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▶目次
⑴タクシー会社の後継者から、”Saas×移動”スタートアップの代表へ。
⑵AI技術の活用で地方の移動課題に正面から挑む。
⑶テクノロジーで切り開く、これまでにない新しい移動の形。
「人の移動は経済の血流です」
タクシー会社の後継者として期待されながらも、あえてコンサルタントの道を選んだ理由。そして、その経験を活かしながら、テクノロジーで地方の移動課題を解決しようと立ち上がったREA。AIを活用した次世代の配車プラットフォームの開発を進め、スタートアップとして急成長を遂げる同社で、創業者の坂田敬次郎氏に、地方×テクノロジーで実現を目指す新しいモビリティの未来についてお話を伺いました。
タクシー会社の後継者から、”Saas×移動”スタートアップの代表へ。
まずはじめに自己紹介をお願いいたします。
坂田:株式会社REAの代表取締役社長を務めております、坂田と申します。
出身は福岡県の北九州市で、17歳の時に日本の高校を中退してイギリスに留学しました。イギリスで高校を卒業後、日本に戻って大学に進学。大学卒業後は、船井総合研究所というコンサルティング会社に新卒で入社しました。
実は、私の実家は地方でタクシー会社を経営しており、母が社長を務めています。特に親からの直接的な要請はありませんでしたが、幼い頃から家庭内で事業についての会話に触れる機会が多く、自然と将来は家業に関わることになるのではないかという意識がありました。
そこで、将来の経営者としての視座を養うため、コンサルタントという道を選びました。特に船井総合研究所を選んだ理由は、大手企業ではなく地方の中小企業向けのコンサルティングに強みを持っていたからです。入社1、2年目の頃、当時の上司から「交通部門を担当してみないか」というオファーをいただきました。
そうなのですね!オファーはどのようにご回答されたのでしょうか?
坂田:実は最初は断ったんです。
「実家がタクシー会社なので、いずれは携わることになります。その前にもっと様々な業界を見てみたいんです」と。しかし、上司からの強い推薦もあり、結果的に交通部門での仕事を担当することになりました。その時の経験は今でも活きていて、当時のクライアントとは現在も取引があり、システム提供などの事業展開にもつながっています。
船井総研では管理職としてキャリアを重ねていきましたが、このままストレートに家業に戻ることに物足りなさも感じていました。そんな時、知人からリヴァンプ(コンサル系ファンド)へのお誘いをいただきました。そこでは、それまでとは異なり、大手金融機関やキャリア関連企業など、より大規模な案件に約3年間携わらせていただきました。
ただ、次第に「そろそろ実家に戻るべきではないか」という思いが強くなってきました。転機となったのは2016年から2017年頃。夏休みに地元に戻った際、中学時代の友人と飲む機会があったんです。その時に「早く戻ってこいよ」と言ってくれた友人が、実は現在のREAのCTOなんです。その言葉がきっかけとなって、家業のタクシー会社に戻る決意を固めました。
母親に決意を伝えてからは、毎月のように地元に戻って事業に関わるようになりました。その過程で、都市部の企業と地方の事業者との間にある大きな違いに気づかされました。特に、業務ツールや社内のコミュニケーション方法など、日常的な業務運営の面で大きな差があったんです。
それまでは単に「実家に帰省する」という感覚でしたが、ビジネスの視点で地元を見るようになると、様々な変化が目に入ってきました。例えば、以前あったセブンイレブンが介護施設に変わっていたり...。まさに地方の高齢化を目の当たりにする中で、「このままの形では事業を継続していくのは難しいのではないか」という危機感を抱くようになりました。
AI技術の活用で地方の移動課題に正面から挑む。
坂田:当時、従来のタクシー事業だけでは継続が難しいと感じ、収益モデルの転換が必要だと考えていましたが、特に大きな課題だったのが、業務のデジタル化の遅れです。
具体的にはどのような状況だったのでしょうか?
坂田:従業員にパソコンが支給されていない、やり取りがFAXベースである等、想像以上にアナログな環境でした。これには本当にカルチャーショックを受けましたね。
実は、弊社のタクシー事業では自治体からの委託事業が多かったんです。路線バスの撤退が進む中、公共交通機関として乗り合いタクシーを運行する業務を請け負っていました。しかし、その運営方法が大きな課題でした。例えば、4人のお客様を乗せる際の経路設定は、全てコールセンターのスタッフが手作業で行い、それを紙に書いて各営業所にFAXで送信。運行管理者が確認し、ドライバーは紙の指示書と地図を照らし合わせながら運行する...。この非効率な業務フローのために、通常のタクシー予約の電話にも対応できなくなるという悪循環に陥っていました。
さらに、船井総研時代から常々感じていたのが、タクシーの料金の高さです。例えば1,000円の乗車料金を2人で500円ずつシェアするような、より手軽に利用できるサービスができないかと考えていました。
そんな中、乗り合いタクシーの需要が各地方自治体で高まっていることもあり、これをシステム化できれば大きな可能性があると考えました。従来の個人向けタクシーサービスと、乗り合いタクシーの両方に対応できるシステムは、まだ市場に存在していなかったんです。このように、マーケットの拡大が見込める中で、私たちは単にタクシー事業で収益を上げるのではなく、自社で培ったノウハウをシステム化して横展開できる新しいITビジネスの可能性を見出しました。これがREAを創業した主な理由です。
なるほど。その後、創業からサービスのリリースまではどのような過程だったのでしょうか?
