書は、どれだけデザインが綺麗でも、ただの感想文になります。僕自身、20代前半は「自分の熱量を全部載せた分厚い資料」を作っては撃沈していました。今思えば当然で、あれは相手のための資料じゃなくて、自分が安心するための資料だったんですよね。
相手の頭の中に「先回り」する
「誰を動かすか」が決まったら
倉光:相手の頭の中で鳴っている「3つの音」を想像します。
1つ目は「不安」。 この企画、コケたらどうなる? 前例は? リスクは誰が持つ?
2つ目は「コスト」。 いくらかかって、いくら返ってくる? 数字の根拠は?
3つ目は「ワクワク」。 で、これって面白いの? 自分が関わりたくなる何かがある?
決裁者ならコストと不安がウェイトを占めるし、クリエイターさんならワクワクが鳴っていないと始まらない。同じ企画でも、渡す相手によって企画書は別物になるんです。うちの案件だと、版元さんに出す資料とお店に出す資料では、同じグッズ企画でもページの順番から変えます。
企画書で一番大事なのは実は「情報の順番」だと思ってます。相手が一番気にしていることを、1ページ目の一番上に置く。逆に、自分が一番語りたいことは、たいてい後ろ。
エンタメの企画書って情熱で押し切るイメージがあるかもしれませんが、実際は相手への想像力の勝負です。これ、接客とかファンサービスと同じ構造なんですよね。エンタメが好きな人ほど、本当は上手いはずなんです。
「一行で言えるか」テスト
書き始めてからのコツ
書く前に必ずやるのが「一行テスト」です。企画の中身を、相手の得になる形で一行で言えるか。
例えばですが「レトロアニメ調の新グッズ企画です」はダメな一行。「〇〇好きの30代が思わず手に取る、他店にないコーナーを実現」なら動く一行。主語が自分の企画じゃなくて、相手のメリットになっているかどうかが分かれ目です。
一行で言えないうちに資料を作り始めると、ページ数だけが増えていく。逆に一行が決まれば、あとはその一行を証明する材料を並べるだけなので、企画書は勝手に薄く、強くなります。
薄くて強い
分厚い企画書は、考え切れていないことの裏返しですから。悩んだら削る。削って不安になった部分こそ、口頭で語ればいい。企画書が7割、残りの3割は自分の言葉で埋めるくらいが、実はちょうど良いと思ってますが、私は5割5割だったり、その時々で切り替えてます。
おわりに——企画書の先にあるもの
結局、企画書づくりで鍛えられるのは「相手の立場で考える力」なんです。そしてこれは、ファンに届くコンテンツを作る力と完全に地続きです。誰かを動かす練習を毎日できる仕事って、実はそんなに多くない。
RACZの現場では、若手でも企画書を書くチャンスがどんどん回ってきます。最初は拙くていい。「誰を動かしたいか」から一緒に考えるところから始めましょう。
この記事を読んで「自分の一行を試してみたい」と思った方——その気持ちが、もう企画書の1ページ目です。ぜひ一度、話を聞きに来てください。
次回 Vol.04 もお楽しみに。