EDEYANS が提供する客室清掃 DX プラットフォーム「Jtas」AI 忘れ物管理機能の "忘れ物登録件数" が累計100万件を突破しました。

ホテル客室清掃管理システム「Jtas」のAI忘れ物管理機能、忘れ物の登録数が累計100万件を突破
この大きな実績の裏側には、プロダクトリードとして開発を率いてきた西尾さんの存在があります。
その誕生と進化のプロセスは、驚くほど泥臭く、そして本質的な問いの連続でした。仕様書通りに作るだけの開発に物足りなさを感じているエンジニアへ向けて、圧倒的な裁量と顧客目線が息づく EDEYANS での開発の面白さを、西尾さんへのインタビューを通じて紐解きます。
目次
ホテルの忘れ物データをここまで可視化したのは世界初。プロダクトリードが仕掛ける機能の全貌
ーー AI 忘れ物管理機能とは、どのようなシステムですか?
「Jtas」のプロダクトの一つとして提供されている、ホテルの施設内で出た忘れ物を一元管理する機能です。
客室や共用部の忘れ物を写真撮影すると、AI が物品名やカテゴリを自動判別して「Jtas」に登録します。物品の管理だけでなく、ゲストからのお問い合わせ管理や返却時の電子署名など、忘れ物がゲストに返却されるまでのオペレーションまでカバーしています。
ーー いつ頃ローンチされた機能なのですか?
2024年8月1日にローンチしました。
私が EDEYANS に入社して2年弱になりますが、そのタイミングでプロダクトリード制度ができ、最初に手がけたのがこのプロダクトでした。

ーー 1日にどれくらいの忘れ物が登録されているのでしょうか。
平日はおよそ3,500件。
土日だと4,500件弱です。
ーー 2024年8月1日のローンチから考えると、約1年10ヶ月で100万件突破(※)ということになりますが、ホテルにはそんなに大量の忘れ物があるんですね。
私も驚きました。
ホテルの忘れ物の数をここまでデータ化したのは、きっと世界でも初めてじゃないかと思います。
※2024年8月のローンチから2026年5月時点までの期間
登録して終わりではない。複雑な後続業務の分岐と、現場が必要とする「検索せずに見つける」UI 設計
ーー なぜ、このプロダクトを開発しようと考えたのですか?
現場では主に客室清掃スタッフが忘れ物を発見すると、いつ・誰が・どこで・何を見つけたかを紙に書き、物品とその紙を一緒にビニール袋に入れ、ホテルに引き渡します。ホテルスタッフは受け取った物品と紙を PMS(ホテル管理システム)に記録されているゲスト情報やチェックアウト状況と手作業で照合する、というアナログな作業が大きな負担になっていました。
この不便を解消したいという要望が最初の開発のきっかけです。
そこへ当時高い精度で画像解析できる GPT-4o が登場したことも重なり、開発に踏み切りました。
ーー 最初は「10時間ほどで作れる機能」と見積もっていたそうですね。
はい。当時は忘れ物の写真を撮影し、AI 解析して終わるようなミニマムな機能の想定でした。 ですが、いざ現場で運用してもらうと、負担の本質が「忘れ物を登録する」プロセスだけではないことが見えてきたんです。
ゲストへの返却や廃棄、警察署への提出など、負担が大きいのは、「忘れ物管理」全体だったのです。
これまで現場が別々のアナログな方法で処理していた返却や管理のオペレーションなど、システムで解決すべき深い課題がどんどん見つかり、開発の領域が一気に広がっていきました。

