こんにちは。WAKA(旧EbuAction)の野田です。
今日は「なぜRobloxというマーケットに全ベットしているのか」をできるだけ正直に書こうと思います。
結論から言うと、Robloxは今の時代において非常にまれな「複数のパラダイムシフトが同時に起きているマーケット」です。しかも、日本のスタートアップだからこそアプローチできる固有の余地がある。そこに確信を持っているから、張り続けています。
そもそもRobloxとは何か

Robloxのホーム画面(スマホ / PC / PS5 / VR 等でプレイ可能)
Robloxとは、2006年にアメリカで誕生したゲームプラットフォームです。簡単に言えば、「誰でもゲームを作って、誰でも遊べるプラットフォーム」で、YouTubeがどんな人でも動画を投稿・視聴できるように、Robloxはゲームというコンテンツで同じことを実現しています。
世界の月間アクティブユーザーは4億人以上(2026年時点)。ユーザーの半数以上が13歳未満という若年層プラットフォームで、特にアメリカ・東南アジア・ヨーロッパを中心にZ世代・Alpha世代の日常インフラとなっています。
「メタバース」「ゲーム版YouTube」「新しいマインクラフト」などさまざまな捉え方をされますが、私は大きく2つのパラダイムシフトが起きており、それぞれに事業チャンスがあると見ています。
① ゲームとして:UGCプラットフォーム化されたことによる新しいコンテンツエコシステム
② メディアとして:若年層にとって史上最高のエンゲージメントを誇るメディアの誕生
日本のスタートアップだからこそ入れる余地が、両方にある。個人的には「奇跡のマーケット」だと感じています。
① ゲームコンテンツがUGCプラットフォーム化されて起きていること
Robloxのユーザーは、ゲームをプレイするというよりも、SNSとして使っています。
彼らの典型的な1日を見てみると:
- 学校から帰宅、とりあえずRobloxを立ち上げる
- オンラインになっている友達を見つける
- パーティーに招待し、チャットする
- 一緒に好きなゲームを探して遊ぶ
- ゲームをしながらボイスチャットで会話

ユーザーがRobloxをプレイする1日の流れ
かく言う私も、RobloxやFortniteを中高一貫校を中学2年生で退学した後に6,000時間ほど遊んだヘビーユーザーでした。不登校の友達と画面越しに遊びながら、一緒に同じUber Eatsを頼む、なんてこともしていましたw(当時は初回クーポンを重宝していましたが...)
そして、この文化が生み出したもう一つの現象があります。
- 一部のユーザーが「自分でゲームを作れる」ことに気づく
- YouTuberに憧れるように、自分のゲームを作り始める
- アルゴリズムが評価すれば、広告費ゼロで世界中にレコメンドされる
この結果として、10代が作ったゲームが数百億円規模の粗利を生み、8ヶ月でハリウッドスタジオが映画化権を取得し、オンラインゲーム史上最大の同時接続数を記録する -という事例が生まれています。今までのゲーム・コンテンツ業界では考えられないスピード感です。

16歳の少年が制作したRoblox上のゲーム「Grow A Garden」がハリウッドスタジオで映画化決定
企業としてアプローチできるソリューションが生まれてきた
こうしたUGCプラットフォームの成長に目をつけて、スタートアップとして参入している海外プレイヤーがいます。
例えば、創業時17歳・現在24歳の創業者が率いるVoldex社(a16z出資)は、個人が作ったRoblox上の魅力的なレースゲームを買収し、世界的なレーシングブランド「NASCAR」とコラボさせてPMI(買収後の価値向上)を実施。現在では1件100億円規模のゲーム買収を行うまでに成長しています。
個人主体で急成長するコンテンツがある一方、企業体としてのレバレッジ(IP活用・グロースハック・マネタイズ最適化)を掛ければ、さらに大きな価値を生み出せる余地がある。これがロールアップ事業というアプローチです。

Voldex社が買収してIPコラボ(NASCAR)させたレースゲーム「DRIVING EMPIRE」
日本だからこそ入れる、とてつもなく大きな問題がある
ここからが本題です。Robloxエコシステムの中に、日本のスタートアップだからこそソリューションを生み出せる、巨大な未解決問題があります。
それは「海賊版問題」です。
現在、Roblox全コンテンツの中でトップ10に入るユーザー規模(=収益規模)のゲームのうち、複数が日本のアニメを無断で使った海賊版なのです。2位・4位・10位クラスのコンテンツが該当します。

