客室清掃はプロフェッショナルな仕事。インドネシアからの採用と本気の入社前研修。業界の常識を覆して挑む、「世界最高のチームづくり」
ホテルの客室清掃スタッフといえば、一般的に「アルバイト採用」が中心であり、人の入れ替わりの激しい職種。
しかし EDEYANS では、彼らを特定技能の資格を持つ「社員」として雇用。来日前にインドネシア現地で4ヶ月間にも及ぶ独自の育成期間を設け、独自のプロフェッショナル=「ルームマイスター」と定義しています。
なぜ、社員として雇用し、コストと時間をかけて、未経験から外国人材を育てるのか?なぜ、代表自らが現地へ飛び、ウェットなコミュニケーションを重ねるのか?
その根底にあるのは「世界最高の清掃会社になる」という揺るぎない意志です。
既存の清掃スタッフの枠を超え、国境を越えたワンチームでホテルの価値を高める。今回は、代表の片山と現地研修の指揮を執る人事の津幡にルームマイスターのチームづくりの舞台裏を聞きました。
目次
「生え抜き」を育てる。現地採用にこだわる理由
入社前に4ヶ月研修。「待機期間」を「黄金の育成期間」に変える
想定外の「グッドサプライズ」。ルームマイスターの行動が示した育成の成果
「世界最高の清掃会社」になるための、次なる一手
「生え抜き」を育てる。現地採用にこだわる理由
―― まず単刀直入にお聞きします。なぜ EDEYANS は、日本国内にいる経験者(転職者の採用)ではなく、わざわざインドネシア現地での採用にこだわっているのでしょうか?
津幡(人事):
理由は「EDEYANS の大切にするカルチャー」と「高い基準」をまっさらな状態で吸収してほしいからです。
経験者採用は即戦力ではあるものの、どうしても以前働いていた会社のやり方が染み付いています。「前の会社ではこうだった」「一般的に客室清掃はこういうもの」という固定概念があると、EDEYANS が目指す高い清掃品質基準や、新しいツールの導入に対してハードルが生まれてしまうんです。
片山(代表):
目の前の利益を取りにいくことだけが目的なのであれば、即戦力人材を採用すればいい。
けれど、私たちはそこを目標にしていません。
客室清掃は、ホテルの価値を左右するプロフェッショナルな仕事です。EDEYANS はこれをホスピタリティサービスとして誇り高い仕事に変えたいという信念があります。ただこの想いを掲げるだけで終わらせず、自分たちが「世界最高の清掃会社」になることで証明したい。そのためには、私たち EDEYANS の信念や哲学に共感してくれた人を集め、本気で育成をしないといけないと考えています。
そのため、インドネシア現地での採用は必然の判断でした。
―― 「世界最高の清掃会社」を目指す上で、現地ではどんな人を採用したいと考えていますか?
片山:
私たちは "清掃をする人" を採用するのではなく、"ゲストの満足度を上げられる人" を採用しようとしています。
そのために何が大切なのか。社内ではチャーミングと表現しますが愛嬌の部分だったり、気配りができそうかだったりその人の人間性を大切にしています。オンラインやエージェント任せでそれがわかるはずがありません。
入社前に4ヶ月研修。「待機期間」を「黄金の育成期間」に変える
―― 採用が決まった後、日本に来るまでに4ヶ月間の研修があると聞きました。これは業界では一般的なのでしょうか?
片山:
いえ、他社ではまずやっていないと思います。
通常、在留資格が許可されるまでの数ヶ月間は、企業にとっては単なる「待機期間(デッドタイム)」です。その間、内定者を放置してしまう企業も少なくありません。
でも私たちは、その期間こそが EDEYANS の思想・哲学や技術を注入する「ゴールデンタイム」だと捉えています。私たちはコストとリソースを「先出し」して、プロフェッショナルとしての土台を作っているんです。
―― 具体的にどのような4ヶ月間の研修を行っているのですか?