ーー 「システムで解決すべき深い課題」とは、具体的にどのようなものだったのですか?
業務プロセスに多くの分岐があったんです。
例えば、ゲスト(宿泊客)への返却時における署名の手続きや、物品の種類ごとに異なる保管期間、発見後の時間経過ごとによる保管場所の違いなど、現場のオペレーションは非常に複雑です。
財布などの貴重品に関しては法律で定められた期間内に持ち主からの引き取りがない場合、警察へ提出する必要があります。その際に警察に提出すべきデータについても、自治体によって "フォーマット" や "提出方法" が異なるのですが、それぞれの標準仕様に合わせてデータ出力できるよう細かく作り込んでいます。
こうした幅広い課題を、最小限の機能からスタートして、後続のプロセスまでシステムでカバーしていきました。
ーー 現場のホテルスタッフからは、どのような要望が上がってくるのでしょうか。
例えば、「キーワードを入れて、もっと楽に忘れ物を検索できるようにしてほしい」といった要望がありました。
ですが、私はそもそも「本質的にユーザーが解決したい課題や悩み事は何か」を考えるようにしています。ホテルスタッフの本当の目的は、キーワードを入力して検索するという作業をすることではなく、目の前のゲストに対して忘れ物の有無を「瞬時に特定すること」のはずです。
忘れ物の問い合わせはチェックアウト当日に集中するため、わざわざキーワードを細かく入力して探してもらうよりも、その日「Jtas」に登録された忘れ物を一覧画像でパッと見られた方が圧倒的に早いんです。そのため、最終的にはキーワード検索ではなく、画像を一覧で表示する仕様にしました。
100万件の軌跡を「特等席」で見届ける。泥臭く現場に入り込み、一気通貫でプロダクトを育てる手応え
ーー EDEYANS におけるプロダクトリードは、要件定義から実装までを一人で担う役割ですね。手応えはいかがですか。
「こういうものが必要ではないか」という、まだアイデアのタネレベルの構想段階から、現場へのヒアリング、要件定義、デザイナーとの UI の詰め、実装、リリース、その後の検証にいたる全てのパスを、自ら主導して完結させられる点に大きな手応えを感じています。
開発部長や PdM、CS と適切に連携を取りつつも、自分が仕様の決定から実装までを一気通貫で手がけられるため、不要なコミュニケーションロスがありません。
そうして責任を持って作り上げたプロダクトが、自社で行った顧客に対する満足度アンケートでも「忘れ物管理機能」がユーザーに高く支持され、登録件数が累計100万件を突破するまでの軌跡をゼロの段階から特等席で見届けることができました。
自分自身が仕掛けた仕組みが毎日現場を動かしているデータを見るのは、純粋に嬉しいですね。

ーー プロダクトリードとして、一機能の開発を一人で背負うプレッシャーはないのでしょうか?
それが、プレッシャーは驚くほど感じていないんです(笑)
私自身がもともと楽観的な性格というのもありますが、それ以上に「とりあえず形にして出し、ダメなら作り替えればいい」というマインドで、とにかく前に進める推進力を意識しているからだと思います。
実際、AI 忘れ物機能も最初に作ったものからは原型を留めないほど作り変わっており、すでに二度作り変えを経験しています。ちょうどこれから、顧客増加に伴う課題や新たなオペレーションに合わせて3回目となる大規模なアップデートに入るところですが、このスピーディーな判断もすべて自分自身で行っています。
こうした判断を迷いなくできるのも、EDEYANS が客室清掃事業を自社で展開しており、かつ「現場主義を徹底している会社」だからです。
社内にはどの職種も「現場に行くのが当然」というカルチャーが根づいています。私自身もホテルの現場へ赴き、スタッフの方々と一緒に業務に入りながら泥臭く開発を回してきました。ここまで深く現場に入り込み、ユーザーの本当の痛みを肌で感じながら開発をリードできる環境は本当に珍しいですし、だからこそ迷わずに突き進めるんだと思います。
目指すは日本一。「本当に良いプロダクト」を日本全国へ普及させることが、最高の証明になる
ーー 直近の開発の展望として、新機能などの構想があればぜひ教えてください。
これからのホテルでの忘れ物対応を劇的に変えるような、「AI を使った自動マッチング機能」を計画しています。(※2026年7月にリリース済み)
「Jtas」に登録すれば、ゲストから忘れ物の問い合わせがあった際に AI がどの問い合わせにマッチする物品か自動検知する仕組みです。
「お探しのものはこれではないか」とホテル側に提案してくれるため、過去にあった問い合わせを遡って検索する手間が省けますし、なによりゲストに対して「見つかりました」と迅速にご案内できるようになります。
ーー そうした新しい価値を積み重ねた先で、西尾さんが見据えている未来は何ですか?
将来的には日本全国どこのホテルに行っても当たり前に「Jtas」が使われている状態を作り、日本一を獲ることを目標にしています。
本当に良いプロダクトだからこそ日本一になれると信じていますし、日本全国へ普及することこそが、最高のプロダクトを作っている何よりの証明になると自負しています。
これからも仕様書通りに作るだけでなく、ユーザーが「本当に困っている根本原因」をどこまでも突き詰め、プロダクトの力で市場を獲得し、ホテルで働く方々の負担を少しでも減らしていきたいです。
取材企画・協力 / 世界線株式会社