弊社資料より抜粋
ただし、これは「悪質な海賊版」と一口に言えない複雑さがあります。
作っているのは、漫画村のような収益搾取を目的にした業者ではありません。アニメファンが、SNSやYouTubeでファンメイク動画を上げるような感覚で、純粋な愛から非公式二次創作ゲームを作っています。それが莫大な収益を生んだ結果、「海賊版」として扱われているのです。
さらに重要なのは、作っている本人たちが「これが違法かもしれない」という意識をほぼ持っていないことです。ユーザーコミュニティも同様で、実際にCrunchyrollが「僕のヒーローアカデミア」の公式ゲームをリリースした際、既存の海賊版を削除したことで「公式コンテンツが面白くない」と炎上が起きるという前代未聞の事態が発生しました。

https://www.youtube.com/watch?v=cbGek0eWPW8
だからこそ「全部削除」は解決策にならず、問題の難しさがあります。
Robloxプラットフォームも「ライセンスマネージャー」という仕組みで二次創作に後から公認ライセンスを付与する仕組みを導入していますが、以下の理由からまだワークしきっていません:
- 多くのゲームが複数アニメの要素を混在させており、網羅的なライセンス取得が難しい
- ヒットコンテンツは各アニメにつき1〜2件で、個別具体での対応が現実的
- 権利者側のRoblox対応リソース・ノウハウが追いついていない
ここに、我々は「ゲームの買収」と「ゲームパブリッシング」という形でアプローチしています。海賊版を単に削除・規制するのではなく、正規のIPを持ち込んでコンテンツをグロースさせるという方法です。
実際に、グローバルで人気の高いアニメの正規ゲームライセンスを取得し、プロジェクトを進行中です(詳細は現時点では非公開)。電通アニメソリューションズでゲームチームの責任者を務めていたメンバーも参画しており、戦略的に進めています。

確実に言えることは、数年後に今のような形で海賊版がRobloxのトップコンテンツに君臨し続けているわけではないということ。その変化の中に、我々がいます。
また、海賊版問題の裏側には重要な事実があります。それだけ日本のアニメがRobloxのグローバルユーザーに愛されているということです。運用型コンテンツが多いRobloxでは、ソシャゲ同様にIPコラボがスタンダードになっていくでしょう。トップタイトルが日本アニメとコラボする世界は、すでに見えています。そこに日本企業として先行できるポジションを取りにいっています。
② 史上最高エンゲージメントのメディアが誕生した
Robloxのアクティブユーザーあたりの1日平均プレイ時間は3時間超。プラットフォーム全体の滞在時間はすでにNetflixの総視聴時間に迫る勢いです。
これはゲームとしての話だけでなく、若年層の「可処分時間」という観点でのメディアとしての話です。
広告接触の常識が変わる

IKEAが展開したRobloxゲーム
昨今のショート動画時代に、企業が広告を入れても1コンテンツあたりの接触時間はどんどん短くなっています。一方で、Robloxは30分〜1時間プレイするのが当たり前。そのゲーム体験そのものをブランド広告にする、という全く新しいマーケティングソリューションが生まれました。
我々が手がけた具体例:
- 中部電力:浜岡原子力発電所を建設していくゲームで、エネルギー問題への理解を促進
- 東京都福祉局:「障害者権利条例」の啓発として、街中で障害者支援アイテムを集めて困っている方に渡すゲームを展開。強制感なく自然に学べる仕組み
少子高齢化の議論の中で「若年層にマーケティングを打つべきか」という声もありますが、長く愛されるブランドにとってLTV(ライフタイムバリュー)は最重要指標です。若い世代のうちから「ブランド想起第1位」を取るために、ゲーム体験を通じて自然に刷り込む手法は非常に有効です。
次のフロンティアは東南アジア
現在は主に日本企業向けのマーケティング支援ですが、次のステップとして東南アジアへの展開を見据えています。
東南アジアは25歳以下が人口の3割超を占める国が多く、そのボリュームゾーンが日常的に接触する最大プラットフォームの1つがRobloxです。YouTubeやTikTokが登場した時と比べものにならない規模のマーケティングソリューションになりうると確信しています。
多くの日本ブランドはすでに海外売上比率が50%に達し、東南アジアでも展開されています。日本本社から東南アジアまでをカバーするRobloxマーケティングは、これらの企業にとってスイートスポットなはずです。ソーシャルメディア領域でFintさんやAnyMindさんがやってきたことを、我々はRobloxでやります。
なぜこの2つを同時に追いかけているのか

ロールアップ事業(コンテンツ投資)が上場シナリオのメインドライバーです。一方で、マーケティング事業(受託)は安定したキャッシュフローの源泉として欠かせません。
昨今のスタートアップ環境を正直に言えば、資金調達やIPO環境は激変しています。ハイリスク・ハイリターンのエンタメ領域にチャレンジするスタートアップは「リビングデッド」と揶揄されがちです。だからこそ、安定した経営キャッシュフローを持ちながらリスクを取る。エクイティだけに頼らず、事業収益で走れる体制を作る。この設計が必須だと考えています。
個人的には最短5年以内での上場、あるいはユニコーン化も十分に狙える市場だと思っています。Voldexや、創業5年で営業利益推定100億円超のRoblox関連ベンチャーが実際に生まれています。
一緒にやりませんか
ここまで読んでくれてありがとうございます。
WAKAは4期目、社員・業務委託含めて約15名のフェーズです。まだまだ仲間が足りていません。
Robloxというマーケットの可能性に共感してくれる方、私と議論がしたい方、カジュアルな雑談からでも大歓迎です。
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