坂田:2018年に会社登記を行い、実質的な事業開始は2019年からでした。最初は既存システムとの連携や一部機能の活用から始めて、実証実験を重ねていきました。その過程で手応えを感じ、本格的な開発に着手しました。
開発したベータ版は、まず実家のタクシー会社でテストを行い、約1年半かけてフィードバックを収集しながら改良を重ねていきました。その際、山口市をはじめとする地元自治体から強い支援をいただき、市内の他のタクシー会社への展開機会も得ることができました。
これが自社グループ外への初めての提供となり、そこでの成果を踏まえて、2022年から2023年にかけて本格的な営業展開と販売エリアの拡大を進めてきました。
そして、これからさらなる拡大を目指していくということですね。次に、御社のミッションについて、その背景も含めてお聞かせいただけますでしょうか?
坂田:私たちのミッションは「デジタル技術で人々の移動を豊かにする」です。このミッションには深い思いが込められています。私たちは、人々の幸福度と移動には強い相関関係があると考えています。移動が制限されると、人は活動範囲が狭まり、生活の質が低下していきます。
私はよく「人の移動は経済の血流である」と表現しています。人々の移動が活発になればなるほど、街の中で新たな消費活動が生まれ、経済が活性化していくんです。特に地方において、この「移動」は経済活動と密接に結びついています。
ビジョンについても詳しくお聞かせいただけますでしょうか?
坂田:私たちのビジョンは「社会になくてはならない、最も必要とされるモビリティカンパニーになること」です。
これは先ほどお話しした「全ての人の移動を豊かにする」というミッションとも深く結びついています。例えば、REAのシステムがあることで初めて移動が確保できる、という状況を作っていきたいと考えています。特に地方では、自家用車がないと生活できないという現実があります。自家用車を運転できない方々は、必然的に交通弱者となってしまいます。
私たちは、そういった方々が自家用車を持っていなくても、運転できなくても、日常的に必要な移動ができる環境を創出したい。結果として「REAがなければ、今の生活は成り立たない」と言っていただけるような、そんな必要不可欠な存在になることを目指しています。
テクノロジーで切り開く、これまでにない新しい移動の形。
それでは、改めて事業内容について、詳しく教えていただけますでしょうか?
坂田:私たちの事業は大きく2つの柱があります。
1つ目は、運行会社向けのシステム「Noruuu-Ride(ノルーライド)」の提供です。タクシー会社や運転代行会社が、自社オリジナルのLINEアカウントやアプリケーションを通じて配車サービスを提供できるシステムです。
地方では現在でも配車の約7割が電話での注文です。これは24時間体制のコールセンター維持が必要となり、人件費の面で大きな負担となっています。特に深夜帯の人材確保が困難で、結果的に夜間営業を断念するタクシー会社が増えているのですが、Noruuu-Rideを導入することで、配車室の負担軽減や顧客満足度の向上につなげることができます。
2つ目の柱は、クラウド型AI乗合配車システム「Noruuu-Sharing(ノルーシェアリング)」です。このシステムの特徴は、AIによるルーティング計算機能です。複数の乗客の乗車順序や最適なルートを自動で算出します。地方の高齢者など、デジタルツールに不慣れな方々のために、電話での注文にも対応しています。
タクシーなどに簡単に導入・設置をすることができ、利用者の移動の利便性を向上させるとともに、効率的な配車が可能になります。
ありがとうございます。次に御社の組織体制についてお聞きしたいのですが、現在どのような人材を求めていらっしゃるのでしょうか?
坂田:もちろんITスキルや経験は重要なのですが、最も私達が求めているのは「地方の課題を肌感覚で理解できる方」です。
実際の現場は想像以上に泥臭いものです。例えば、地方のタクシー会社さんは、ITツールにあまり馴染みがありません。「これは知っているでしょう」という前提が全く通用しない。このような状況で、「じゃあ無理だ」と諦めるのではなく、真摯に向き合える人材が必要なんです。
今後の展望について、どのようにお考えでしょうか?
坂田:現在はソフトウェア提供が中心ですが、タクシーに限らず、一般的な送迎や物流も含めた、あらゆる「移動」に関わる統合的なプラットフォームを目指しています。
また、将来的にはエンドユーザー向けの移動サービスも展開していきたいと考えています。
そして、もう一つ重要な使命があります。それは地方の中小企業や従業員の方々の生産性向上です。現在、多くのITソフトウェアは都市部の企業やエンタープライズをメインターゲットとしています。地方は商圏が小さいために避けられがちで、結果として都市部と地方の生産性格差はどんどん広がっているんです。
しかし、日本の国土面積も人口も、実は地方の方が大きな割合を占めています。この地方を活性化させなければ、国としての発展はありません。移動による消費活性化はもちろんですが、地方で働く方々の生産性向上も重要な課題です。
生産性格差は所得格差を生み、それは次世代の教育格差にもつながっていきます。都市部と地方部のギャップは、放置すればますます広がるばかり。これはビジネス的には非常に難しい挑戦かもしれません。でも、この課題に向き合わなければ、日本という国は確実に衰退していくと考えています。
そのため、私たちREAは、今後もソフトウェアを通じてこの課題を解決し、地方の可能性を高めていきたいと考えています。
本日はありがとうございました!
坂田:こちらこそありがとうございました!
地方の移動課題に、テクノロジーで真正面から挑むREA。
タクシー配車のSaaSから始まり、AIを活用した配車プラットフォーム、そして将来的にはエンドユーザー向けサービスまで。「移動」という普遍的な課題に、テクノロジーで新しい解決策を提示し続ける同社。
経験豊富なエンジニアはもちろん、地方のお客様に寄り添えるカスタマーサクセス、地方の課題をビジネスで解決する営業、そして各職種での若手の方まで、幅広い仲間を募集しています。
泥臭い現場で、しかし確かな手応えとともに、新しいモビリティの価値を創造していく。技術とビジネス、両輪で地方の未来を変えていきませんか?
皆様からの沢山のご応募をお待ちしております!