津幡:
最初の1ヶ月目は日本語教育に加え、私たちが現地へ足を運び、直接指導する「EDEYANS 研修」を行います。この研修では、ミッション・ビジョン・バリューといった EDEYANS の思想を共有するだけでなく、ホテルで働くうえで欠かせない接遇マナーや安全・衛生に関する考え方、さらには清掃の基本実技まで含め、幅広い内容を体系的に学びます。
単に作業を覚えるのではなく、「なぜその行動が求められるのか」という背景から理解したうえで現場に立ってもらうこと。それが、私たちがこの1ヶ月間をかけて行っている EDEYANS 研修の目的です。
2ヶ月目は現地の提携ホテルでインターンシップを行い、実際の現場でベッドメイクなども学びながら、実践的に働く経験を積んでもらいます。
そして残りの2ヶ月で、高度な日本語と日本のビジネスマナーを仕上げていく、という流れです。
―― 清掃の実技から入るのではなく、あえてミッションやビジョンの話から始めていますよね。
津幡:
日本へやってくる彼らの多くは社会人経験が浅かったり、母国での仕事の基準が、日本のサービス業とは異なっていたりします。働く文化や考え方の違いは、当然あります。
ただ、私たちはその違いを、文化が違うから仕方ないとそのままにすることはしません。
日本で働く道を選んだ以上、世界でも高い水準を誇る “日本のクオリティ” を身につけてほしい。そして、私たちのチームの一員として、お客様を心から感動させるサービスを提供してほしいと考えています。
技術だけを教えれば、作業はこなせるようになります。
しかし、「誰のために、何のために働くのか」という思想が伴って初めて、マニュアルを超えたプロの仕事が生まれる。
だからこそ私たちは、「なぜこの挨拶が必要なのか?」「なぜこの少しの汚れも許されないのか?」といった行動の背景にあるミッション・ビジョン・バリューを、最初に時間をかけて共有しています。
また、仕事だけでなく、日本で生活するうえでのルールやマナーまで含めて伝えることも、受け入れる企業の責任だと考えています。
仕事も生活も日本基準で伝えることが、結果的に一番の近道になると思っています。
―― 片山さんは、研修期間中も現地に行って、内定者たちと懇親会を開いているそうですね。
片山:
はい、内定者たちに「EDEYANS の熱量」を伝えるには、私が直接行って、自分の言葉で語りかける必要があると考えています。
なぜそこまでするかと言えば、彼らを単なる「労働力」ではなく、一緒に世界一を目指す「仲間」だから。
私たちが掲げるビジョンは「"自分たちにしかできない" ことを追求して、イノベーションを生み続ける」こと。他社がライトに済ませる部分を、私たちがこれだけ泥臭く、深くやる。それが差別化になり、強いチームを生むと信じています。EDEYANS のことが好きで、エネルギーに溢れているメンバーたちと働いたほうが、絶対に楽しいし、顧客もその先のゲストにも良いサービスが提供できると信じています。
想定外の「グッドサプライズ」。ルームマイスターの行動が示した育成の成果
―― 実際にこの「現地研修」を導入して、どのような成果が出ていますか?
津幡:
定性的な面でも、はっきりと変化を感じています。
全社のミーティングで「会社のミッションは?」と聞いたときに、即座に答えられるのは、現地研修を経て入社してきたメンバーです。入社前から会社の考え方に触れていることで、EDEYANS のミッション・ビジョン・バリューを単なる言葉ではなく、自分事として捉えてくれているのが伝わってきます。
それは日々の行動にも表れています。
例えば、北海道の現場が繁忙期を迎えるにあたって、応援出張に行ってくれるメンバーを募ったときの話です。今回は「立候補制」で募集をかけたのですが、真っ先に手を挙げてくれたのは、なんとインドネシアでの研修を経て採用されたルームマイスターたちでした。
それ以上に「チームのために動きたい」という彼らの熱意が嬉しかったんです。
「Be a leader」「One for all, all for one」「Professional mind」といった、私たちが大切にしているバリューを行動として体現してくれていることを実感した瞬間でした。
―― 課題はありますか?
津幡:
嬉しい悲鳴ですが、採用人数の急増ですね。
一度のインドネシア訪問で採用する人数が、最初は 10 名規模だったのが、直近では 30 名ほどになりました。人数が増えると、どうしても一人ひとりにスポットライトを当てることが難しくなり、「学級運営」のような難しさに直面しています。
片山:
そうですね、まさにそこが正念場です。
現在、ルームマイスターの採用は 100 名を超えましたが、2030年までにはこれを 1,000 名体制にする計画です。 津幡が言うように、今の「学級運営」のようなやり方のままでは、1,000 名の規模になった時に質が保てなくなる。それが目下の課題です。
―― 1,000名ですか。わずか5年で10倍の規模ですね。
片山:
はい。だからこそ、質を落とさずにその急成長を実現するための「器」が必要なんです。
そのために、インドネシアに EDEYANS の「自社拠点」を設立する計画もあります。現地の拠点を強化し、カリキュラムや育成システムへの投資を惜しみなく行うことで、人数が増えても高いレベルで質を維持できる仕組みを作ろうとしています。
「世界最高の清掃会社」になるための、次なる一手
―― 最後に、今後の展望をお聞かせください。
片山:
直前にお伝えしたとおり、将来的には、インドネシアに「EDEYANS が運営する学校」を作りたいと考えています。 現地の若者たちが「EDEYANS に入りたい」と憧れ、そこで育成された人材が日本で活躍する。そんな育成のサイクルを内製化していきたい。
私たちのこの取り組みは、まだ始まったばかりの「未完成」なプロジェクトです。だからこそ面白いし、本気で「世界最高のチーム」を作れると確信しています。国境を越えて、同じ志を持つ仲間たちと共に、清掃業界の新しいスタンダードを作っていきます。